しぇ
「やぁだ、アインさん。そういう誘いはお酒の場だけよ。」
「んだよ、せっかくルーペの酒が呑めるっていうのによ」
「女っていうのは、期待させるだけさせるのよ。勉強になったでしょ」
「かーっ、いい勉強になったよ。まぁいいや、モドラの依頼きてんだろ、うちの団が受けるわ」
「あら、いつも通り情報の早いことで。明日らっしゃい、取っといてあげる。」
「おう、んじゃよろしくな。」
そう言って、手を振りながら歩いていく。
一応後ろ姿に手を振っといてあげる。
にしても、相変わらずあそこの団は情報が早いわね、つい一時間程前に来た依頼なのに。
「やぁ、シェリル。」
「どうも、ガルドさん。」
「うちのチームでコレ受けたいんだけど。」
「ゴブリン狩りね。わかったわ、よろしくね。」
いつもゴブリン狩りしてくれてありがたいのよね、下手なオークとかよりよっぽどやっかいな奴らだから。
「ホントありがたいわ、ゴブリン狩りしてくれて。誰もがゴブリン狩り嫌がるもの」
「あいつらは厄介だからねぇ、コボルトは俺達には無理だけど。」
そう言って苦笑いしている。
「でも、よくゴブリン狩りしてくれるけど、割りにあってないんじゃない?稼ぎとして」
「まぁ余り割りには合わないんだけどね、けど誰かがやらなきゃ」
そう言ってまた苦笑いを浮かべる。ホントイケメンよね、この性格。ゴブリン狩りなんてしてなかったら狙うんだけどねぇ。
「ガルド、受けたんだったら俺も受けたいからどいてくれ。」
「おう、わりいな。んじゃ、シェリルさんコレ受けるんでよろしく。」
「はいはい、気をつけていってらっしゃい。」
手を振ってあげる。
「岩場のオーガの番、頼むわ。」
そう言って依頼を伝えてくる巨漢。
「はい、ツェンさん。」
体は大きく、性格もおおらか、大物狙いのツェンさん。稼ぎも良いんだけど、嫁さんいるのよねぇ。
「お嫁さんとは元気にやってる?」
「ニーナか、それはもう仲良くやってるぞ」
あぁ、すっごいデレデレな顔になった。好きなのねぇ。
「最近ニーナは更に可愛くなってな。どうしたんだろうな、ホント。今朝もここに来る前にいってらっしゃいのチューは?って言ってきてな……」
甘い、甘い、甘すぎる。何コレ、そんな顔してゲロ甘なこといわないで。砂糖吐く。
しかもまだ、語るの。ダメだこれ、ゲロ甘。砂糖煮込むくらいゲロ甘。
「わかった、わかったわ。ストップ。仕事の準備しないといけないんじゃないの。」
「おお、そうだな。また、ニーナのことは聞かしてやるからな。」
「そうね、機会があれば聞かしてもらうわ。いってらっしゃい。」
そう言って手を振る。二度と聞かせないで、お願い。
「あのお姉さん。」
「あら、どうしたの。」
「あそこにある、商店街の溝さらいとネズミ退治を受けたいんですけど。」
「あら、その依頼はここに来なくていいわよ。直接商店街の会長さんのところに行けばいいわよ。」
「あ、そうなんですね、ありがとうございます。」
そう言って歩いていく少年。
新しくやってきた子だけど、あの子は冒険者になれるのかもね。
にしても、いい男っていないのかしらねぇ。
「はぁ、結婚したい。」
なによ、みんなして、そっと離れてくのやめてくれない。