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風見先輩が私のことを好きなのはラノベアニメの主人公に似てるから。〜好感度高めから始まる恋のススメ〜  作者: 宮野ひの


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第2話 ネットカフェ

 夢のような出来事だった。頭がぼーっとしている最中、気づいてしまう。私、はいしか言ってなくない?

 これじゃ、緊張感丸出しだよ!


「わおー、いいなー。いつ、風見先輩と仲良くなったの?」


 様子を見ていたみなみちゃんが、すかさず私の元へとやって来た。ポニーテールがご機嫌に揺れていた。


「仲良くも何も、今話したのが初めてだよ」


「あれー。そうなの? じゃあ、なんで、わおに会いに来たの?」


「わかんない」


 私は下を向いた。


「えー。何か共通点とかないの?」


「考えてみたけど、ないかも」


「えー。おかしなこともあるもんだねー」


「うん。だから、びっくりした」


「だけどさー。風見先輩、わおのこと、好きそうに見えたねー。もしかして、一目惚れされたのかもよ?」


 みなみちゃんは、口元を緩ませて、ぷぷぷと笑った。


 ひ、一目惚れ!?


「そんなわけないよ!」


 思いがけず大きな声が出てしまった。みなみちゃんがキョトンとした顔をした。


「冗談だって、冗談! だって、風見先輩って、もっと悪そうな人を好きに見えるんだもん。例えるなら、グラサンをかけてヒゲが生えているようなヤンキー系? だから、"普通"で女の子の、わおのことは、別にタイプじゃないと思う」


「そんなぁ」


 みなみちゃんが的確な分析をした。確信が持てないけど、当たっているように思えて言い返せなかった。


 そうなのだ。私は特にこれといった特技もない。普通の高校1年生だ。クラスでも目立つ方ではない。


 そんな私が、キラキラ女子の風見先輩に誘われる道理がなかった。楽しみだとは思うけど、今は不安な気持ちの方が勝っていた。勢いでOKしちゃったけど、果たしてこのまま行って大丈夫なのだろうか。


「まぁ。わおはさ、あたしといる方が、お似合いってやつなのかもねー。ひひっ。でも、面白そうだからさ。明日何があったか一番に教えてよ」


「う、うん」


 みなみちゃんは明らかに楽しんでいる。グイッと私の肩を抱いて、一緒に揺れた。


 蚊帳の外にいるからこそ、面白がっていられるのかも。

 でも、彼女の気楽さが逆に心強かった。


 その時、チャイムが鳴った。朝のホームルームが始まる。だけど、きっと私は上の空だろう。


 自分の席について、早速頬杖をついた。頭に浮かぶのは、やっぱり風見先輩のことばかりだった。





「すいません。お待たせしました!」


「あはは。SHR長引いてたねー。和央ちゃんのせいじゃないってー。じゃあさ、行こっか」


 1-Aの帰りのホームルームが終わる間、風見先輩は一人、廊下の前で待っていてくれた。一瞬、廊下側に座っているクラスメートがざわついた瞬間があった。なんだろうと思ったら、後に風見先輩がいたことがわかった。


 真っ直ぐ背筋を伸ばした姿は、可憐な一輪の花のようだった。赤い薔薇か、さしずめ白いマーガレットのよう。

 デートで彼女を待たせているような、淡いときめきと、申し訳なさがあった。


 風見先輩は、人の良さそうな笑みを浮かべる。かわいい。


 隣に並んで廊下を歩くと、いつもと景色が違って見えた。同級生の熱い視線を感じる。二度見してくる女子もいた。

 だけど、私を見ているというよりは、みんな風見先輩に注目しているって感じだ。


「和央ちゃんはさ、狭いところって苦手?」


「いえ。苦手ではないです」


 風見先輩がおかしな質問をした。狭いところ? 例えばどこだろう。パッと頭に浮かんだのは個室のトイレだ。


 みなみちゃんが学校を休んだ時、私は他に友達もいないから一人になる。そんな時、個室のトイレが安心安全な場所になる。昼休みとか、人目を気にせず、眠れるからいいんだよね!


 私たちは、そのまま学校を出た。風見先輩は目的地を告げることはしない。てくてくと駅前へと続く道を二人で歩き続けた。


 風見先輩が連れていったのは個室トイレではなく、なんとネットカフェだった。オレンジと黒がマッチした看板が眩しかった。「コミック」「インターネット」「カラオケ」の文字が目に入る。


 えっと。風見先輩。どういうこと?

 私の頭の中は、「?」マークでいっぱいだった。


「ここはわたしがお金出すからね! 和央ちゃんは気にしないで全力でついて来てね!」


「はい」


 そう答えることしかできなかった。


 風見先輩は道中、何も詳しいことは喋らなかった。当たり障りのない会話を繰り広げるだけ。何も掴めなかった。


 私が核心に触れようとすると、「来てくれたらわかるから」と一点張り。


 他にした会話といえば、名前呼びについてだった。風見先輩に、「もう呼んじゃってて、ごめんだけど、和央ちゃんって呼んでいい?」なんて言われたら、「うん」としか答えられなかった。「やったー」と目を細めて笑う彼女の姿がかわいかった。


 立ち話もなんだからと、私たちはネットカフェに入った。風見先輩が慣れた手つきで手続きを進める。

 ネットカフェって初めて来た。ほのかに薄暗い店内を見て、大丈夫かなと少し心配になった。


「和央ちゃん、ソファとペアフラットの席だったら、どっちがいい?」 


 風見先輩が何気なく私に聞いた。


「えっ!?」


 どういうこと? 違いってあるの?

 全然何もかもわからなかった。


「——お任せで」


 聞き返すのも野暮な気がして、精一杯格好をつけて答えた。効果音を付けるなら、キリッが合っていることだろう。


「OK! じゃあ、足伸ばしたいからフラット席にするね〜」


 フラットになっちゃった。確か日本語で平らとかの意味があるんだよね。


 何それ!?

 今いるここも平らなんだけど。圧倒的にちんぷんかんぷんだった。


 どうやら受付が終わったようで、風見先輩は私を手招いた。引き寄せられるように、彼女についていく。


 ……これは甘い罠じゃないよね? 大丈夫だよね?

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