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茶碗が割れた日

作者: 片栗子

やいの、やいの


今日も2人は向かい合い

唾の飛ばし合いをしています

目に見えぬ飛沫となって

お互いの顔を汚し合っています


やいの、やいの


今日も2人は目も合わさず

擦れ違っています

目に見えぬ手と手で

お互いに糸口を探しているのです


やいの、やいの


今日も3人は笑いもせず

黙々と箸を動かすのです

これからの日々を夢想して

ただ流し込んでいくのです


おやすみとも言わず

おはようとも言わず


言葉が力を失っていきます

会話の力がなくなっていきます


使わねば衰えるというもの


やいの、やいの


今日も3人向かい合い

食卓に顔を合わせます

一つの茶碗が投げ割られました

台無しでしょう

台無しでしょう


細くつなぎとめていたものプツリと切れました


やいの、やいの


涙の流れる音も止みました

前歯を震わす音も止みました


茶碗は足しません

割れたなら終いでしょう

終いでしょう


やいの、やいの

やいの、やいの……


鳴り止みましょう

鳴り止みましょう


やいの、やいの

やいの、やいの……


願っても叶うはずなく

これだけがどうしても止みません

これが最後の結び目だと

信じて今日も心してききます


やいの、やいの

やいの、やいの……


いつか、いつか

鳴り止む時がくると


それは

よいのか

悪いのか


それは

終わりか

始まりか


わからなくなるのが常です

わからないでいたいの真です






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