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第三話 生意気雑魚兄妹との出会い、そして(マッキーの)勝利

 今日はマッキーと商店街でお買い物。


「あ、リング、これどう?」


「うん、似合うよ。

 あ……。

 でもごめん、金ないから買ってあげられないや……」


「知ってるよ、無職だもんね。

 でも安心して、アタシはいっぱいお金貰ったから!

 リングの分もなんでも買ってあげられるよ!」


 そう言ってこの店で一番高いコートを手に取り、


「ほら、これとか似合いそう! 着てみて!」


 着る。


「うう~~! かぁっこいいなぁ~~~!!

 リング、すっごくかっこいいよぉ~!!」


「声でか……」


 そして恥ず……。


 そんな感じで店を出て、次の店に行ったりしてと町を回る。


 途中、人通りの少ない裏道を歩いている時、オレはふと思い立って聞いてみた。

 本当はずっと聞きたかったことだけど。


「マッキーってさ、何か知ってるよね」


「…………」


「マッキー……?」


「何かって、なんのこと?」


「チーターとか、コードのこととか、女神のこととか……」


「……なんで」


「いやだって、止め方もなんかそういう雰囲気あるし……」


 オレはできる限り刺激させないように言葉を選んで一言一言をつむいでく。


「……あとほら、ディーゴージさんが暴走したとき、光った時点で何かを察してたよね。

 そんなはずはない、みたいなことは言ってたから、多分、マッキーの想定してたことと違うことが起きたんだよね?

 でもそれってつまり想定できる程度には『何かを知ってる』ことにはなるはずで……」


「知らない。なんにも知らない」


「……そっか。ウソつかれちゃったな」


 マッキーの足が止まる。

 震える。


「…………ぐすっ……。ずずっ……。

 うっ……うぅ……。ごめんねぇぇ……。

 アタシもリングにウソ、つきたくないよぉ……。

 でも……ぐすっ……言えないのぉぉ……」


 泣いてしまった。

 今のはオレが悪かったな。


「ごめん。大丈夫、わかってるよ。

 マッキーは頑張ってるんだもんね」


 そう言って抱きしめる。

 強く抱きしめ返される。


 知らないでもない、言わないでもない、言えない。

 それだけでも十分だ。


「ずびっ……!」


 マッキーが鼻をすすって返事をしたちょうどその時、後ろの方でバターンと何かが倒れた音がした。


 裏通りで誰もいないと思ってたが、どうやら人がいたようだ。


「アルシーヴ!! おいっ!! 大丈夫かっ!?」


「はぅぅ~……、し、刺激が強いよぉ。お兄ちゃん、恥ずかしよぉ……」


「おいテメェら! 待ちやがれ!!」


 呼び止められた。


「なんでしょう……。迷惑でしたか……?」


 振り返ると、そこにいたのはほぼ同世代(でも向こうの方が少し歳下?)の男女。

 なんか顔が似てる。

 お兄ちゃんとか言ってたし、兄妹か。


「いいや! 迷惑じゃねぇぜ!

 こっちが後をつけてたわけだしなっ!!

 単に妹が純情で可愛いのが悪いだけだ!」


「……後をつけてた……?」


「おう、挨拶しようと思ってね。

 いや、けん制かな。俺様たちの狩りを邪魔する不穏分子に対しての」


 狩り…? 不穏分子……?


「素質あるんだろ? チーターの」


「ああ、そういうことか。

 てことは、君たちが女神の新しく連れてきたチーター?」


「そういうことだ!

 改めて俺様はアーカイブ!

 こっちは双子の妹のアルシーヴだ!」


「はぅ~……、よろしくどもどもです……」


 二人は双子だったか。


「で、お前、チーターの素質があるんだろ! 女神から聞いたぜ。

 だけど残念だったな! 今日からここの狩場は俺様たちのもんだ!

 もし邪魔したらぶっ殺すからな!」


「待って待って。うん、素質があるみたいなのはそうだけど。

 ごめん、イマイチお前らのその態度の理由がわかってない」


「ああ? どういうことだ」


「いやだって……なんでそんなギラギラ挑発的なの?

 なんかディーゴージさんとスタンス違くない?

 あの人はオレと戦いたがってた気がするけど……。

 洗礼の勧誘にも積極的だったし……。

 でもアンタらは違うんだな。

 狩りがどうとか言って、支配種との戦いを独占したいみたいな言い草じゃんか。

 ……もう、チーターの目的がわからん」


「んだよ、そんなことか。

 それはディーゴージのおっさんがお人好しだったんだよ。

 あれは珍しいタイプだ。

 世界の平和とか使命感で動いてるしな」


「普通は違うのか」


「大抵のチーターは自分の力を示して称賛を集めてちやほやされて~!

 って動機が先にあるだよ!

 人助けはそのついでだ! 俺様たちのようにな!!」


 結構恥ずかしいことを大声で言っちゃうのは好感持てる。

 自覚的な分救いがある。


「そうだな、オレもどっちかというとアンタみたいなタイプだ」


「だろう? わかりきってたよ。

 だからけん制に来たんだ。

 邪魔すんなよってことをな。

 ここの称賛は全部俺様たちのもんだ」


 称賛……。

 そこはディーゴージさんも気にしていたところだ。

 固執するなぁ、チーター。


「素晴らしい! 素晴らしい心意気です!」


 というのはマッキー。


「いや~! いやいやいや!

 超期待してます! 新チーターさん!

 この辺りの支配種退治は、ご兄妹で二人占めなさってください!

 どうぞっ!」


 クソ嬉しそうだ。

 オレを戦わせたくないという点において利害が一致してる。


「さ、行こうリング。

 これで戦う必要もないし、アタシたちはショッピングを楽しもう!」


 マッキーは強引にオレの腕を引っ張る。

 ちょっとよろめいて、されるがまま道を進もうとしたところで、


「待てよ」


 再び呼び止められる。

 立ち止まるオレたち。


「女神から聞いてるんだぜ。

 そっちの女、お前、チーターでもねぇくせに支配種のこと殺しまくってるんだってな。

 今日はずいぶん気前がいいみたいだが、なんだ?

 支配種倒して報奨金でも出たのか?

 また稼ごうって思ってんのか?」


「ちっ……」


 マッキーは舌打ちをした。


「だったらお前にも戦う理由は普通にあるよな。

 金のため、わかりやすい動機だ。

 本当はお前も俺様たちの邪魔する気まんまんなんだろ?

 今こうして応援するってのも、実は口だけでしかなくて本当は油断させようって魂胆なんだろ?

 そうはいかねぇぞ」


「いやいや、興味ないですよ~。本当に」


「信用ならねぇよ。

 お前の存在はあの女神がやたらと警戒してんだ」


「……だったら、どうするんですか~?」


「今ここで、戦えない程度に痛めつける」


「……はぁ、ダル……」


 そう小さくつぶやいて、マッキーは兄妹に近づいた。そして


「やだなぁ、信じてくださいよ……」


 と言いながら、二人の肩に手を置く。

 その瞬間だった。


「ぎゃああああああああ!!!!」


 なんだ。


「お兄ちゃあああああん!!

 怖いっ! 怖いよおおお!!!」


「うわああああああああああああ!!」


 パッと手を放す。

 二人は腰が抜けながらも這いつくばって逃げて行った。


「え、何したの?」


「達人同士だからわかる力の差、みたいなのあるでしょ?

 戦わずして力量を理解するみたいな」


「まあ……」


「それ」


「それ、って」


「あ、でも勘違いしないでね。

 自分を大きく見せて威嚇したとかじゃないよ!

 むしろ逆」


「……逆?」


「うん、あえてレベルを下げたの。

 あんまり力の差がありすぎると逆に上下関係がわからなくなるからね。

 アリには山の大きさがわからないでしょ?

 それと同じ。

 最初はその状態だったから、向こうも生意気な口を利いちゃったんだと思う。

 だから、あえてレベルを下げて……

 アリクイくらいに見せて、力量差を感じやすくしてあげたの」


 どんな領域のなんの話してんだ。


「あ! でも大丈夫だよ、リング。

 確かにアタシと比べたらあの人たち弱っちいけど、普通に支配種と戦う分には大丈夫だから」


「そっか」


「そうだよ、だから支配種退治はお任せしちゃおう。

 せっかく戦いたくてしょうがないってチーターさんが来たんだから。

 はい、おめでとう、リング。

 すっきり諦めついたよね?

 あの人たちのためにもチーターにならないであげてねっ!」

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