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ダンスパーティの当日、私はマリアンヌとサーヤと一緒に会場に入った。


ロイヤル棟のダンスパーティ会場は、広く豪華な装飾が施されたきらびやかな空間だった。天井には大きなシャンデリアがキラキラ輝いている。ホールの一角には、オーケストラが陣取っていて、素敵な演奏を奏でていた。


ダンスホールの続きに広いテラスがあり、豪華な料理とテーブルが準備されている。

ビュッフェ形式で並べられたお料理は、何十種類も並べられ、美味しそうな匂いが漂っていた。テラスからは、そのまま庭にも自由に出られるようになっていた。


さすが、王室主催のダンスパーティね。たかが学園のイベントと馬鹿にできないくらい規模が大きいわ。


そして、会場は既に大勢の学生達で賑わっていた。多くの女子学生は、美しいドレスを身にまとい、最大限に自分を着飾りパーティに臨んでいるようだ。

でも、3分の1くらいは、私達と同じように制服で参加している。貴族社会の夜会と違って、自由な校風で良かったな〜ってつくづく思う。


私達がおしゃべりしていると、ミアとショーンが声をかけてきた。ミアは薄い紫色の素敵なドレスを着て可愛らしく髪を結いあげている。


「ミア!とっても綺麗よ。今日はショーンとダンスに参加するのね!」

「本当!良く似合ってるわ。ショーンはちょっと、頼りない感じだけどね!」

ミアが楽しそうに答える。

「やっぱり、そう思う?」

「なんだよ、それ!ミアがダンスに参加したいって言うから、付き合ってやってるのに!」

文句を言いながらも、ショーンは満更でもない感じだ。二人とも貴族令嬢と子息だけあって、ちゃんとダンスをたしなむのね、と感心してしまう。


私達がワイワイ盛り上がっていると、ようやく、このパーティの主催者になるクラーク殿下が会場に現れた。隣に控えめな黒の護衛服を着たアレンを従えている。


----アレン、帯剣してる...。よく見ると騎士らしき人達があちこちに配置されてるし...本当に殿下の周りに厳戒体制が敷かれているんだわ...。


女子学生達は、クラーク殿下とアレンの登場に黄色い歓声をあげる。


「お二人とも、今日も素敵ね!」

「殿下の正装姿、いつ見ても凛々しいわ。」

「でも、アレスフォード様は護衛服を着ていらっしゃるわ。今日は踊らないのかしら?」

「え~。今日こそアレスフォード様とイレーネ様、ご一緒に踊られる姿見られると思ってたのにぃ。ざんね~ん!」

「でも、クラーク殿下が正装されているなら、後で私達も踊って貰えないかしら!」

「あなたパートナーいるでしょ?」

「殿下に踊って貰えるなら、1回くらいいいわよ!」


女子学生達は、やっぱり逞しい。それにしても、クラーク殿下とアレンの人気は、やっぱりすごいのね。


ふと、アレンと殿下の周辺に目をやると、近くにイレーネ様の姿もあった。薄い水色のレースがふんだんに使われた、フワリとしたドレスを着ていて、今日もとても美しい。何を着ても聖女を思わせる清らかさを醸し出しているのよね。

イレーネ様の隣に居るのは、以前、生徒会室で会った優しそうな青年だ。きっと今日のイレーネ様のパートナーなのだろう。


クラーク殿下が短いご挨拶をされた後、オーケストラがワルツを奏で始め、ダンスが始まった。

ミアとショーンは、「後でテラスの方に行くから。」と言って、ホールの中央へ進んで行った。

私とマリアンヌとサーヤはテラスに移動し、1つのテーブルを陣取った。薄暗くなった夜空に星が輝き始め、爽やかな風が木々を揺らしていて、心地の良い空間だ。

ホールの方からは、オーケストラの楽しげな音楽と賑やかな笑い声が聞こえてくる。色とりどりのドレスがくるくると機械仕掛けの人形のように踊っている光景が明るい光の中に浮かび上がっている。


私達は、思い思いに好きな料理と飲み物を運んできて、おしゃべりを始めた。

「このお肉すっごく美味しい!」

「こっちのパイも絶品よ。」

「どうしよう。色々食べたいけど、全部食べれそうにないわね!」


「食べてばっかりいないで!今度の休暇の計画を立てなきゃ。」

「あっ..そうだったね。」

「でも、お腹ペコペコだから、もう少し腹ごなししましょうよ~」


てな感じで、食べるのに夢中で中々話が進まない。

その内、ダンスの1曲目が終わったようで、テラスに出て来る学生が増えてきた。次の曲が始まってもホールで談笑を続けている学生達もいる。


「疲れた~。」

「もう、お腹ペコペコだよ。」

ミアとショーンもダンスを終えて、私達のテーブルにやって来た。

「まだ1曲しか踊ってないでしょ。」

「いや、先に食事をしたい!お腹がすいて、もう踊れないよ。」

一層、テーブルが賑やかになった。


その時、突然会場の灯りが一瞬、真っ黒になった。すぐに再び明るくなったが、学生達に動揺が広がり、会場がざわつく。ホールから聞こえていた音楽も止んだ。嫌な感じだ。

「何?」

「どうしたのかしら?」


真っ暗な庭先の木立から、バサバサと大きな鳥が羽ばたく音が聞こえた。


----この感じ...。見たことある気がする。


私は頭を抱えて、記憶をたどる。不吉な..鳥の羽音...。


----!!あれだ!あの時の夢だ!


私は、ガタンッと大きな音を立てて立ち上がる。

「キラ、どうしたの?」

マリアンヌ達は驚いていたが、構ってなどいられない。私は、一目散にホールに向かって駆け出した。


----あの夢...他に覚えているのは、散らばったガラスの粒..。金髪の人...。


ホールに飛び込んで最初に目に入ったのは、大きなシャンデリア。その下に居たのは金髪の......クラーク殿下だ!!


殿下は、動揺する学生達を落ち着かせようと立ち回っているようだった。騎士達に会場内の確認を命じている。少し離れた所にアレンの姿があった。


「危ない!!」


私は何も考えずにクラーク殿下の方に全力で駆け出した。

同時に黒い影が、シュッとシャンデリアの方に飛んでいくのが見えた。


私が殿下に体当たりするのと、ドーンという大きな音と共に、体に大きな衝撃を感じたのは、ほぼ同時だった。

薄れゆく意識の中で、横たわる殿下の金髪とキラキラと散らばったシャンデリアの破片が見えた。

そして、私はそのまま意識を失った。


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