表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私と玉彦の正武家奇譚『陸』~誕生編~  作者: 清水 律
私と玉彦の正武家奇譚『陸』~誕生編~
205/335

33


「解決、ということで宜しいのでしょうか?」


「ひとまず解決でしょうね。竜輝くんの同級生はもう肝試し行こうって他の子を誘わなくなるだろうし一安心ね」


 ただ心配なのが、高橋棟梁の娘さんが正武家の御法度を犯したということで、数時間だけ村八分にされたことだ。

 学校は冬休みに入っているので、休みが明けてから友達が彼女にどう接するのか。

 もう放免となっているとしても、気まずいことこの上ないだろう。

 竜輝くんやエドワードにフォローを頼みたいところだが、彼らとはクラスが違うため見守ることしか出来なさそうだ。


「一安心ですが……。一体何がどうなって解決の運びになったのかお伺いしても宜しいでしょうか」


「あーうん。そうよね。でも私も澄彦さんとか須藤くんから聞いただけだから詳細は玉彦の方が知ってると思うわよ」


「俺は外に出ていた故、比和子と同様だ」


「そうなの? じゃあやっぱり私が話した方が良いみたいね」


 仰向けでお腹の上で指先を組むと、竜輝くんとエドワードは僅かに身を乗り出した。

 相当気になっていた様である。

 私は時系列を思い出しつつ、口を開いた。



 始まりは彼ら二人の相談からだった。

 内容を聞いて私の手には負えないと判断し、鈴を鳴らせばすぐに玉彦と須藤くんが駆け付けた。

 そして改めてオカルトの館というサイトを皆で見れば『カズヲ』という人物がおり、エドワードを除く全員が鈴木くんを思い浮かべのだ。

 日本全国に『カズヲ』と名乗る人物は数多居るだろうが、なぜかこれは鈴木くんだろうと満場一致だった。

 私の元へ来る前に鈴木くんと他愛もない会話をしたという須藤くんの証言を聞き、玉彦は後ろめたくて連絡をして来たのだろうと推測。

 ともかくこれ以上話を拡散されたくはないので、玉彦は然るべき関係者に連絡を取り、一時的に関係者以外のサイトへのアクセスを制限、そして五村へ来ようとしている人間たちの素性を調べることを依頼した。

 然るべき関係者とは警察関係なのだろうが、詳しくは教えてはもらえなかった。


 そうして本来なら玉彦を中心に対策を講じるはずだったが、ここで外からのお役目が舞い込んでしまった。

 いつもなら急ぎではないなら年末だし飛び込みだし、来年の話になるはずなのに受けざるを得なかったのは、玉彦の母親である月子さんの職場の人間からだったから。

 だったら僕が行く! と澄彦さんは胸を叩いたのに、依頼者は玉彦を御指名で、しかも月子さんには内緒でということだったので豹馬くんと向かうことになり、この一件は誰もが適役ではないだろうと思う澄彦さんが担当になったのだった。


 半日ほどで終わると思われていた玉彦のお役目は日を跨ぐ格好となり、澄彦さんと私は二人で寂しいクリスマスを過ごす予定だったが、鈴木くんが絡んだ騒動により澄彦さんや稀人はクリスマスどころではなく、私は一人でぽつんと部屋にいた。

 須藤くんや多門が報告に来てくれたので寂しくはなかったけど、何よりも体調が頗る悪く、寝込んでいた。

 時折心配した玉彦から電話が来たり鈴が鳴ったりしていたけれど、何回かは深い眠りに就いていて気付かなかったほど。

 悪夢とまではいかないものの不思議な夢が続き、寝汗までかいていた。


 玉彦が外に出て、私が寝込んでいた間。

 澄彦さんと南天さんは粛々とお役目をこなし、そして須藤くんと多門は買収した流子ちゃんの助けを得て、緑林村でクリスマスパーティーという名の集団お見合いをしていた。

 美山高校の緊急イベントの賞品である『稀人様とデートできる権』は須藤くんと多門から裏金を受け取った流子ちゃんが無事落札。

 けれど何もしないのは疑われるから、と大人数でのパーティーを催したのだ。

 近隣の村からも男女が集い、かなり盛況だったらしい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ