ただの標準装備
鉄棒の高さに
懐かしい驚き
子供達はそこで
逆上がりと前回り
出来たって褒めながら
出来なかった頃を
僕は思い出した
難しいが
簡単に変わる瞬間に
笑う
あの顔を忘れていたから
培ってきた出来る事は
社会に出れば当たり前で
ただの標準装備を
自慢しているだけだったと
分かる物だ
それだけでは
面白く無いから
興味のある事に金を突っ込んで
ただの標準装備を
オリジナルに変えていくのだと
気づく物だ
馬鹿みたいに
自分は自分で居たいなんて
思っているから
校庭を子供達と
走っては息を切らす
追いつかないから
子供達は
縄跳びを始めた
二重飛びから隼飛び
下の子達は
それに拍手している
出来る事から
見せる事へ変わる瞬間に
笑う
あの気持ちを
落としちゃいけない
培ってきた出来る事は
社会に出れば当たり前で
ただの標準装備を
自慢しているだけだったと
気づく物だ
出来る事と見せ方で
あれは人よりも変わる
適材適所の見せ方で
ただの標準装備は
綺麗であるよう他人に
見える物だ
狡いんじゃない
自分自身を持って行く事が
上手いだけなんだ
五時のチャイムが鳴る
帰ろうと呼び掛けた
下の子達が駄々をこねる
「今日のご飯は何?」
上の女の子が聞いてきた
「みんなで食べるから
お寿司や唐揚げとか
後はお刺身もあるかな」
僕が答える
その子は
「ご馳走食べに帰るよ」と
駄々っ子達に呼び掛けた
目的が出来たからか
駄々っ子達は
違う方向へ
エネルギーが移動したみたいだ
さっきの女の子へ
「ありがとう」と
褒め言葉を掛ける
「しっかりしてよね」と
返事が来る
これは手厳しい
二列に並んで
手を繋いで家に帰る
家が近づくと
良い匂いがしてくる
玄関先で座って
煙草を吸う
疲れた僕