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第3話:〜学校祭〜

第2話からの続き☆

「はは。どれも変な言葉ばかりだな。」

 大きく拡大された席順には[へぇ]や[味のIT革命や〜]など、俺のクジとさほど変わらない変なクジばかりだった。

「一ぇ、自分の席見つかったかぁ??」

 隆也が、クジを凝視していた俺に問掛けてきた。一とは、俺の下の名前で、一と呼ぶのは隆也ぐらいであった。

「ん!?ぁ、意識とんでた。何処だろな‥ぉぉ!!今の場所だ♪♪」

奇跡的(?)にも、俺は今のお気に入りの席を引き当てていた。

「ぉぉ!!一!!俺その前だ♪♪」

俺は隆也とハイタッチを交わし、黒板に貼られた紙を横目で見てみた。


[助けて下さい!!]と書かれていたのを見て、思わず俺は吹き出し

「なんだ、助けて欲しいのか??」

「超気持ちいいって‥一こそ、何いやらしい事してんだよ。」

と、見事な反撃をくらった_| ̄|〇


そう話ながら、自席につく。

「そういや横は誰なんだろ‥尾美さんかなぁ‥」

鼻の下が伸びていたらしく、目の前の隆也が笑いながらデコピンをしてきた。

すると、横で大きく椅子を引く音が聞こえた。


――ドーン(〇∀〇;)

そこには関山がいた。

直ぐ様教卓のすぐ近くに座る颯太に視線を送る。後ろの人と話していた颯太がそれに気づき、ニヤリと笑った。


「ゎぉ!?隣だ!?すごい偶然だねぇ!!」

「ほ、本当になぁ!!なまらびっくらこいたぁよ。」

不自然な反応に、関山はクスッと笑った。


 イツメンで校舎沿いにある、車の通りが少ない広い道路の真ん中を帰っていると、横から突風が吹いてきて、俺の髪を崩していった。手ぐしで髪を融かしながら風が吹いてきた方向へ顔をやると、いつも通る公園の木々が鮮やかに秋の色を帯びていた。 歩きつつもそれを眺め続けて上の空になっている俺に気付いた颯太が

「どうした??色男♪」

と言って来たが、怒る気にもなれずにスルーした。




「中坊にしちゃ吸いすぎか‥??まぁいいが、煙草代も馬鹿にならんなぁ‥」

俺は部屋のベランダで、煙草をふかしながらふと考えていた。

 PM.9:30 学校から帰ってきて塾へ行ってくる。ここまで6時間程だが、朝買ったばかりの煙草は残り2本となっている。

制服の胸ポケットに入っていた携帯が鳴った。


「『来週いよいよ学校祭だね(o・v・o)頑張って♪♪主役さん♪♪』」

俺はクラスの選考を承けて、劇の主役を務める事となっていた。 最初は嫌だったものの、ヒロインである相手役が尾美に決まった時、俺の迷いは消え去った。


――今日は週末だし長くなるかもな‥。


そう思っていると隆也からメールが来た。 「『来週学校祭ですし、出陣式みたぃな感じで、パァーっと飲まなぃかぃゃぁ!?」

突然ではあったがベランダにはチュウハイが数本とボトル焼酎が2本丸々残っていたし、悪くはないだろうと思い、直ぐに来るよう返事をした。その後、ヒロインの友達役として劇に出演する関山に

「『頑張るぁwま、最高な出来にしたるさw頑張ろうな♪』」

 と返した。


1時間後に隆也が青いジーパンに黒のインナー、茶色のコートをはおって部屋へ入ってきた。 俺の部屋は8畳間でフローリングがひいてあり、一角にはMDコンポ、テレビ。その反対側にベッドがあり、中央には小さなテーブルが大小の2つ並んでいる、シンプルな部屋だ。


 俺は、上着を脱ぎ捨てベッドに腰掛けた隆也にチュウハイを投げた。

「さ、んぢゃ早速!!男二人の乾杯といきますか♪来週の学校祭頑張‥」

「一と美沙に乾杯♪」

ここでもか!?と落胆した俺は、がっくりと頭を落とすと同時にテーブルに顔面を強打した。

「ふご!?」

隆也の笑い声とともにチュウハイの炭酸の音がはじけた。


関山とは互いに相手を探り合うようなメールが続けられていたが、隆也の気分を害してはいけないと思い、状況を説明してメールを打ち切った。


「実際さ、一の好きな人って誰なんさ??」

まだ半分も空けてないのに、隆也は早くも酔い気味だった。俺はそんな隆也の質問に答えようか迷ったが、場の空気を読んで答える事にした。

「実は‥尾美なんすょ‥内緒だぞ!?これはこの場だからこそ話してんだから。」

俺は隆也が持ってきた菓子を摘みながら言った。

「ぇ、(ハルカ)だったの!?な、なんかすごい意外だはぁ!!」

酔いが少しひいたのかと思っていたが、やはりそうでもないようだった。隆也は口火を切ったようにどんどんと尾美について質問をしてきた。

 「いつから??何処に惚れたん??」

 俺は正直に質問に答えていった。隆也は俺からの返答に耳を傾け、度々相槌を打っては頬をあげていた。


 一通り質問を済ませると、隆也は少し黙り込み、煙草を指に挟みながら何度かチュウハイをすすった後、口を開いた。

「告ったり‥しないん?」


―――それは‥


 一瞬脳裏に関山がちらついた。もし俺が、好きな人は尾美なんだ。とか、億が一、告白してOKされて、付き合う事になったりしたら関山はどんな事を思うのだろうか。 そんな事を自然と考えてしまったのだ。


「やっぱ、美沙の事が気がかりなんだろ?」

俺の反応を予測していた様に聞いてきた。

 煙草をふかし、いつものように途中で揉み消してから俺は言った。

「まぁ‥な。だが、尾美には告ってみようって思う。やっぱ関山の気持ちには答えてあげたい。でも、俺も関山と同じように好きな人がいるわけだしさ、他人に情けをかけないで自分の真剣な気持ちを尾美にぶつけてみるよ。」



 10月27日。学校祭の日がやってきた。

 生徒が体育館へ椅子を持ちながら入場していく。各学年が担任の誘導で、各自の位置に着くと体育館の照明がおとされ、暗幕からはわずかな光が洩れていたが、ほぼ真っ暗な状態となった。


「静かにして下さい!!」

 三年生の生徒会役員が、スポットライトに照らされながらステージへ上がってきた。しばらくしてから館内のざわめきが治まると、生徒会役員の合図で軽快なBGMが流れてきた。

「それでは!!これより学校祭の始まりでぇーす♪」

 アニメ声優かと思う程の可愛く、甲高い声がスピーカーを通して館内に響くと、周りでは男子の歓声や女子の罵声で騒がしくなった。


去年の学校祭は時期が少し遅く、この地にも雪が積もっていて館内の暖房は全て動いていたが、それでも寒く、隣に座っていた女子と

「寒いねぇ。」などと話していたが、今年は身長の変化もあった為に、俺の横には尾美が座っていて、俺は緊張のあまり言葉すら発せずにいた。


――ああ、すぐ横には尾美がいるというのに‥


 既に最初の1年生の劇が始まっていたが、尾美の事を考えていてまともに見てもいられなかった。


「ジーー‥‥」

そんな無情な時が過ぎてる間に、劇の終わりを告げるブザーが鳴った。

「はぁ‥もう終わったのか‥次じゃんよぅ‥」


 再び真っ暗となった館内にスポットの明かりがつき、役員と一般生徒が出てきて幕間の質問タイムと言うものがが始まった。

 ため息をつきながらも、衣装に着替えに行く為、席を立とうとした時、すぐ横から肩を叩かれた。


「主役さん、よろしくね♪お互い頑張ろう!!ぁ〜緊張するぅ。」


――――バコーン(O□〇`!?)


――――ぁ、ぁ、アイドルが俺に!?

 俺は興奮し過ぎたあまり、おう!!と大声で返事をしてしまい、周囲からかすかな笑いと視線が飛んできた。俺はそれから逃れるように、ステージ横にある更衣室へと走った。


「ジーー‥‥」

 幕間が終わると、始まりを告げるブザーがなった。


劇の内容は、もうすぐ中学を卒業する主人公が3年間片想いを続け、卒業と同時に引っ越してしまうヒロインの女子に、友達からの助けをもらいながらも告白を決意する話だ。

 ブザーが鳴り終え、幕が開くと同時に、ステージ中央に置かれたベンチに腰を下ろして、制服を着た俺と、友達役の颯太の会話が始まる。


 最初は多少緊張していたものの、笑いをとるところで上手く笑いを取れたお陰で、緊張もしなくなり、練習通り順調に劇は進んだ。

「おっと、次は私服の場面か‥」

 学校の話から放課後の話へと場面移りをする為、照明と幕が閉じ、ナレーターの話しが始まった。

 出演者はその間に、女子から先に更衣室で私服へ着替えるよう言われていた。

俺含む男子勢は、女子達の着替えを真っ暗な幕の内側で待っていた。すると、すぐ横から関山の声が聞こえた。

紗弥(サヤ)早く!!うちらだけ出遅れてるって!!」

不意に俺の手が関山に引っ張られる。

「な!?ちょ、ちょ!?」

 どうやら関山には聞こえてないらしく、強く握られた手は離れなかった。そしてそのまま、洩れた光を頼りに更衣室へと俺は関山に引っ張られていった。


「キャーーー!!!」

着替えていた女子達が、俺を見て大声で叫んだ。

「え!?大原!?そんな、紗弥だと思ってたのに!?ご、ごめん。」

関山は手を離し、俺は直ぐ様更衣室から出た。


 幕が開いてからの劇は、女子達から痛い程の軽蔑の視線が投げられ、とても気まずかった。関山の方へ視線をやると、一瞬目が合ったが、すぐに関山はうつむいた。やはり罪悪感を感じているらしい。


 30分の劇も終わりに差し掛かり、俺が尾美と向き合い、告白をする場面になった時、尾美が小声で凹んだ俺に言ってきた。


「さっきのは全然気にしてないから。告白なんだから、もっと男らしく!!」


 俺は大きく頷き、尾美、いやヒロインへと告白した。


「ずっとお前の事が好きだったんだ、最後にせめて、これだけを伝えておきたかった!!」

 彼女はニコッと笑うと、

「私も実はあなたが好きだったの、すごい嬉しい。気持ちを伝えてくれてありがとう。」

 と、台本の台詞通り答えた。


 その後、終わりのブザーとともに幕がしまり、体育館からは大きな拍手がおきた。



 劇が終わった後、昼食をとったり、劇を担当しなかったクラスの展示教室を見て回る為の休憩時間がとられた。

 俺とイツメンメンバーは1年生の教室がある4階の売店で昼食を買うと、1年4組の教室で昼食を食べ始めた。


「どうしたよ、一。」

 ハンバーガーを食べ終わり、ため息をついた俺に隆也が話しかけてきた。

「いやぁ、さっきの尾美の言葉が本当だったら嬉しかったのになぁ、なんて。って、あ!?」

 俺は颯太や瑛太、悠介がいる事を忘れ、うっかり答えてしまった。


「ぇ!?大原って、尾美が好きだったの!?」

全員が全く同じタイミングで驚いた。

「あちゃー‥。」 隆也が苦笑しながら額へ手を当てた。


 俺は何度も誤魔化したものの、颯太達には当然通じるわけもなく、俺の好きな人が尾美だと言う事を知られてしまった。


「てっきり関山かと思っていたが‥まぁ頑張るんだな。」

颯太が焦っていた俺に、大笑いしながら言った。

「はいはい‥。」

いつもながらにドジな自分に呆れつつ、残っていたコーラを飲み干した。



 一通り展示教室を回る終えると、放送で午後の部が始まる事が伝えられ、生徒達が一斉に体育館へと戻り始めた。


 午後の部は3年生の劇と、吹奏楽部の演奏、最後は生徒会からの出し物が予定されている。

3年の劇が終わると、吹奏楽部が準備を始めた。

「吹奏楽部何演奏するのかな??」

尾美が寒そうに手を擦り合わせながら言ってきた。

「あ、うん。気になるよなぁ、去年も吹奏楽はすごかったからなぁ」

「うん。遥、去年の演奏は聞きいっちゃったもん。」

劇の件もあり、自然と話せるようになってきた。俺はこの機会を利用して、さっきの礼をする事にした。


「あのさ、さっきはありがとな。結構凹んでたから、すごい楽になって助かったよ。本当感謝してる。」

すると彼女は笑顔でブレザーの裾を引っ張りながら、

「あはは♪大袈裟だよぅ。でも、楽になってもらえて良かった♪」


―――ドキーン(〇∀〇;)


彼女の些細な仕草と喋り方に俺は心射抜かれた。

「んと、もし良かったらメルアド交換しない!?」

 俺は勢いのあまり言ってしまった。俺は、ハッとして尾美へ向けていた顔をステージの方へと向けた。


「いいよ!!」


 即答と言っていいのだろうか。俺が顔を反らした後に、横から尾美の返答が返ってきた。

第4話も近々投稿ですのでょろしく(●´∀`●)

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