第二話 マッキーのがんばり物語:序
「うわ~ん、返してよ~」
わたしはイダーサくんが大嫌いです。
いつもイジメてくるからです。
今日も、わたしが頑張って作ったお花の冠を奪っては、フリスビーのようにして仲間とヘイパスヘイパス投げ合ってます。
頑張って取り返したいところですが、もう諦めた方がいいのでしょうか。
だってイダーサくんは15歳の男の子、仲間の子も10歳くらい。
対するわたしは5歳の女の子。
力で対抗するのは自殺行為です。
とても怖いです。
「うえ~~ん……」
涙がでてきました。
もうイヤです。
「よっと」
聞きなじみのある声でした。
「おい、なんだテメェ!」
その声の主はどうやらヘイパスヘイパスの輪に割り込んでインターセプトを決めたようです。
……わたしに仲間?
顔を上げました。
「やっぱり冠ってのは、王になるオレに相応しいよなっ!」
顔を上げた先にいたわたしの仲間がまぶしい笑顔を向けます。
この聞きなじみのある声の主は、わたしの幼なじみのものでした。
「リング……くん……」
「へへ、どうだ?
似合ってるだろ、マッキー!」
「う、うん……」
「またテメェかリング!
お前はいっつも生意気なんだよ!!」
イジメの興を削がれたイダーサくんがブチ切れます。
「やんのかぁ!?
かかってこいやぁ!!」
リングくんも勇ましいです。
ドカッ! バキッ! ボカッ! ドゴォッ!!
5分後。
「うぅ……、うっ……、うっ……」
「だ、大丈夫……?」
優しく声をかけて、泣いてるリングくんを慰めます。
ケンカの結果?
ええ、当然負けですよ。
勝てるはずのないケンカです。
生きてるだけでも奇跡です。
「んだよ……アイツ……。
どうせ同世代の友達いないから、歳下相手にいばってるだけだろ……。
さみしい奴だ……!」
ケンカに負けて相手の人格攻撃は少しダサいですね。
でもそれは言えません。
「あの、リングくん……。
ありがと……、助けてくれて」
「ん……、でもごめん、冠ボロボロだ……」
「あ……」
せっかく作った冠は、リングくんの体ほどではないですが結構ボロボロです。
涙が出そう……。
「……これ、貰っていい?」
「えっ!?」
「似合ってない……?」
「に、似合ってたけど……でも、汚いよ……?」
「汚いのはオレが弱いせいだろ?
捨てるくらならもったいねーし、ちょうだいよ」
「う、うん」
断る理由がありませんでした。
何故ならこの冠は元々リングくんにプレゼントするつもりで作ったものでした。
「えへへ、やったぜ」
きゅん。
……好き……。
わたしはリングくんのことが大好きです。
リングくんのことを考えるだけで色んなところがウズウズします。
「ねえ、どうして助けてくれたの?
わたしのこと、好きだから?」
「えっ!? はっ!? ば、バッキャロウ!
弱い者を守るのは当然ってだけだ!!」
「そっか、偉いね」
照れちゃって……、か、可愛い……。
「リングくん……これからも、守ってくれる……?」
「おう! あったり前だ!」
ニカッっという音が聞こえるようなそんな笑顔。
「マッキーのことはオレが絶対に守ってやるからな!」
わたしは幸せです。




