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中学部の時からの友人、ミアから魔道具作りの話を聞いた時は、魔法が使えない子達のお遊びかと思った。でも、詳しく話を聞いてみると、かなり本格的に研究を考えていて、正直驚いた。そして、それを発案したのが、ヒースリィの赤魔女だと聞いて、俄然、興味が沸いた。


彼女が僕らと同じ1年生で、研究科に入学したのは聞いていたけど、学園では全く見かけることがなく、謎の存在だったから。


実際に会ってみたキラは、全然イメージと違って、気さくで元気いっぱいな可愛いらしい少女だった。



学園で見かけないと思ったのも、意図的に魔法科に近寄らないようにしているためだと分かった。余計な混乱やトラブルを避けたいと思っているようだ。

確かに魔法科の貴族連中が、キラのことをどう扱うか分からない。平民や下級貴族の多い研究科のような寛容さは期待できないだろう。


考えてみれば、瞳の色が赤いというだけで、キラは至って普通の子。生まれた境遇のせいで、周囲に気を使いながら嫌な思いもしてきて、それでもあんなに朗らかにしていられるなんて、健気に思う。

実際、本当に可愛いいんだよな。



その日の放課後、僕は魔法科棟の1階の教室から外を眺めていた。もう、他の学生達の姿はほとんどなく、皆、自由に過ごしている時間だ。


ふと食堂棟の方を見上げると、2階のテラスに女子学生が数人集まっているのが見えた。


---キラ? どうしてキラがあそこに?


ちょっと嫌な感じがした。

カシカシと窓を叩く音がして、視線を下ろすと、そこには銀色の毛並みの猫がいて、僕の方をじっと見ていた。

猫は僕を見ながらミヤオと大きな声で鳴き、まるで着いて来いと言っているようだった。

不思議に思ったけど、思いきって後をついて行くと、猫は真っ直ぐに食堂棟に向かった。


食堂棟の階段を登ったところで、キラを見つけた。男子学生に絡まれているようだ。固い表情で何か話している。


「キラ、どうしたの?」


声を掛けながら僕はキラに走りよった。

一緒にいた男子学生は、ホフマン伯爵家の息子、エリックだった。傲慢で女性関係にもだらしないとの噂があり、あまり評判が良くない奴だ。


「キラ、研究科のトーマス教授が君を探していたよ。見かけたら連れて来るよう言われたんだ。一緒に行こう。」

咄嗟にそう嘘を言うと、キラは、ほっとした表情をした。

「エリック様、申し訳ないですが彼女、連れて行くので失礼します。」

僕はそう言うと、睨み付けるエリックを無視して、キラを連れてその場を離れた。


食堂棟を出て、研究科棟に向かう小路まで来たところで、キラはようやく表情がやわらぎ、安心したようだった。


「ショーンありがとう。助かった。」

「エリックには気を付けた方がいいよ。あいつ、あんまりいい噂ないから。」

「うん。分かった。」

「キラ、なんであっちに行ったの?」

「イレーネ様から話をしたいと言われて..。」

「イレーネ様に?」

「アレスフォード様のことで相談したいって言われたの...。」


「アレスフォード?!」


アレスフォードと言えば、学園中の女子から熱い視線を集めて、氷の貴公子とか言われて騒がれている奴。女性達が騒ぐのも納得の美貌の持ち主だけど、いつも無愛想で何を考えているか分からず、近よりがたい雰囲気の3年生。

つい先週、剣術の合同演習で僕がボッコボコにされた相手だ。

なぜか僕ばかり恐ろしい目で睨まれて、容赦なく剣を叩き込まれて、本当に殺されるかと思った..。


「なんでアレスフォードのことを?」

「アレスフォード様..アレンは、私の幼馴染みなの。それで...私が色々迷惑掛けてて..イレーネ様が心配されてるみたいで..」


「幼馴染み?!えっ?そうなの?...で、迷惑って、アレスフォードに何かしたの?」

「あの..私、アレンに剣術教えて貰ってて...余計な時間を取らせたりしてたから..他にもいろいろ心配させてるみたいで..」

「剣術?!あいつから剣術なんて習ってんの?」

キラはコクリと頷く。

「...でもそれは、あいつが教えるって決めたことだろ?他人がとやかく言うことじゃないんじゃないかな?」

「イレーネ様は、アレンのことを心配して、私にお友達になりましょうって言ってくれただけよ...」


「.....何それ?意味が分からないな。いずれにしてもキラが気にすることじゃないよ。」

「ありがとう。ショーン..」


すると、さっきの猫がどこからか、またやって来て、キラの足元に体を擦り寄せじゃれついてきた。


「ジン!どうしたの?」

キラが猫を抱き上げる。

「その猫、キラの猫?」

「そうよ。ジンっていうの。可愛いでしょ!」

「でも、その猫って...どこで見つけたの?」

「??? 以前、アレンがプレゼントしてくれたのよ。どうして?」


「....」


----いや...その猫、聖獣だよな?分かってないの? そうか...キラは魔力がないから分からないのか?


しかも、アレスフォードから貰ったって?あいつの聖獣ってことか?

えっと..そういうこと?あいつ、キラにがっちり監視付けてるってことじゃん。怖っ!!ストーカーかよ!?


.... てゆうか、僕があいつにボッコボコにされた理由は、キラか!?


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