第三話 おままごとの想い出
回想。
「わーい! お花がいっぱい!」
「そうだねー」
幼いころのオレとマッキー。
たぶん5歳くらい。
原っぱで可愛いお花を摘んで、それを材料に首飾りとか作って遊んでいる。
当時のオレだって、本当はもっと男の子たちと男っぽい遊びをしたかった気がするけど、
「うふふ、楽しいね、リング。 楽しいよねっ!」
「う、うん」
きっと強引に連れてこられたんだろうな。
でも、それなりに楽しんでいたとも思う。
「おい、そこのガキ共、消えな。
今からこの原っぱはイダーサ軍団が鬼ごっこに使うんだ」
現れたのはイダーサという15歳の少年と、それに率いられた10歳の子たち。
イダーサは子どもたちの間で有名なガキ大将だった。
「お前が消えろ! 死ねっ!」
いきなり反発するマッキー。
沸点壊れてるのか?
「お前、ガキ大将ぶってるけど、同級生に相手されないから歳下相手に威張ってるだけだろ!」
畳みかけるマッキーの暴言。
ムダに核心突くし。
イダーサも何か言い返してるが、顔がどんどん赤くなっていく。
その果てにデカい雄たけびを上げて殴りかかってきた。
危ない!
そう思った瞬間、
「はい、先にそっちが手をだしたから……ねっ!」
と言ってマッキーはイダーサをぶん殴る。
ぶっ飛ばされるイダーサ。
「ひえ~」
と言って仲間を連れて帰っていった。
少し可哀想だった。
でもそれ以上に、歳上の男の子相手にケンカして、マッキーはすごいなぁと思っていた。
「さ、リング。次はおままごとしよっ!
アタシは美人で仕事もできる若妻で、リングはその赤ちゃんね」
「あれ、この間はマッキーの体なしじゃ生きていけない腑抜け夫(?)って設定だったのに」
「いーの! いつも同じ設定じゃつまんないでしょ」
「う、うん……」
「よちよち、リングちゃん、いい子だね。
ほら、泣かないで」
「おんぎゃあ……おんぎゃあ……」
「ふふ、可愛いね。
アンタのことは、アタシが絶対に守ってあげるから、
いっぱいいっぱい楽をして気持ちよくなってればいいんだよ。
あ、おっぱい飲む?」
……なんか、オレがこうなったのってマッキーのせいな気がする。
回想終わり。
警報が鳴って目を覚ます。今の回想は夢でした。
この歳で楽しかった昔の夢を見るって結構終わってるな、と自分を笑う。
さて、この警報は支配種が近くのどこかに出現したってことだ。
だからってすることは変わらない。
外出自粛は今のオレにとってはなんの意味もないし苦痛でもない。
すっかり目が覚めちゃったし、
(いつもよりは)少し早い朝食の準備でもするか……。
そう思ったが、
「おはようございます。リングさん」
窓の外には女神とディーゴージさんがいた。
オレに声をかけていた。
「なんの用でしょうか。
……というか、いいんですか?
支配種が現れたみたいですけど。
早くいかないと被害が……」
「ああ、そうだな。だから急いでいる」
ディーゴージさんが答え、女神が続ける。
「今日はリングさんに洗礼のお願いをしに来たわけではありません」
「はぁ……。では?」
「リングくん、君に支配種とチーターの戦いを見てもらいたくてね。
もともと記事等、メディアの公表する写真を通してしか見たことがないのだろう?
本当は前回見せようともしたんだが……。
ほら、彼女が一瞬で片付けたし」
あの節はどうも……。
「僕としては洗礼の前に一度きっちり見ておいて、その上で理想のチーター像を作り上げることが重要だと前から思っていてね」
理想のチーター像……?
「いいコードを授かるには、必要なことなのだよ。
とにかく君は、もっとチーターについて知る必要がある」
はぁ……。
確かに、どうせやるにしても色々知っておいた方がいいのだろう。
何より、チーターによるコードを使ったバトルに興味がないかと言ったらそれはちょっとウソだ。
ただマッキーはなんて言うか……。
「…………あれ?」
マッキーが来ない。
これまでの流れならそろそろ飛び込んできてもおかしくなかったけど……。
(自粛要請を守ってる?)
……その様子もないなら……、いいのかな?
「……わかりました、連れてってください」




