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私は毎日忙しく、学園の日々を過ごしていた。

授業が終わると図書室に行き、自主学習。時々、マリアンヌ達と一緒に調べものをしたり、おしゃべりをしたり。

その後は一旦寮に戻って、剣術の鍛錬のための荷物を抱えて森に向かう。森には誰も来ないので、木の茂みに隠れて活動服に着替え、筋トレや素振りなど、一人で出来る練習に明け暮れていた。

そろそろ、練習相手が欲しい所なんだけど、まだクラブに入るかどうか決めかねている。


その日も、私は森にやって来て、茂みに隠れて活動服に着替えをしていた。


突然、背後からガサッと音がしたと思うと、

「キラ?....うわっ!!」

と声がして、ビックリして振り向くと、アレンが驚いた顔で立っていた。


「きゃぁぁぁっ!!」


「ご...ごめん!!」


アレンが慌てて後ろを向く。

私は頭が真っ白になって、その場にうずくまった。ちょうど制服のワンピースを脱いだところで、下着しか身に着けていない。


「は..早く服を着て!! 何やってんだよ、こんなところで!」

「だって... 人が来るなんて思わないからぁ..。」


恥ずかしい..。こんな姿をアレンに見られてしまった..。私はパニックになりながら、急いで服を着る。焦ってしまって、なかなかうまく着られない。


「もう!やだぁ..なんで来るのよ!アレンのバカ!!」

涙目になりながら、思わずアレンに怒りをぶつけてしまった。


「こんな所で着替えてるなんて思わないだろ!...キラが森に入って行くのが見えたから...だいたい、来たのが僕じゃなかったら..どうするつもりだったんだよ!」


「........。ごめんなさい..もういいよ。服着たから...。」


アレンはゆっくり振り向いたけど、気まずそうに視線をそらして口元を手で覆っていた。まだ顔も赤い。


「で?その格好は?」

「あの...私、剣術の鍛錬をここでしてて..汗かくし..汗だくのまま寮に戻るのも恥ずかしいし...どうせ誰も来ないと思ってたから..。」


「はぁ~...」

アレンは大きなため息をついた。


「あの...」

「キラが剣術クラブを覗いていたのも、鍛錬のため?」

「知っているの?」

「噂になってるよ。」

「え?!..そうなの?..だって、ひとりで練習しても限界があるし..相手が欲しいなって... 思って..」


「なんだ...そういうことか..」


アレンは何かモゴモゴ言っていたけど、ちょっと表情が柔らかくなって、少し考えてから、ふいに私に満面の笑顔を向けて言った。


「じゃあ、僕が鍛錬に付き合うよ。」

「へっ?!」

「相手が欲しいんだろ?」

「...そうだけど...いや..」


----だって、私は、、あなたに殺されたくなくて、剣術を始めたんですけど!

もうすぐ、殺されるかもしれないのに?!

もしかして、練習中に刺されるとか?!


確かに昔も相手をしてもらったことはあるけど..。

でも、アレンの弱点を知るにはいいのかも?いやでも、アレンに弱点なんてあるのかな?


なんか、色んな考えが頭をぐるぐる回って、訳が分からなくなってしまった。


アレンは、混乱している私をよそに、


「毎日という訳にはいかないけど。週1~2回は時間作るようにするね。」


って。

え?もう決まり?決定?私、まだ何も言ってないけど。


「ちょ...」


アレンはニッコリと不適な笑みを浮かべる。有無を言わせない、吸い込まれるように青い瞳の強い視線。

アレンはゆっくりした口調で念を押す。


「いいよね。」


「...はい..」


怖い..。

なんだか、どんどん追い込まれてる気がする..。


「じゃあ、早速始めようか。早く剣を構えて。」

「はっ..はいっ!」


久しぶりのアレンとの打ち合いは、すごく楽しかった。私は無心で、本気でアレンに打ち込むが、全く歯が立たない。

アレンの方は、魔力を使わず相手をしてくれていたけど、全然余裕の顔で...。動きの少ないアレンに対して、私はちょっとしたフェイントを入れながら隙を作ろうと、激しく剣を振るうが全然駄目。私の動きは全部アレンに読まれているみたい。以前よりずっと上手くなっていて、全く隙がない。


鍛錬を終える頃には、私はくったくたに消耗してしまった。息が上がり、その場に座り込んだまま動けない。これは、明日は全身筋肉痛だわ...。


アレンは楽しそうに笑いながら、座り込む私の前でかがみ顔を覗き込んだ。

「キラ、大丈夫?立てる?」

「大丈夫-----。少し休めば、動けるようになるわ。アレン、すごく剣の腕を上げたのね。全然、歯が立たないわ。」

私は、まだ息が上がったままだ。


「最近は週1回、騎士団の訓練に参加させてもらってるからね。」

「騎士団?!どうして?アレンは殿下の側近候補ではないの?」

「強くなりたいから...。まあ、僕の趣味みたいなものかな。それに、クラークの護衛も兼ねられるなら、その方がいいだろう?」


「それは、そうだろうけど..」


----側近兼護衛?アレンってどこ目指してんのよ。あんまり強くなられると、困るんだけどな〜。



「ああ、そうだ。」

アレンは思い出したように、私が着替えに使っている木の茂みに向かって、何か呪文を唱え始めた。

茂みの裏にキラキラ輝く魔法陣が現れ、やがて消えていった。


「防御陣を敷いておいたから、今度からは、あそこで着替えるといい。他の人から姿が見えないし、気配も消せるから。誰か人が来た時は、あそこに隠れておくように。」


「あ..ありがとう。すごい!魔法って便利ね!」


「キラ...君は王国一の魔法一族サザーランド家の娘だろう...?」

「そう..でした...でも、お父様もお母様もお兄様も、私の前ではあまり魔法使わないから..」


「そうなんだ..でも、君の周りにはいつも、ありとあらゆる守護魔法が掛けられていたけどね...」

「そ、そうなの?」

「知らなかったんだ...。とにかく、ここに来る時は、十分気をつけて!学園の中でも油断しないこと。それから、今度から一人で来る時は、ジンを連れて来るようにして!」

「ジン?なんで?」

私は首を傾げる。

「あの猫は賢いから、何かあれば人を呼ぶくらいのことは出来るから。」


ん~。なんでジンなのか、いまいち納得できないけど...。猫だよ?


でもアレンから、また怖い目でじっと見つめられ、私に逆らえる訳もなく、

「...分かった。」

と答えるしかなかった。


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