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風見先輩が私のことを好きなのはラノベアニメの主人公に似てるから。〜好感度高めから始まる恋のススメ〜  作者: 宮野ひの


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第47話 和央ちゃん、プロポーズしてくれたよね

 突然、風見先輩が黙った。少しの間が空いた後、ゆっくりと口を開いた。


「——わたしが急に転校しちゃったこと覚えてる?」


「はい」


 忘れられるわけがなかった。

 傷んだ胸の傷が開いた。私たちはやっと核心に触れる話題に辿り着いた。


「——通報者がいたことで、家庭内のことが明るみになったの。親戚で話し合った結果、わたしは祖父母の家に移されることになったんだ」


 通報者。きっとみなみちゃんのことだろう。正義感の強い彼女は、自分なりに正しいと思える行動を取ったのだ。


「18歳って、もう成人でしょ? 家に残りたいと言ったんだけど駄目だった。結局、まだ子どもだったんだろうね」


 彼女の缶ジュースを握る手が強くなった。


「……青嵐高校を卒業するんだと思ってた。3月までは和央ちゃんと一緒にいられると思ってたのに。こんな突然、離れることになるなんてあんまりだよ……」


 風見先輩は俯いた。過去を悔やんでいるように見えた。


「——それでも、連絡が取れるならいいと思ってた! だけど、和央ちゃんの名前が急に消えた時は悲しかった。……ねぇ。聞いていい? なんでメッセージアプリをやめちゃったの?」


「えっ?」


 初耳だった。

 私はメッセージアプリを退会したつもりはなかった。

 今だって元々のアカウントのまま、家族や友達と連絡を取るのに利用している。


「そ、それはこっちの台詞ですよ! 風見先輩に何度連絡しても既読がつかなくて悲しかったんですから……」


 そうなのだ。

 私はあれから、たまに風見先輩にメッセージアプリで連絡を入れていた。

 返事が返ってこなくても良いと、自己満の行動だった。


「えー。なんでだろうね? わたし何もしてないよ!」


「そんなはずはないですよ! 今、メッセージアプリを開いてみてください」


 風見先輩は私の言う通りに、スマホを取り出し、アプリを開いた。

 連絡先一覧を見ると、友達は7人ほどだった。その中に、【松島和央】の表示はなかった。


「ほら。和央ちゃんいないよ……」


「も、もしかして私のことブロックしていませんか?」


「何それ? つみきって意味?」


「ブロック違いですよ! えっと。メッセージが来ないように、相手を遮断する機能です!」


 風見先輩はとぼけたような顔をしている。

 本当にブロック機能の意味がわからないように見えた。


「ええい! 風見先輩。メッセージアプリのブロック一覧を見せてください」


「それどこにあるの? 和央ちゃん、お願い。教えて」


 そう言うと、彼女は私にスマホを差し出した。


 設定から【ブロックリスト】に飛ぶと、そこには私の名前のアカウントがあった……。


「ほらー!」


 風見先輩に、水戸黄門の印籠のように見せつけた。


「ええー? おかしいな。わたし何もいじっていないよ」


 ピンときていないようだった。彼女は首をかしげた。


「——もしかしてですけど、家族とかにスマホを触らせたりしませんでしたか?」


 失礼だと思ったけど、勇気を出して聞いてみた。

 あの日夜に見た、風見先輩のお父さんのことが頭に浮かんだ。


「そうかもーーー!!! 和央ちゃん頭いい!!! やたら、わたしのスマホをお父さんがいじっている時期があったんだ」


 ビンゴだ。きっと、私は風見先輩にとって厄介な友達認定をされたのだろう。勝手にブロックをされたということだろうか。


 2年前。風見先輩に連絡が取れなくて、絶望した気持ちを返して欲しかった。


「和央ちゃん、このブロックっていうの解除できる? これからは連絡取りたいな。駄目?」


 風見先輩は子犬のような瞳を向けてきた。本当にずるい人だ。


「……駄目なわけないじゃないですか」


 ぶつぶつ照れ隠しを言いながら、風見先輩のスマホを操作して、私のブロックを解除した。

 これで私は地元に戻っても彼女と繋がりを持つことができる。


「よかったーーー!」


 風見先輩はスマホを胸の内で抱いて、感嘆の声を上げた。

 本当に無邪気でかわいらしい人だ。きっと周りの男の人は放っておかないだろうなと思った。

 想像なのに胸がちくりと痛んだ。


 風見先輩は嘘がつける人ではない。


 それならなんで——。


「……あの。ヒロ5の結末について話してもいいですか?」


「うん。どうかしたの?」


 彼女が私に向き直った。


「風見先輩がいつの日か言ってたじゃないですか。ラストはサトシくんと由夏先輩がくっつくって。だけど私、ヒロ5を最後まで見たけど、結局は幼なじみのヒロインと付き合っていましたよ! それって、どういうことなんですか?」


 つい、問い詰めるような口調になってしまった。目をギュッとつぶる。


「あー。本編はそうだね! 和央ちゃん。OVA見てないでしょ?」


 そしたら、風見先輩はひょうひょうとした口調で言った。ドヤ顔を繰り広げている。


「な、なんですかそれ?」


「OVAはアニメのオリジナルビデオの略! うーん。わかりやすく言うと、ファン向けの続編っていうのかな? そこでは、サトシくんと由夏先輩が結ばれているんだよっ。二人は結婚の約束をして、最後にキスをするんだ〜」


「……知らなかったです」


「うん。無理もないよ。OVAは本編では結ばれなかったヒロインのifルートが描かれているからね。あっ! 門真はるかちゃんや、鹿島じゅかちゃんとも結ばれてるエピソードもあるよ〜」


「ゆ、夢のような世界なんですね」


 私はアニメに疎いからわからなかった。

 本編が終わった後に、その後の、もしもの物語って作ってもいいんだ。


「そういえばさっき、和央ちゃん、プロポーズしてくれたよね」


 ドキッ。

 風見先輩がしたり顔で私を見た。


「——キスはまだ?」


 えっと。その。

 これって、からかわれてる!?

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