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風見先輩が私のことを好きなのはラノベアニメの主人公に似てるから。〜好感度高めから始まる恋のススメ〜  作者: 宮野ひの


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第41話 影を追う





 日直が号令をかけてからすぐに私は教室を飛び出した。

 部活に行く人の波をかき分けて、急いで昇降口に来た。


 放課後。私は風見先輩が行きそうな場所をすべて回ることにした。

 何か手掛かりが掴めるかもしれない。


 まず初めに、お馴染みのネットカフェに行った。一人で来店するのは初めてだった。


 受付にいる店員さんに、風見先輩を見かけなかったか聞こうとしたけど、私は写真を持っていないことに今さらながら気付いた。


 それに、初めて見るバイトの子だった。たどたどしく接客をしてくれた。会員証を持つ手が震えていた。きっと最近入ったのだろう。

 風見先輩のことは知らない気がした。


 ひとまず私は店員さんに聞くことをやめて、普通のお客さんとしてブースを利用することにした。


「せま……」


 今回、私はシングルフラットルームを選択した。


 一人用のブースは二人用よりも、窮屈に感じた。


 本当はこれでも十分に広いと思う。

 だけど、私は風見先輩と利用することに慣れていた。

 彼女が隣にいないと、元気が出なかった。


 ちょこんと体育座りをしてみる。右隣を見てみると壁だった。切ない気持ちに押しつぶされそうになってしまう。


 ブースを出て、ドリンクバーに来てみた。

風見先輩が好きだと言っていた、リアルゴールドのボタンが目に入った。


 私はそのまま通路をさまよって歩いた。

どこかに風見先輩がいないかな。一縷の望みをかけて、店内を見て回った。


 ネットカフェのブースには、小さな小窓がついている。

 そこを覗くと、中に誰がいるか確認することができた。あまりジロジロ見るのは失礼だから、サッと目を通す程度に収めた。しかし、どのブースにも風見先輩はいなかった。


 少し時間が経ってから、ネットカフェを後にした。


 あと、風見先輩が行きそうなところは……。


「土管!」


 そうだった。彼女にはとっておきの秘密基地があった。


 前に、風見先輩が家にいたくない時に行くことが多いと言っていた。


「どこだったかな……」


 空き地には、彼女に誘導される形で行ったから、正直場所は覚えていなかった。

 でも、そのまま家に帰るなんてことできないよ!


 勘でも良いから街をさまよってみよう。

私は勇気を出して一歩を踏み出した。





「あった……」


 空き地を見つける頃には、もうエネルギーを使い果たしていた。2時間は歩いたように思う。


 前に来た時は、草が生い茂っていたけど、今はきれいになっていた。


 私はそのまま真ん中にある土管に向かった。外側は少し黒い跡がついていて汚れていた。


 ——風見先輩がいますように。

 そんな希望を持って、中を覗いてみた。


「きゃっ」


「うわっ」


「ごめんなさーーーーい!!!」


 土管の中で、男女が密会をしていた。二人は寄り添っていて、突然の乱入者をよくない目で見ていた。気まずい!


 私はすぐに謝罪をして、空き地から出た。


 風見先輩!

 あなたの秘密基地はラブラブスポットになっていますよ!


 時間をかけて来たのに、滞在時間は1分もなかった。コスパが悪いって、こういうことを言うのかな? 違うか。


 次はどこに行こうかな。


 風見先輩との思い出の場所と言えば……。


 頭に浮かんだのは光ホテルだった。

 せっかくだから向かって見ようかな。何か手掛かりがわかるかもしれない。


 私は淡い希望を持って、駅を目指して歩いた。





 光ホテルは、前来た時と変わらないモダンでおしゃれな雰囲気をしていた。

 風見先輩と一緒に建物を見上げたことが、昨日のことのように思う。


 私はとりあえずホテルの周りを数回まわった。敷地内はゴミひとつ落ちておらず、きれいだった。


 ひたすら、ぐるぐるぐるぐる回ると、冷静になることができた。私は一体どうしたいんだろう。


 いい加減、喉も乾いてきた。


 そういえば前にロビーに行った時、自販機があったことを思い出した。


「せっかくだし、ジュースでも買ってこようかな」


 有言実行。思い立ったが吉日。

 私は光ホテルの入り口に向かった。


 自動ドアをくぐると、自販機はすぐに見つかった。フロントのエレベーター横にあった。駆け寄って、ラインナップを上から順に見ていく。


「あっ……」


 リアルゴールドがあった。風見先輩が好きなジュースだから否応なく意識に入ってしまう。


 ネットカフェにもあって、さっき飲んできたけど——。


 ピッ。


 ここは運命だと思い、迷いなくリアルゴールドを購入した。

 早速、蓋を開けて、腰に手を添えてから、一気に飲んだ。


「美味しい!」


 生き返るようだった。喉が潤う。


 一息ついていたら、ロビーにいた男性のホテルマンと目が合った。おかしそうに首を傾げられてしまう。


 そして、スタスタとこちらに向かってくる。


 もしかして……。

 風見先輩の行方を何か知っているのかな!?


 漫画とかでは、ひょんなことから重要人物と知り合う展開ってよくある。


 まさか、あのホテルマンが私に何かヒントをくれるのかも——。


 ドキドキしていたら、彼は私の目の前で静かに止まった。


「——恐れ入りますが、本日こちらにご宿泊のお客様でいらっしゃいますでしょうか」


「えっ」


「もしご宿泊でない場合は、ロビーのご利用はお控えいただけますと幸いです」


「す、すいませーーーーん!!」


 私は、一目散にホテルを飛び出した。制服姿のままだし、自販機しか利用しないし、きっと不審者に見えたのだろう。


 さっきから私、謝ってばかりだ。急ぐ足は、最寄り駅に向かって、とうとう自宅を目指していた。もう外は暗かった。本当はまだ探したいけど、今日は帰るしかなかった。

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