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1話 はじまりⅠ
…綺麗なピンク色の髪をたなびかせ、1人夕暮れ時の海を見つめて立っている少女がいる。年は私と同じ6歳くらい。私はどんな人なのか不思議と気になってそっと横顔を覗こうとした。しかし運が悪いことに木の枝を踏んでしまい、少女が振り向いてー
世界が止まったように感じた。桃色の透きとおった瞳から流れ出る涙を見て私は目が話せなかった。私に見られてなお涙を隠そうとしない姿に心が惹き付けられた。気づいたら体が勝手に動いていた。
「……っ?!」
彼女を抱きしめる。とても甘い香りが鼻をくすぐる。華奢な肩がビクッと震えたがそれ以上の抵抗もせず、それどころか私の背中に手を回してきた。
いつの間にか夜になっていて、彼女は眠ってしまっていた。何度も声をかけても全く起きる気配がなく、流石に私もずっと彼女を支えているのは大変なので彼女を抱きしめたまま木にもたれかかって休むことにした。海岸沿いで魔物は殆どいないから完全に油断していた。
数時間後には期待が裏切られるということも知らずに…