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猫のダイゴ  作者: 凡骨竜
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ごめんごめん、ちょっと時間が開いちゃったね。

今の生活、ネコヒトとしての仕事が忙しくなっちゃってて、手紙がなかなか書けなかったんだ。


前は何の話をしたんだっけ。

あ、そうそう。オジサンとの出会いの話だったね。

ボクに『ダイゴ』って名前を付けてくれた人。


オジサンの家は、当時のボクにはとっても広かった。

ネコヒトになってから住むんだったら、ごくごく一般的な広さなんだけど。


ネコだったボクは、いっぱい探検をした。

オジサンにも遊んで貰った。

ボクも、大人になる頃には行ったことがないくらいには家の中に詳しくなった。

ここはボク専用の食べ物がある箱。

ここはオジサンの食べ物が入ってる冷たい箱。

こっちは、お日様があるうちは寝心地が良い場所。

ちょっと歩いた先は、オジサンの寝床。

ボクの寝床は、だいたいどの部屋にもあるんだけど、

一番好きなのはオジサンの枕のそば。

夏は臭いから近寄らないんだけどね。


その頃のボクの1日は、こう。

朝起きたら顔を洗って伸びをしてからオジサンを起こす。

起きたら朝ご飯の時間。

ご飯が終わる頃には、オジサンは出かけてく。

ボクはそれを見送って、お日様が隠れるまでは探検タイム。

ちょっと飽きてきたらお昼寝。

たまに透明な壁の外......あ、窓ね、窓。

窓の外に子供がきたら、ちょっと相手してあげたり。

しばらくゴロゴロしてるとお日様も隠れてお月様が出てきた。

お月様が出たばかりの頃にはまだオジサンも帰ってきてなくて、ちょっと寂しくなる。

そうしたらボクは適当な寝床に横になって、ちょっとだけ眠るんだ。

うつらうつらし始めた頃に、オジサンは帰ってくる。

おかえりーって言うとオジサンは嬉しそうにボクを抱き上げて、優しく撫でてくれるんだ。

そこからはオジサンとほぼ一緒に居るの。

あ、でもお風呂はこの頃はまだ苦手かな。

どうにも濡れるのに慣れなくてさ、

ブルブルってしちゃうとオジサンが悲しそうな顔をするし、

我慢してるのも気持ち悪いし。

大きな音がする風の出る奴も嫌い。

もちろん今はちゃんとドライヤーって分かってるし、便利に使ってるよ。


後は夕ご飯を食べて、オジサンと一緒に寝て、

ボクの1日は終わり。

そんなに毎日大冒険してる訳じゃないよ。

みんなも案外そんなもんなんじゃない?


そうやってオジサンと暫く一緒に生活してたんだ。

まだボクもネコヒトになれるって知らなかったし、

オジサンも普通のネコだと思ってたんじゃないかな。

ボクとしては、この時にネコヒトになれるのを知りたかったし、

教えて欲しかった。オジサンを手伝いたかったから。

もっともっと、オジサンと一緒に居られたかも知れないから。

今更そんなこと言っても仕方ないんだけどね。

やっぱり思っちゃうんだよ。後悔ってやつだね。


じゃあ、また次の手紙でね。楽しみにしてて。ダイゴより。

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