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プロローグ

はいどうも「戦闘機乗りの狐」でございます。

初投稿ということで、まだまだ拙い文章ですが、どうぞよろしくお願い致します。

機体の知識など、間違っている所が多々あるかもしれませんが、ご了承ください!


 小さい頃憧れていた、自由のある場所。

 地上で生きていたのでは、決して手に入らないものがある場所。

 今俺はそこにいる。

 ついに夢が叶った。

 もう泣きそうだった。

 ずっと病室から見ていた自由が、憧れが、今俺を包んでる。

 もう、それだけで、俺の人生には十分すぎる。

 「今まで生きてきてよかった」生まれて初めて、そう、思うことができた。

 もう、俺は自由だ。

 もう、あの鳥かごは遥か後ろにある。

 もう、羽ばたく練習はしなくていい。

 もう、縛り付けるものは、なにもない。

 あの、不自由な日々とは別れた。

 あの、息苦しい日々とは無縁だ。

 俺は、これからの為に、今、初めて生まれたんだ。

 今までの人生は準備運動だ。

 やっとここから走れる。

 どこまでも、どこまでも。

 永遠に。息絶えるまで。

 ずっと走り続けられる。

 飛び続けられる。

 翼が風を切る振動が、じわじわと伝わってくる。

 まるで一体化したみたいに、俺の手が風を切っている、と感じるくらいに。

 フラップを少し動かしてみる。風が当たって、その感覚が足から伝わる。

 本当につながってるみたいだ。

 俺は、三角の隊列の一番左端を飛んでる。そして目の前に、三機。

 隊長、その後に続いて二機、その後ろに、俺を含めて三機で飛ぶような隊列だ。

 隊は、三機が牽引タイプで、残り三機が双胴タイプ。両方ともレシプロ機である。ただ、牽引機の外見は、それぞれ違う。

 恐らく、隊長機と、俺の機体がオーダーメイド品だろう。そのほかは、軍が主力にしている戦闘機だ。

 我が国の空軍で、パイロットになるには、当然、技術とか訓練が必要で、それをパイロット訓練用の学校で習う。

 一緒の時期に、空軍へ入った同期は、千人ほどはいる。

 皆それぞれ、いる期間は別々だ。パイロットになるのに必要な、技術や訓練、才能が足りないと見なされると、さらに一年追加でいることになったり、除隊させられたりする。

 もちろん、成績が上位の奴らは、他の奴らよりも早く、訓練課程が終わる。

 そして、同期の中で成績上位五人は、自分の好きなようにカスタムした、いわゆる「専用機」を作ってもらえる。

 もちろん、自分で費用を負担するか、訓練学校を卒業した後でも、撃墜数を稼げば「専用機」を作ってもらえる

 俺は、学年三位の成績で、一年のうちに訓練課程を終えた。

 俺の機体もオーダーメイド品で、二十気筒の水冷式エンジン、二重反転プロペラ、逆ガル翼、という構成の機体だ。

 多少重く、機首が長いけれど、速度と積載兵器量、馬力はすさまじい。

 主兵装は、三十ミリモーターカノン、十五ミリ翼砲が二門。

一撃離脱用に作られているが、格闘戦もこなせる。

 初任務は、偵察任務らしい。

 敵の基地の様子を見てくるという、簡単なものだ。ただ、少々の疑問がある。俺達の隊は六機編成だが、そのうちの半分しか偵察機がいない。

 護衛用の戦闘機が多すぎる。護衛にしては用心深すぎるし、戦闘任務では、足手纏いになる偵察機が、編隊に入っている。どちらにせよ不可解だ。

 それからしばらくそのまま飛び続けた。多少の進路変更かあったけど、大凡真っすぐに、高度も下げずにそのままだ。

 目の前には、背の高い雲が何本も立っていた。それが朝日に照らされて、立体的になっている。

 雲のビル群を抜け、しばらく飛んだところで、隊長から無線が入った。短く、簡潔な内容だったけれど、それは俺をワクワクさせるのに十分すぎる言葉だった。

 「敵機だ。右前方、一時の方角。六機いる。」

 その無線を聞いた途端、偵察機は進路を変え、降下していった。

 また隊長から無線。

 「あいつらを墜として帰るぞ。それぞれ自由行動を許可する。では、散れ」

 その言葉を隊長が発した瞬間、左手で握っているレバーを思いっきり前に倒し、ラダーを右に揺らして、全速力で敵のほうへ向かった。

 逸早く曲がっていた隊長機すら追い越し、俺が一番先頭へ出る。

 もう敵機が、黒い点ではなく、はっきり見えるほどの距離まで来た。

 機銃の安全装置解除。

 ペダルを踏んで、フラップの感度を確かめる。

 ラダーの動作確認。

 いける。おかしいところは何もない。

 初めてのダンスだ。

 楽しませてくれよ。

 俺の中に、恐怖や心配はない。

 今あるのは興奮だけだ。

 敵はやっと俺たちに気付いて、散る。

 が、もう遅い。

 敵機をとらえた。

 エンテ翼の推進型。

 こいつが俺の初めの獲物だ。

 機銃を一秒掃射。

 当たった。

 敵機が炎上し、くるくると回りながら、雲の下へ落ちていく。

 すぐにターン。

 シートに体が埋もれるが、これくらいは大丈夫だ。

 そのまま背面になり、状況を確認する。

 敵機は四機。味方は一機落ちてる。

 次の獲物に狙いを定める。

 決めた。

 こいつもさっきと同じ機体だ。

 背面のまま降下し、狙いを定める。

 敵はちょうど旋回しようとしていた。

 そして俺に気付いて降下しようとする。

 撃つ。

 当たった。

 主翼の先端が折れ、エンジンにも数発当たった。

 エンジンが煙を吹いて、出力が低下してるようだ。

 もう、あいつは飛べないだろう。

 この下は海だ。

 そのまま高度を下げ、やがて雲の中へと姿を消した。

 俺の後方から、光るものが飛んでくる。

 撃たれてる。

 ロールしてどうにか躱す。

 キャノピーの後方に顔を押し付け、後ろを確認。

 二機付いてきている。

 俺は、必死にロールとフェイントを繰り返し、どうにか敵弾を交わす。

 「このままじゃ不利だ。一度雲の中に入って立て直すぞ。」

 隊長の無線を聞いて、雲を探す。

 下には雲の海が広がっている。

 でも、そこまで降下してると、墜とされる。

 目の前に、先ほど通り過ぎた雲のビル群が見えた。

 その中に入る。

 再び後ろを確認。まだ来ている。

 雲の間を縫うように飛ぶ。

 隊長はどこに行ったか分からない。

 そうして飛んでいるうちに、隠れるにはちょうどいい雲が、目の前に現れた。

 まるで草むらに飛び込むようにして、背面からダイブする。

 そして後ろを確認。

 もう来ていない。

 雲を出てからターンをし、また上に戻った。

 恐らく、あいつらは俺が逃げたと思っている。

 そして、隊長を落とすために、会敵したところへと戻るはずだ。

 雲の上に出ると、そこは雲のビル群の終わりのほうだった。

 上空を確認。いる。

 俺の遥か上。斜めの位置にいる。

 スロットルハイ。

 一気に速度を上げ、上昇する。

 まだ気付かれてない。

 機銃が確実に当たる距離まで粘る。

 敵機が散る。

 気付かれた。

 そのままの勢いで、機体を水平に戻し、一機の後ろについた。

 機銃を構える。

 まだ。まだだ。

 粘る。

 撃つ。

 敵機は、爆発して墜ちていった。

 後方から閃光。

 後ろに付かれた。

 もう燃料がやばい。

 逃げている余裕はない。

 刹那の判断ミスで、俺は死ぬ。

 操縦桿を引いて上昇、すぐに減速。

 敵機を前に押し出した。

 そのまま機首を抑え込んで、敵機を捉える。

 機銃を掃射。

 ほぼ全弾が命中。

 敵機は爆散した。

 それから三分ほどたった。

 俺はずっと同じところをグルグル回っている。

 しかし、隊長からの無線はない。

 もう帰還しているか、墜ちたかのどちらかだ。

 そんなことを考えるよりも先に帰らなければ、ガス欠で墜ちてしまう。

 旋回をやめ、基地のほうへ戻る。

 燃料が心もとなくなってきた。本当に帰れるだろうか。

 まだ興奮が冷めやらない。こんなにも冷たいところにいるのに、汗をかいていた。

 人生で初めての興奮と、楽しさを感じている。

 ずっと飛んでいたい。

 こんな時間がずっと続けばいいのに。心の底からそう思ったのは、これも人生で初めて。

 山のような雲の外周を回り、雲の平原へと出た。蒼天の空と、ずっと向こうまで、果てしなく広がっている雲の海。

 あの果てには何があるのか。

 あの果てまで飛んで行ったら、俺たちのことが分かるだろうか。

 なにか、一つでも、生きる意味が、死ぬ意味が、戦う意味が、飛ぶ意味が、何か、一つでも、見つかるだ ろうか、分かるだろうか。

 自分の人生を一瞬の為に捧げる。そんなことの意味が、分かるだろうか。

 そんな事は分からないだろう。

 分からなくていい。

 それが分かるのは、きっと死ぬ間際だ。

 死ぬ間際にやっと気付く。自分の人生の無意味さ、尊さに。

 そんなことを考えていると、すっかり興奮が冷めた。

 雲のすれすれまで高度を落とし、雲の中に潜っていく。辺りが真っ白になって、キャノピーに水滴がつく。

 そのまま雲の下へと降りた。下は海じゃなくて、陸になっている。少し降りるのが遅かったと思う。次からは気を付けよう。

 基地の滑走路が見えてきた。なぜかは知らないが、地上に降りるのが少し残念に感じる。

 管制塔に無線を入れて、着陸態勢に入る。正直、俺はランディングがあまり好きじゃない。離陸は難なくこなせるが、着陸は嫌いだ。

 後輪がついて、振動が伝わってくる。

 そして間もなく、前輪がついて、機体が小刻みに揺れる。どうもこの振動が嫌いでならない。

 そのまま格納庫のほうへ移動する。そして、エンジンを止める。キャノピーをスライドさせ、外に出る。ゴーグルを外し、空を見る。もうっすっかり日が昇ってた。

 整備士がこちらへ走ってくる。翼を伝って飛行機から降り、しばらくボーっとしてから、事務棟のほうへ歩いていった。



はい、ということで楽しんでいただけたでしょうか?

まだ私は16歳ということもあり、いろいろと学習中でございます(-ω-)/

続編も出しますので、よろしくお願いいたします!!

ついでに感想、ブックマークもろもろしていただけるとモチベ爆上がりします(/・ω・)/


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