表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風見先輩が私のことを好きなのはラノベアニメの主人公に似てるから。〜好感度高めから始まる恋のススメ〜  作者: 宮野ひの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/50

第29話 どっちから先、お風呂に入る?

 彼女が付けているピアスは、今日はピンク色だった。初めて見た。ピアスは光に当てられて、きらりと光っている。


「ま、待ってください!」


 覚悟はとっくに決めてきた。

 私は駆け足で風見先輩の隣に並んだ。


 ——それからは、たわいもない話をしたり、時には無言になったりしながら、二人で目的地に向かった。


 彼女は不自然に、ホテルの話題については口にしなかった。

 辺りを見回すと、薄暗い雰囲気を感じた。ビルがたくさんあるにも関わらず、人影が少ない。


 緊張を覚えて、思わず唾を呑んだ。


「ついたよ」


「あっ。は、はい!」


 風見先輩の声を合図に、顔を上げると目の前にあったのは——ビジネスホテルだった。

 全国チェーン店で、私も一度耳にしたことがあるホテルだった。


 ラブホテルじゃなかった〜〜〜〜!!!!!

 特大の勘違いをしていた。


「ここ、デイユースプランがあるんだ」


 風見先輩がホテルを見ながら言った。


「でいゆーす?」


「日帰りでホテルに滞在できるプランがあるってことだよ。12時からだと最大22時までいられるんだー。お得じゃない?」


「そ、そうなんですね」


 知らなかった。宿泊以外に、決まった時間だけ利用できるプランがあるんだ。じゃあ、半日のんびり居られるのかな?


「もしかして、ラブホに行くと思った?」


 ドキッ。風見先輩に思考を読まれているのかと思った。

 何も言わずにいると、彼女は気にせず話を続けた。


「……高校生は行けないからね。ビジネスホテルのデイユースプランだったら和央ちゃんの親御さんの同意書はなしで利用できるんだ」


「へぇ。そうなんですね」


「まぁ。ホテルによると思うけどね! ここは大丈夫だった」


「調べてくれたんですか?」


「わ、悪い?」


 風見先輩は頬を赤くして俯いた。初めて見る表情だった。

 いつもどこか余裕ありげで、お姉さんっぽいなと思っていたのに。


 私もつられて恥ずかしくなってしまった。


「わ、悪くないです」


「う、うん」


 二人で納得してからホテルに入った。受付はスムーズに済ませることができた。


 女性の店員さんはチラッと私たちの顔を見たけど、特に詳しく何かを聞くことはなかった。

 そっか。女子同士ってこういう時、何も変に思われないんだ。

 きっと、男女のペアだったら、突っ込まれることもあったかもしれない。


 ホテルのカードキーを受け取った後、二人でエレベーターに乗った。上昇していく箱の中では、私たちは一言も喋らなかった。


 チーンと小気味良い鐘の音が鳴り響き、エレベーターを降りた。カードキーに書いてある番号の部屋に、二人して足早に向かった。絨毯がふかふかしていて歩きやすいなと思った。


「ここかな」


「ここですね」


 お目当ての部屋の前に到着した。

 風見先輩がカードキーをかざしてドアを開ける。電気もつけていないのに、部屋の中は明るかった。今が、お昼くらいの時間であることを思い出した。


 中央にはダブルベッドが置いてあった。窓辺には小さな椅子が一つ。デスクスペースも完備されていて、テレビは薄型で多分、最新式のやつだった。モダンな印象を感じる部屋だった。


「わぁ。和央ちゃん見て! お風呂広いよ!」


 風見先輩が浴槽のドアを開けて大声で私を呼んだ。いつもと声が違うと感じるのは、反響する環境によるものだろう。


「本当ですね」


 私も浴室に顔を出すと、白い大きなお風呂があった。どうやらトイレは別らしい。良いホテルだなと思った。


「どっちから先、お風呂に入る?」


「えっ?」


「だって、添い寝するためには必要なことでしょ?」


 風見先輩は、ぱちくりとした目で私を見ていた。まるでそうすることが正しいと言わんばかりの言い分だ。


「や、やっぱり裸になっちゃうんですか?」


 私は混乱していた。


「えっ?」


「ふ、普通、添い寝する時にお風呂になんか入りませんよ!」


「そうなの?」


 風見先輩が頭の後ろに手を当てて言った。そして続ける。


「わたし、普通ってわからないからなぁ」


「……」


 風見先輩に言われて気づいた。


 実を言うと、私も添い寝の作法については知らなかった。このままベッドに二人でごろんと横になってもいいのだろうか。


 私服のままだとシワが寄るし、やっぱり裸——いや、下着姿になる必要があるんじゃないかな?

 そうなるとシャワーを浴びた方がいい気がするけども……。


 ぐるぐると思考を巡らしたところで答えは見つからない。


 ヒロインのじゅかちゃんは、どうしてたかなと振り返ってみたところで、結局はサトシくんとシちゃったわけだから、何の参考にもならない。


「あの……。じゃあ、じゃんけんをして、風見先輩が勝ったらシャワーを浴びる。私が勝ったら、そのままでって言うことにしませんか?」


 苦悩した末に出た考えだった。

 自分が間違ったことを言っているのか、そうでないのかもわからない。


「いいね。それ採用!」


 しかし、風見先輩はあっさり受け入れてくれた。


「じゃあ、早速いいですか? 最初はグー。じゃんけん——」


 すぐに、勝負をけしかけてしまった。私、結構テンパっている。


 ——そして、じゃんけんの結果、私たちはシャワーを浴びることになった。

 ホテルに入ってものの10分での出来事だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ