第六話 マッキーのがんばり物語:次
その後、何度も人生を繰り返した。
地獄の日々だった。
リングと共に戦い続けることは諦めていた。
リングをチーターにさせないように動いたりもした。
それでも何度も失敗した。
承認欲求の塊のリングは、私の制止を振り切って洗礼を受けた。
リングにすべてを打ち明けたこともあった。
それでも、
「じゃあ、死ぬしかねえな」
失敗した。
自分の承認欲求が世界を滅ぼすと知ったリングは、深い自己嫌悪に陥って自殺を選んだ。
ダメだった。
子どもの頃から、「チーターにはなるな」と言い続けてみたこともあった。
大抵は逆にチーターへの興味を強く持たせるだけになって効果はなかった。
それどころか嫌われる時もあった。
女神が隠し事をしているのをいいことに、徹底的に女神を悪者にしたこともあった。
あることないことを言いまくった。
このパターンは何度もやった。
だいたいは私を信じてくれるが、仲が悪くなることもあった。
「もういい、オレ独りで戦う」
リングは独りで戦っていた。
幸い、繰り返しの影響でレベルが上がっているから、支配種にも負けないんじゃと期待もした。
ダメだった。
支配種には負けないが、独りでアッサリとクリアに至った。
チーターレベル200を超えていたから当然だ。
繰り返しすぎたんだ。
またある時はリングの説得に成功したこともあった。
洗礼を受けてはいたが、それでも私の言葉を信じで女神を敵と認識してくれた。
「マッキーありがとう。
おかげで目が覚めた。
アイツは敵だ!」
だけど失敗した。
反旗を翻したリングは感情が高ぶったのだろうか?
そういう時に限ってリングのコードは偶然にも暴走し、女神と戦うことすらできなかった。
他にも色々試したけど、ダメだった。
ずっとずっとダメだった。
地味にイヤなのが繰り返しの中で偶然や気まぐれに寄る行動は安定しないことだ。
例えば女神がリングの前に現れるタイミングとかバラバラで読めなかった、
とにかくダメだった、
ダメなことだらけだった、
さらに追い打ちをかけるように最悪のことに私は気づいた。
これはある人生での出来事だ。
「あーもー! 今度もリングが死んだ!
とっとと死に戻ろ!
コード発現! イシュタムの灯!」
しーん。
「……あ、あれ?
えいっ!
イシュタムの灯!!」
と3回ほど繰り返して
「……ふぅ、なんとか出た……。
……どうしちゃったんだろ」
と、困惑しながらも、とりあえず引鉄を引いた。
そして死に戻りながら今のことを考える。
以前までは気軽に思うがままに発現できていたコード。
それがすんなり出来なくなってきていた。
次の人生でも、その次の人生でも。
コードを出すのに手こずるようになってきた。
謎。
は、一瞬で解ける。
かつて聞いたことがあった。
チーターはコードを使用中に称賛を受けることで、そのエネルギーを力に替えるのだと。
ところが私はどうだ?
このコードの特性上、コードの使用中に称賛を受けることがない。
いや、この人生そのものが使用中と言えばそうだが、発現中に受ける称賛とは質が違う。
つまり日々弱くなっているんだ。
チーターとしては。
コード能力そのものは。
身体的なパワーは引き継ぎの影響でどんどん大きくなるから、逆に気づけなかった。
もう私は、あとそう何回もコードを使うことができないのかもしれない。
絶望だ。
どれだけ失敗してもまた繰り返せばいい、無限に繰り返せばいつかはリングを救える、なんて安直に考えていた。
でもそうじゃない、限界はあったんだ。
そしてそれが目前に迫ってようやく気づいた。
バカだ、私。
絶望で死にたくなる。
戻れない方法で死んでしまおうかと脳裏によぎる。
もちろんしないけど。
だけど、そんなバカな私にも唯一の光明があった。
何度も何度も繰り返したおかげで、とうとう私は単独で支配種を倒せるようになった。
というかワンパンできるようになっていた。
できることは増えているんだ。
それも個人の、単体で勝てるというのは大きな武器だ。
さあ、気合い入れろ、アタシ。
残りのチャンスがないかもしれないからって腐ってても始まらないぞ。
今まで何度も検証して成功の兆しが見えたことは何度もあった。
ちゃんとその分析もした。
今度の人生はその全てをぶつけよう。
一人で勝てるなら、あの作戦ができる。
大丈夫。
きっとリングを救うことはできる。
だって誰よりも死んだんだから。




