第三話 マッキー&アルシーヴちゃんVS支配種
何日か修業をして、何日かぶりの支配種が現れた。
「いくよ! アルシーヴちゃん!」
「はいっ!」
マッキー×アルシーヴちゃんコンビの初実戦だ。
ギャラリーはまばら。
それもそのはず、信用ないんだろう。
半人前チーターと、なんかよく知らない強い女のコンビ。
観戦は危険、そう判断されてもおかしくない。
「ありゃー。すっかりナメられてるね」
「そうですね……」
「じゃ、せっかく来てくれた数少ないギャラリーに見せつけちゃおっか」
「そうですね!」
二人は支配種に向かって突撃する。
結論から言う。
わかりきってたことだがこのコンビも強かった。
というかマッキーがムチャクチャだった。
半人前な二人が互いを補って一人前ぶっていた兄妹の頃とは違う。
(オレはベタ褒めしたけど)
単純に単体で最強クラスのマッキーが半人前チーターを補助につけたんだ。
強くないわけがない。
マッキーばかり褒めてるが、もちろんアルシーヴちゃんも素晴らしい。
突撃するマッキーのあの動きについていけてる。
マッキーが必要と感じた時に的確にガードしてる。
と、感心してたところで理解した。
ここ何日かの特訓の本当の意味。
あれは単にパリィだかジャストガードだかを上達させるだけじゃなくて、マッキーの動きに慣れるための特訓でもあったんだ。
今日の支配種は超大型で、しかも全方位高出力光線を毎秒放つという、この地域に現れた支配種史上最強の種類だった。
さすがのマッキーも普段なら近づくことすら困難な相手だ。
しかしさすがは無敵の盾。
マッキーとアルシーヴちゃんは支配種の間合いにガンガン迫っていった。
だけど近づいたところで、どうするんだ?
攻撃するためにマッキーは盾から出るしかないんじゃ?
アーカイブが杖を挿していた穴は、マッキーの腕よりはるかに小さい。
盾の内側から攻撃するのは不可能なはず……。
というオレの心配。
だけどそれすらもアッサリ無意味なものにするのがマッキーとコードのパワーだ。
「どりゃあ!!」
マッキーはなんと支配種を『盾ごと』殴ったのだ。
盾を支配種に密着させて、(そこまで近づいて)盾を内側から殴った。
当然あの盾の堅さ反則級だから内側から殴られても壊れない。
傷一つつかない。
だけどもちろん、今までアルシーヴちゃんが苦しめられてきたように、衝撃は伝わる。
盾の外側にも。
盾を通して伝わる衝撃が支配種を襲う。
ドゴン!! ドゴン!! ドゴン!!
マッキーは盾を3回殴りつけ、盾に密着していた支配種は爆散した。
勝ち。
あの二人は完全無欠のコンビだと思った。
少ないはずのギャラリーからも大歓声が上がる。
称賛の嵐。
きっと次はもっとギャラリーも増えるだろう。
オレも声を上げていた。うおー!
「やったね!」
「えへへ……。はいっ!」
そんな風に笑い合う二人。
このままずっと、この二人が活躍するのを遠くから眺める……そんな人生も悪くないかなって、ちょっと思った。
帰り道。
「あ、じゃあわたしはこっちの道なので」
「うん、バイバイ」
「明日も修業だよ~」
「はいっ! よろしくお願いします! また明日。………………」
え、何その沈黙。
せっかく途中まで元気のいい挨拶してたのに。
そんな寂しそうな顔、する流れだったか?
と疑問に思ったけど、いやいやそんなの疑問に思うまでもなく当然じゃんか。
寂しいに決まってる。
こんな子どもが見ず知らずの土地にきて、戦って、大事な兄が死んで、一人で暮らして。
寂しいよ。
今日もマッキーやオレと会えて楽しかったんだよ。
でもそのせいで余計に、今から独りで夜を過ごすんだってことを考えちゃってそりゃ寂しい顔もするよ。
だから言ってみた。
「オレんち来る?」
「えっ!?」
「は?」
マッキーの圧力を感じた。
「いやだって、一人暮らしでしょ? こんな子が。
放っとけないよ」
「あ、あの……わたしは嬉しいですけど、い、いいんですか?」
「うん。オレの家広いし。
元々無職のごくつぶしが居てもノーダメージだから迷惑とかもないよ」
「いやいや、それ以前にアンタ、男でしょ!?」
「男だけど……別にそういう性欲とかそんなにはないし」
「ちょっとはあるんじゃん!」
「大丈夫だよ、さすがにアルシーヴちゃんに手を出すなんてしねーよ」
「そうですね……。わたしもリングさんのことは、信用してます……」
「ほれ」
「いや、いやいやいや……」
「……で、どうする?」
「……はい、よろしくお願いしますっ!」
「いやいやいや……。
じゃ、じゃあアタシも一緒に……」
「え? マッキーには手、出すよ?」
「出すんかいっ! じゃあやめとくわ! ちょっと嬉しいけど」
ということでアルシーヴちゃんが家に住むことになった。




