表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短い作品の短編集(リィズ版)  作者: リィズ・ブランディシュカ
2/5

第2話 残酷な世界



 ねえねえ、聞いて。


 聞いて聞いて聞いてよねぇ。


 聞いてくれるまで、お話しつづけちゃうんだから。


 夢って素敵だよね。

 夢って良い物だよね。

 夢って本当に夢みたい。


 だって、夢の中なら


 普段は出来ない事、言えない事。

 何だってできるんだから。


 何でもできる、何でも言える。

 なんにでもなれる。


 不可能なんてない。


 万能の世界。

 天国みたい。

 神様の世界みたい。


 夢の世界で何かをやるのは簡単。


 そこが夢だって気づくだけ。

 空を飛ぶことだって、魔法を使う事だって、イメージさえできれば夢の中では何でもできちゃう。


 けれど、私には夢の中で出来ない事がある。


 あるんだよ。


 あってしまうの。


 とても悲しいけれど。


 ああ、悲しい。


 悲しいなぁ。


 辛いよ。


 辛すぎるよね。


 涙が出ちゃう。


 ぽろぽろこぼれちゃう。


 夢の世界ってね。


 こんなにも自由な世界なのに。

 こんなにも可能性に満ちた世界なのに。


 私には、出来ない事が多すぎるの。


 だって、実際にやってみた事ないから。


 私にとって、やった事が一度もない事は、イメージできないんだよ。


 おかしいよね。

 変だよね。


 笑っちゃうよね。


 あはは。

 あははははは。


「ーー」


 変な顔。


 私に気をつかって何もいえなくなっちゃった?


「ーー」


 ごめんね。


 いつも慰めてくれるのに。


 よりかからせてくれるのに。


 私の唯一の人。

 大切な人。


 たった一人の、話し相手。


 同じ気持ちが分かる人。


 存在しない人。


 目覚めている世界ではいない人。


 私が身動きできない世界では、ベッドの上に横たわる事しかできない世界では、とっくに亡くなっている人。


 でも。


 これだけは続けさせて。


 ここは夢の中。


 ここは。


 もういない君にだって会える世界。


 なのに。


 こんなにも、自由な世界なのに。

 私は今、そんな自由な世界にいるのに。

 何一つ望み通りには動けないんだから。


 こんなの、まるで現実と変わらないよね。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ