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1.友達。

ラブコメの波動……(*‘ω‘ *)?


続きが気になる方は応援よろしくです!!







「まさか、こんなところでマキナたんファンに会えるとは!!」

「あははは! いや、ティーナの方が意外だって!」

「そうです? 私は基本的に在宅勤務なので……」



 ――相席開始から数十分経過。

 俺と女性ことティーナは、完全に意気投合していた。

 学生時代からオタクを続けてきた俺にとっては、ありがたい話し相手。何故ならうちの会社は体育会系、というかオタク文化と程遠い。

 年齢層も高めなので、同世代で話の合う相手がいなかったのだ。



「いやぁ、たまには外に出てみるものですねぇ」

「俺も運が良かったよ。仕事で嫌なことばかりだったけど、ね」



 互いにそう言い合って、もう何度目か分からない乾杯。

 ビールを一気に喉に流し込んで、ふとこんな話題を振ってみることにした。



「ところで、ティーナはどこ出身なんだ? 見た感じ日本じゃない、よな」

「え、あ……出身地、ですか?」



 あまりに浮世離れした外見。

 それにしては流暢な日本語を話す彼女の出身地が、どこなのか。

 俺はちょっとした世間話のつもりで訊いたが、どうにも歯切れは悪かった。もしかしたら地雷だったのだろうか。

 そう思い、発言を取り下げようとした時だ。



「あはは! 実は日本育ちなんですよ! なので、英語は話せません!」



 あっけらかんとした表情を、赤らんだ顔に浮かべて。

 ティーナはどこか、おどけるようにして言うのだった。



「そ、そうなのか?」

「はいです! そんなわけで、仕事も日本語だけです!」



 俺が答えると、彼女は何度も頷く。

 しかし、その様子にどうにも違和感を覚えてしまった。だから、



「…………なにか、無理してない?」

「ふえ……?」



 思わず、そう訊いてしまう。

 根拠はない。もしかしたら俺の勘違いかもしれない。

 だけど、訊かずにはいられなかった。



「ワタルくん……」



 俺の言葉に、ティーナは明らかに息を呑む。

 でも、すぐに笑って……。



「あははは! なんです? 私のこと、口説いているんです?」

「え……あ!? いや!?」



 そう茶化してくるのだった。

 しかし彼女に言われたように、いきなり相談に乗るような発言は変だろう。これではまるで、相手の弱みにつけ込もうとしているみたいだ。

 失礼だし、配慮に欠ける質問だったと思う。

 なので謝罪しようとした。だが、



「……そう、ですね」

「ティーナ……?」

「たしかに無理は、してるかも。こっちにきてから、ずっと……」

「…………」



 不意にティーナは、どこか遠くを眺めるように目を細める。

 そして、静かに大人びた笑みを浮かべるのだった。



「友達、いなかったですから。ずっと一人で、頑張ってきました」



 そう言って、息をつく。

 俺はそれを聞いて、学生時代の自分を彼女に重ねてしまった。

 放っておけない。そう思った。だから――。



「じゃあ、俺と友達になろうよ」

「え……?」



 気付けばスマホを取り出して、そう提案していた。

 ティーナは驚いて目を丸くすると、ジッと俺の顔を見つめる。



「……ダメ、かな?」

「…………」



 そして、数秒の沈黙の後に。



「駄目じゃ、ないです」



 そう言って、彼女は愛らしく笑うのだった。




 


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