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勝手すぎる幼なじみにうってつけの一撃  作者: 山下くりぷうぴ
第四章~「ハッピーエンド」、~
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第三話 マッキーのがんばり物語:破

 そして月日は経って、わたしもリングもすくすくイケイケに育ちました。

 そして17歳のある日。

 わたしはいつもの様にリングの家に向かっていました。

 わたしとリングは学校を卒業してから同じ職場で働いていました。

 なので迎えに行くのは幼なじみとして当然の義務でした。


「おめでとうございます!

 あなたは100万人に一人の才能の持ち主ですっ!」


 迎えに行ったリングの家から、そんな声が飛んできました。

 いつもの朝のはずでした。

 とてもイヤな声でした。

 イヤな予感がしました。

 不吉な予感がしました。


 でもそれは福音でした。


「マッキー! オレ、チーターになったよ!」


 嬉しそうにリングは報告してきました。

 チーター、それはみんなの憧れ。

 よくわかりませんが、リングがそれになったのならこう言う他ありません。


「よかったねっ!」


 何も知らないわたしは自分のことのように喜びました。


「しかもよ、オレのチーターレベル、70もあるんだぞ!」


「それはすごいの?」


「すごい!

 ……んだよな? 女神さん?」


「はいっ!

 支配種を倒すだけなら十分すぎるかとっ!」


「だって!」


「すごいねっ!」


 ずっと特別な存在に憧れて士官学校に進んだリング。

 卒業後も出世のために頑張っているのを見ていたわたしは、やっとリングの想いが実ったので本当に嬉しかったのです。

 そしてわたしも、そんなリングの横にいられることが誇らしく思いました。

 わたしたちの幸せは始まった。…そう思いました。




 だけど……。




「ハァ……ハァ……」


「いやぁ! リング!

 死んじゃいやっ!!」


 リングは支配種の攻撃を頭にモロに受けました。

 致命傷を負いながらもかろうじて倒したリングでしたが、致命傷は致命傷。

 どくどくと全身から真っ赤な血が流れていきます。

 死は目前に迫っていました。

 わたしは諦めまいと、学校で習った回復術を何度も何度もかけています。

 が、わたしが回復させる以上に、リングの体力はどんどん減っていくように見えます。


「もう……いい……。やめるんだ……。オレはもう、無理だ……」


「イヤっ!! イヤァっ!!

 リングが死んだら、わたし、生きていけないよっ!!」


 わたしは悔しくって、意味もなく地面を殴ります。


「…………。

 最期に……ずっと聞かれてて、言えなかったことを言う……。

 大事な話だ……」


「……なに……?」


「洗礼の時、オレが心の中で抱いてた理想のチーター像の話だ……。

 何度か聞かれたけど、答えなかったろ……」


「そんなの今さら……」


「オレの理想のチーター像は、……『マッキーを死んでも守れるチーター』だ」


「……!」


「これからも……必ず……オレはお前を守るから……。

 だから、生きていけないなんて言わないでくれ……。

 マッキーはずっと幸せに……生き………………」


 ガクッ。


「リングゥゥゥゥゥウウ!!」


 リングは死にました。


「ハッ!?」


 悲しみに打ちひしがれるわたしの横で、すっとんきょうな声をあげたのは、ずっと隣にいた女神でした。


「マッキーさん、あなた、チーターの素質がありますねっ!」


 それがリングの死に際に起こした反則級の奇跡だったのかもしれません。


 わたしはリングの死と同時に、一人で生き抜く力に目覚めていました。


 わたしにチーターの素質が生まれたのです。


「さっそく洗礼、しましょうか!

 理想のチーター像、あります?」


 理想のチーター像。

 リングを生き返らせる様なチーター?


 ……違う気がします。

 リングはもうここのところ、戦いの連続でずっとボロボロでした。

 見ていられないくらい戦いで消耗していました。


 今ここで生き返らせて、また戦場にあげて、それでリングは幸せでしょうか?


 つまりリングをただ生き返らせるだけじゃダメということです。

 もっと根本的に、やり直さないといけません。


 そうしなければ、リングはまた孤独な戦いに身を投じるだけ……。


 そう! 孤独な戦い!

 それがいけません!


 ……決まりましたね。


「……わたしの理想のチーター像は……。

 リングを今度こそ守ることができる、

 そんなチーターだよ」


「承知しました、それでは洗礼開始です!」


 ピカッと光って洗礼。


「はい、お疲れさまでした」


 洗礼完了。


 手の平に現れたコードは……、


「銃?」


 いつかのお祭りで見た武器。


「名はイシュタムの灯。

 人間の発明した、もっとも自殺に向いた武器を象っているようですね」


「なるほど、その言葉で理解したよ。ありがとう」


 死んだリングを守る。

 そのために、死んで戻れ、そういうこと。


 わたしは銃口をこめかみに当てて、引鉄を引きました。

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