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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

せつなさがはじまる

作者: 川原にゃこ

 レオノーラと出会ってどれくらい経ったのかしら、と考えて、あまり時間が経っていないことに驚く。近頃、私はずっとレオノーラと一緒だったから、もっと昔から仲良しだったような錯覚をしていたのだ。 お休みの日はいつもレオノーラとお出かけをしたし、レオノーラがお仕事のときは、レオノーラがお仕事を上がる時間帯付近に合わせて、レオノーラが働いている喫茶店に行き、お茶を飲みながらレオノーラを待った。今もそうだ。レオノーラも私も、明日はアルバイトがないから、今日はこのあと一緒に晩御飯を食べて、レオノーラのおうちでお泊まりをするのだ。 時間を潰すために持ってきた本は、もう読み終えてしまったので手持ち無沙汰気味にそわそわする。もうすぐレオノーラを独り占め出来る!そう思ったとき、急になんだか不思議な気持ちになった。 注文をしてからかなり時間は経っているけど、まだほんのりと湯気を立てている手元のミルクティーにぼんやりと視線を落として、ふと考える。


 親友って、なにかな。


 いくら仲良しでも、こんなに一緒にいるのは、変?

 レオノーラは嫌な顔をしないから私もつい甘えちゃっているものの、レオノーラも、他の友達と遊びたいときとか、あるんじゃないのかな。


 ……やだな。

 そう思ってから、はっとする。

 私、いま、レオノーラが私以外の人と遊ぶのを考えて、はっきりいやだと思ってしまった。

 こんなの、友達を独占したいと思う領分を超えてる気がする。なんだか、恋人同士のそれのようだ。


 そこまで考えて、おまたせ、と肩をつつかれて、私はびくりと身を震わせた。私の大袈裟な反応に目を丸くさせて、やだ、エリアナどうしたの、とレオノーラが笑う。私は、あははと笑って、残りのミルクティーを飲み干してから、席を立った。気付かれちゃいけない。


 そのあと、私とレオノーラは可愛いお店で晩御飯を食べて、レオノーラの家に向かった。

 何度もお邪魔しているから、勝手知ったるお風呂を借りて、次はレオノーラがシャワーを浴びる。

 いま、レオノーラの部屋に一人きり。

 ベッドにもたれかかりながら、ぼんやりと部屋の中を見回した。レオノーラらしい、センスの良いインテリアで統一されていて、棚のところには私とお揃いで買ったアクセサリーなんかが宝物のように飾られていたので、私は少し嬉しくなってくす、と笑った。あれはおそろいで買ったやつ、あれも、あれも……レオノーラの部屋にあるものに、私以外の気配がしないことが、ただただとっても嬉しかった。


 まだレオノーラはお風呂から帰ってきてないけど、私はもぞもぞとベッドにもぐりこんだ。

 私とレオノーラがお泊りしたときは、いつも同じベッドで引っ付いて寝る。

 お互いの部屋にあるのはシングルベッドだけど、別に狭さは感じないし、女の子同士なら“本当に仲のいい二人”っていうので、隠れられる気がした。


 でも、ほんとうは、ドキドキしてる。


 レオノーラのまつげの長さにも、薄く開かれた唇にも、綺麗な肌にも、いつも以上に近く聞こえる吐息にも。立ちのぼるいい香りにだって。

 何度も何度も気付かないふりをしてた。でも、やっぱりもう自分の気持ちに嘘をつけない。


 私はレオノーラのことが好き。


 どうして、私たちは女同士なんだろう…

 女同士じゃないと、こんなに仲良くなれなかったかもしれない。むしろ、出会ってすらなかったかも。 けれど、やっぱり考えずにはいられない。 もしも私が男の子だったら、レオノーラに好きって伝えて、友情のしるし以上のキスが出来たかな。でも、きっとだめね。私は男の子になったって、レオノーラに好きって伝えられず終わってしまう気がする。私は弱虫だもの。それを伝えることによって、レオノーラとの関係が崩れてしまうことが怖くて、言えない、きっと。 だけど、レオノーラに対してそんな気持ちになるのはごく自然のことだから、まだ許される気がする。

 私は女で、レオノーラも女の子。

 同性にこんなことを思うのなんて、きっときもちがわるい。レオノーラに知られて、気持ち悪がられたくない。

 だって、嫌よね。さも、親友です!って顔をしている相手が、自分のことを恋愛対象として見てるなんて。男女ならまだしも、同性だもの。気持ち悪いわよね。

 大声で小さい子みたいに泣き出したいくらい悲しい。辛い。どうして女同士なんだろう。


「エリアナ、もう寝てるの?」


 そんなことを考えてると、レオノーラが帰ってきた。

 返事をしようかと思ったけど、さっきまでそんな考え事をしていたせいで、今にも泣き出しそうだったから、それを気付かれたくなくて返事をしなかった。レオノーラは私がもう寝てると思ったらしくて、私の頭を二、三度撫でてから、電気を消した。


「おやすみ、エリアナ」


 おやすみ。好きよ、レオノーラ。

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