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異世界のクレイジーニンジャ!  作者: ハメテガ
9/9

ギフト

凄惨な光景が目の前に広がっている。


頭に鉄球を生やした死体、首が飛んでしまった死体。

洞窟の天井までべったりと飛び散った血が、ボタボタと床に落ちている。

タイルの隙間に血が吸い込まれる様に入って行っては、ゴポッと音を立てた。


目の前のゴトウを見ると、肩で息をしながら周りを見ていた。警戒を解いていないのだろう。


やっぱり俺はこんな時に何をしていいかわからないし、何を考えるべきかも分からない。



遠くの方で「ギャー」という声が聞こえたような気がした。もう無関係ではない。

けど俺が関わった凄惨な殺し合いなんて、このダンジョンでは常に起きていることなのだ。

そう考えたら気が楽に………ならないな。


ふと見ると、俺の後ろでカゴが意識を集中している。

鉄球が赤く光る。


「サクリファイス!」


カッ!と閃光が広がったかと思ったら、

敵の戦士と騎士の死体が装備ごと消え去り、

アベの手が光る。


「おおー、キクぅぅぅー」


ウォッ!アベの手が元どおりになっている!

「あー、戦士が装備ごと丸ごと消えちまったか。まあ、指3本だとそんなもんかな」

戻った手をニギニギしながらアベが呟いている。


「カゴの得意技のサクリファイスだ。レベル5の僧侶魔法で体の部位欠損を含めた怪我を回復するが、欠損した部位に応じて敵の死体と装備を捧げないといけない。

あとカゴの場合、一回の冒険で使えるレベル5魔法は5回だ。

…できれば温存しておきたかったのだが」


切り札の1つだったのだろう。

確かに部位欠損を回復出来るのはアドバンテージだ。


「ただ、こちらの被害がコレで済んだだけでも大成功の部類に入る」

ふー、とゴトウがため息を吐いた。

「そうそう!お前のギフト!あれすげえな!」

アベが興奮しながら近づいて来た。だからお前は顔が怖えんだよ!!急に近づくな!

「ギフト?」

興奮した口調のアベに申し訳ないないが、俺はまだ何が何だかかわかっていない。


「ギフト、って俺たちは呼んでいる。固有の特殊能力さ」

教えたがりのゴトウ先生がちゃんと教えてくれた。でも周りを警戒したままだけど。


「俺のギフトは『四天王』…。カゴのサクリファイスと同様の効果を発揮するが、使うのは味方の肉体だ。俺が受けた怪我の大きさに比例して、味方の肉体の一部が消え去ってしまう。乱発はできないが、緊急時に非常に役に立つ」

ゴトウのギフト…ああ(俺は四天王の中でも最弱!)とか急に言っていたな。

「ギフトの発動にはなぜか台詞が伴うんだ。俺のあの芝居掛かった台詞もギフトの特徴ってやつだ。ま、呪文みたいなもんかな?」



じゃあ俺はなんで(イヤン)何だよ!オカシイだろ(怒)



「ぐふふ、戦闘中に(イヤン)とか言い出すからなんだと思ったぜ。

何をキッカケかは分からんが、キマると無条件で首が飛ぶみたいだな! マジチート!ヤバすぎワロエナイ!」


ウザい事この上ないな。はしゃぐアベに俺のギフトをぶちかまそうとした時。ゴトウがボソッと呟いた。


「チートってもっと便利で無茶に強いもんだろ?

なんかコイツのギフトって強さへの作為がないっていうか、何というか、なんか間違って設定されたっぽい感じじゃないか?

こういうのってチートというか……

なんかもうバグじゃないか?」


そう、この言葉から俺が虫と呼ばれる様になったんだ。

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