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鏡で江戸時代へ  作者: キャリーバック
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まずは住まいを確保!

今日は雲一つとない快晴。そこで、私、田中梨恵は散歩に行くことにした。最近、家の近くにちょっとオシャレな雑貨屋が出来たのだ。今日はそこに行ってみたいと思う。


「いらっしゃいませ。」

「こんにちは。」

そこには可愛らしい雑貨が沢山並んでいた。梨恵は、その中の一つ、黄色い縁に赤い花が描かれている鏡を手にとった。その時、鏡は青く輝き、そしてその光は梨恵を飲み込んだ。


「え…?」

気が付くと、梨恵の周りの景色が江戸時代の街並みになっていた。

「…。」

(どうしたら帰れるのかな…?どうしよう。簡単に帰り方がわかりましたなんてことは起きないだろうし…。仕方がない。とりあえず住む場所を見つけて、そこでじっくりと探すしかない。)

タイムスリップしたというのに、なんて冷静な…。

「お嬢ちゃん、どうしたんだい?こんな街のど真ん中で突っ立て。」

「あ、ごめんなさい。考え事をしてて。」

「ふーん。考え事なら、道の端でしな。」

「はい。」

ひとまず道の端へ移動しようとした時、はっと思いついた。

「あの。料理人さんですよね?」

「あ?そうだが。」

「いきなりですが、私を雇ってください!」

「はあ?」

「私、料理は得意な方です。きっとお役に立てます!ですから…。」

「…。あいよ。ちょうど探していたんだ。じゃあ、店まで来な。そこで得意料理を作ってみな。そんで旨ければ、雇ってやるよ。」

「助かります。住み込みでお願いしたいのですが。」

「あ?当たり前だろうが。」

「あはは。」


やはり江戸時代。キッチンというよりも台所。当たり前だが…。

「じゃあ、作ってみな。」

「はい。」

(何が良いかしら。確実に雇ってもらうには、この時代で珍しいものがいいよね。とはいえ、材料がなければ作れもしないか…。そうだ!)


「ただの水に見えるが…?」

「まぁ、飲んでみてください。」

「…水じゃねぇようだな。」

「えぇ、蜜柑を絞って水に混ぜました。」

蜜柑水で得意ってどうよという声は聞こえませんよ。なんせ、江戸時代ですから!この時代では、果物を飲み物に入れる、すなわちジュースという概念はありませんからね!つまり、私はそこを狙ったのですよ。この冷静さだけは、私の誇りですから。

「斬新だな、うちに置いてやるよ。」

「ありがとうございます。」

「おめぇ、名前は?」

「梨恵です。」

「へぇ~。おらぁ、達吉だ。よろしくな。」

「えぇ、よろしく。」


こうして梨恵は江戸時代で住まいを確保し、元の時代へ戻る努力物語が始まったのである。

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