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勝手すぎる幼なじみにうってつけの一撃  作者: 山下くりぷうぴ
第四章~「ハッピーエンド」、~
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第八話 無限にケツを拭う(尻と結をかけた爆笑ダジャレタイトル)

「あ、そう。決めますか。

 じゃあ一旦待ちますね。

 私としてもより強いチーターになるに越したことはないんで」


 オレは主人公だ。


「まあなんでもいいんですけど、なんか自信にあふれた顔してますねー。

 覚悟決まってるっていうか。

 なんですか?

 何するつもりなんですか?

 幸せになる……、とか言ってましたが」


 オレは主人公だ。


「あのーちょっとウザいんで釘差しときますよ?

 たまにいるんですよね~、リングさんみたいな人。

 支配種とチーターの相互的なシステムを知った上で洗礼を受けるって人にありがちなんですが……。

 あの、もしかしてリングさん、この宇宙の根本的な仕組みを覆すような、そんな大それたチーターになろうとしてます?」


 オレは主人公。


「いるんですよ。

 本当にいるんです。

 でもね、ムダですよ?

 コードってそういうもんじゃないんで。

 ただの武器なんで。

 神にでもなろうってつもりでしょうが、ムダですよ」


 オレはこの世界の中心だ。


「教えてあげたのは親切心ですよ。

 短い間ですが、それなりに一緒にいる間柄ですし、今後も支配種退治のパートナーとして仲良くしたいと思ってますからね。

 そしてゆくゆくはクリアして、支配種を産みだす新たな『異世界』になってもらうんですから。

 まさかのツンデレですね。


 まあ本音を言うと変に希望持ってるのがウザいし、ムダだと知って絶望する顔が見たいってのもあります。

リングさんはやっぱり、しょんぼりした顔がお似合いですからね。


 改めて言います。

 アナタは世界の中心ではありません。

 ちょっと優秀なパーツです。

 世界の仕組みを根底から覆すなんてことはできません」


 だからオレは考えている。

 この世界のあり方と、オレと、マッキーについて。

 一秒先のことから、終わりの果てのその先まで。


「うーん、まだ自信満々と言った感じですね……。

 あの、理解できてます?

 もしかして、自分だけは違うと思ってるとか?

 レベル999だから前例にないことができるはず! とか?

 あの、レベルはレベルですよ?

 いくら高かろうが、1も999もただ数字の大小の違いでしかありません。

 次元は同じ。

 延長線上にいるだけなんですよ?


 システムには届きませんって、絶対。

 次元が違うところにいるんですから。

 いや見たことはないですが、さすがに言い切れますよ」


「ははは」


「うわ、急に笑わないでください。

 ビックリしてしまいます」



 さてどうしようか。

 もちろんオレの耳に女神の戯言はちゃんと響いていた。



 こんな世界に、キレイな結末はあるのだろうか。

 あるのなら、それがオレのすべきこと。



 世界の根底を覆す?

 

 ああ、いいかもしれない。

 すごくそれっぽい締めとなるだろう。


 女神は不可能だと言った。

 でもオレはそうは思わない。

 何故ならオレは主人公だから、


 今のオレならいくらでも世界の前提を覆す理想を実現できる。

 そう信じてやまない。


 後はその方法だ。

 アプローチの仕方だ。

 それらしい結末へのアプローチがあるはずなんだ。



 例えばこんなのはどうだ。

 オレ自身がこの肉体と魂を捨て、世界の概念になるんだ。

 世界にもっと都合のいいシステムや概念になる、そんなことを理想にしたチーターになるんだ。


 世界の発展を促したのが承認欲求?

 しかしそれが世界の破滅をもたらすから、支配種とチーターが生まれた?

 だったらその全てをなくし、オレという概念が世界の発展を促せばいい。


 時間や空間を超え、この世界に染み渡る概念となり、無限に発展を促すシステムになるんだ。


 そんなのほぼ神?

 いいさ、神にだってなる。

 それでハッピーエンドならオールオッケー。


 そしてオレという新たなシステムで生まれ変わった世界で、唯一人間だった頃のオレを知ってるマッキーは幸せに生きながら、時々空を見上げる。

 そしてつぶやくんだ。


「ありがとうリング。アタシは幸せだぞ」



 うん、いいんじゃない?

 それっぽい締めになるんじゃないか?

 なんだったらちょっと泣けるかも、なんて。

 チーターレベル999のオレなら、きっとそんなコードを作るのも可能なんだ。




 あるいはこんなのどうだろうか。


『人類を一つの存在にしたい』そんな理想を掲げたチーターは。


 だって世界を破滅させる原因は承認欲求なんだろ?

 承認欲求とは『他人』という概念があるから生まれてしまう。

 発展が必要とされるのだって『他人』という概念があるから。


 だったら『他人』という概念をなくす、そんな理想を抱いたチーターになればいい。

 人類を全て融合させ、一つの大きな存在にさせるようなコードを扱うのだ。

 これで『他人』はなくなる。

 承認欲求は生まれなし、そもそも一つなら発展して種を残すって必要性もなくなる。

 元々オレって人間嫌いなフシはあるし、『他人』がなくなるのは心情としても良いこと尽くめだ。


 で、この展開では最初にオレとマッキーが一つになるんだ。

 ドロッとして溶け合って交じり合う。

 すると一瞬だけ二人は人類史上もっとも分かり合えた存在ということになる。


 一瞬だけの幸福。

 ハッピーエンドだ。

 幸せなんて一瞬あればオッケーだろう。


 その後、世界中から人がドロッとした姿になって集合して一つの大きな塊になる。

 そして人類は発展も崩壊も起こりえない永遠の存在になりました。


 永遠ってのはそれだけで幸せだ。

 人類ごとハッピーエンド。


 うん、結論として中々いい終わり方じゃないか。




 いや逆に、一つになることを選んでおきながら直前になってそれを拒否してしまうのはどうだろう。

 他人という存在が嫌だけど、でも他人がいるから幸せになるとオレは直前で気づく。

 主人公のオレはそれによって少しだけ成長したんだ。

 気づき、成長する。

 それはもうハッピーエンドだろう。


 人類の問題?

 チーターや支配種は?

 そんなのどうだっていい。

 気づいて成長し、他人という概念を許容し受け入れた。

 そんなオレの前には世界の破滅なんてのものは何も怖くない。

 破滅の来るその日まで、戦い続ける。

 負けると知りながらも戦い続けるその姿に、きっと涙するだろう。


 うん、これもまた素晴らしい結末だ。




 もっとわかり易いラスボスがいて、それを倒しちゃうというのはどうだろう。

 人間の原罪として支配種やチーターがまとわりつくから終わりなき問題に見えるのだ。

 もっとザックリとしたわかり易い人類の敵がいて、もうそいつに全ての責任を押し付けてしまおう。

 そしてオレの理想のチーター像は、そいつに勝てる、というチーター像。


 でもラスボスが唐突すぎるとテンションも上がらんよな……。

 じゃあ、ちょっとだけセリフに出てきた「神」が元凶ってことにしてしまおう。

 そいつがラスボス。

 というか、神をラスボスってでっち上げて、んでもってオレが倒す。

 チーターレベル999ならそこまでもできるかもしれない。


 そして死闘を繰り広げ、人類の大きな問題の一つはなくなった。

 これから世界はどうなるかわからなけど、どれだけ真っ暗闇でも君となら生きていける。

 そんなこと言って隣にいるマッキーと幸せなキスをして終わり。

 うん、上出来。

 ハッピーエンド。




 あともう1パターンくらいは検討したいな。

 あ、じゃあ、そもそも実はオレ自身が支配種の創造主だった、なんてパターンはどうだろう。

 犯人はオレだった!? ってミステリーじゃ今となっては定番じゃないか。


 自覚的なのとか無自覚的なのとか細かいパターンは色々あるけど驚きは似てる。


 今出てる情報と整合性が合いそうなのは……、そもそもこの世界が未来のオレの作った仮想空間だったとか?

 んで支配種の生みの親も実はオレなんです。

 とかなったら「素敵!神様!」ってなる女神とキスして終了か。

 おいおい、まさかの女神エンドか。



 って流れでもう1つ。

 オレがラスボスパターンがありなら、いっそヒロインがラスボスパターンはどうよ。

 実は今までのマッキーの怪しげな行動にはさらに裏があって、実はマッキーこそが世界の仕組みの根源なのだった!

 それが判明してオレはマッキーと戦いたくないのに泣きながら戦う。

 なんだったら人類とマッキーを天秤にかけてもいい。


 どっちを選んでも泣けるエンドになるだろう。


 で、マッキーの動機が全てはオレと結ばれたいからとかだったらズッコケてちょっと笑うかも。

 不器用すぎて可愛いね。




 ……もう、いい加減くどいか?

 もう飽きてきた?


 そうだよな。

 とっとと結末を迎えた方がよさそうだ。

 こんな妄想してる場合じゃない。


 でもやばいんだ。

 いくらでもオレの脳内に可能性が浮かび上がってくる。

 それっ「ぽい」落としどころが、じゃんじゃん湧き出てくる。


 数にしておよそ一千兆。


 そしてそのどれもを、オレはそれなりに「実現」できる自信がある。

 すべて選択可能な選択肢として並んでいる。

 オレはどれを選べばいい?

 悩めば悩むほど時間は経って、それでまた次の選択肢が頭に湧きあがってくる。

 無限ループ。


 オレとマッキーでアダムとイヴエンドとか。

 さようなら、すべてのチーターエンドとか。

 さよならジュピターの曲かかるエンドとか。

 あ、これは一緒か。


 いやもういいか、そういうのも。


 そろそろ降りよう。

 この妄想の列車から。


 あったかもしれない可能性なんて考えるまでもなく無価値なんだから。


 それをマッキーに伝えるために。

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