第七話 幸福に生きよと投げ捨てられて
「そうよ。アタシはチーター。
コード能力も死に戻り。
これは何度も繰り返してきた人生の一つ」
マッキーは答えた。
女神の言葉を認めた。
あ、視点。オレね。
「やっぱりそうでしたか~。
死に戻り、う~んやっかいな力ですね~。
隠しごとするには」
その割には楽しそうだ。
理由は。
「ま、もう遅いんですけどね。
それにチーターはコード使用時に称賛を受けることで力を得ます。
死に戻りはその特性上、直接的に称賛を受けることはありませんから……。
もう限界じゃないですか?
その異常なパワーとリングさんのチーターレベルも死に戻りの影響なんでしょう?
そう仮定すると、やはり相当繰り返してますよね?」
ということだった。
オレのチーターレベルが異様に高いのはマッキーのおかげだった。
オレの才能ではない。
まあそこはどうだっていい。
大事なのは、マッキーがそれだけ何度も死んできたという話で。
オレなんかのために何度も死んだという事実で。
だけどマッキーは、
「しまった!
リング! 大丈夫!?
死にたくなってない!?
……うん、……うん……。
そっか……、よかったぁ~~」
まだオレのことを一番に心配している。
かつての繰り返した世界の中では、どうやら真実を知ったオレは死んでいたらしい。
だけど今のオレは生きてる。
実際、死にたいとも思っていない。
それは与えられた情報が小出しだったからなのかもしれないが、だいたいはマッキーのおかげだと思ってる。
子どもの頃からオレを徹底的に甘やかして腑抜けにさせてきた。
その影響でオレは腐りきって、自分に価値を見出せなくなった。
だから何を知ってもショックでもなんでもないんだ。
マッキーの入念な洗脳(教育)は成功していた。
イエー、腐り、サイコー。
マッキーの作戦は大成功でオレは心の底から感謝する。
称賛を贈る。
だけど多分、失敗。
マッキーの目的としては、失敗。
そしてその失敗はオレがもたらす。
オレはマッキーがこれからやろうとしてることがわかる。
マッキーは無理を言って、できもしないことを言って、なんとしてでも洗礼をさせないだろう。
「リング、安心して。
洗礼なんて受けなくていいから。
アタシが支配種は全部倒すから、ね?」
ほら。
予想通り。
それをオレは失敗させる。
「リングさん、マッキーさんはウソをついてます。
無理なことを言っています。
今までずっと支配種を産みだしていた異世界はまだ活動中。
そこにアルシーヴさんの異世界も加わるんです。
マッキーさん一人ではどうにもなりません。
マッキーさんはおろかチーターにも無理です。
今この世界にいるチーターだけではとても追いつけません。
リングさん、アナタのような規格外のチーターが必要なのです」
「そんなことない! 大丈夫だから!」
クソほど憎たらしい女神の言うことと、愛すべき幼なじみのマッキーの言うこと、どっちを取るか。
そんなの決まってる。
正しいことを言ってる方だ。
「よく頑張ったね、マッキー。
オレ、決めたよ」
「リング……?」
「それはもしかしたら、一見、これまでマッキーが努力してきたことを踏みにじる行為かもしれない。
だけど勘違いしないで。
今はとても最高の状態で、
最高の結末を迎えるチャンスで、
それはマッキーがもたらした事なんだから」
「リング……」
「女神、決めたよ。
散々待たせた。
……オレは洗礼を受ける」
「リングっ!!」
「はぁい♪
理想のチーター像は決まってますか?
もちろんリングさんのレベルなら、ナシでもかまいません」
「いや、決める。
今決める。
絶対に幸せになるために」




