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届かぬ想い

相手に届かない想いは想いに非ず。

我が想いは誰かの想いに応えるように生まれたにも拘らず、我が想いは我の為にしか機能しない。

それは我が相手に想いを届けないからであって、我の想いが悪いわけではない。

我の想いは相手にどんな影響を与えるか分からず、我その未知を恐怖する。

我は相手を思うが故に我の想いをしまい込み、我の想いに意味を持たせない。

我の想いが相手に届き我の想いが意味を持った時、相手につらい思いをさせるようなことがあってはならない。

故に我は我の想いを殺すことにした。

我の想いは誰かに臨まれたことはなく、誰かに思ってほしいとも言われたことはない。

我が気が付かぬだけで我に想いを送るものがいたかもしれないが、我に届かない想いなんぞに意味はない。

故に我の届かない想いも意味はない。

我が何を感じ我が何を想おうとも我は想いを送らないが故に我の想いに意味はない。


我の考えを否定する者はいない。

我が間違えたことを想い、我が間違えたことを考えているのであれば誰かが否定することだろう。

だが我は我の想いを、我の考えを否定するものに出会わなかった、我の考えを肯定する者にも出会わなかった。

それもそうだろう、我は自分の想いを人に見せることはない。

我の想いで傷つく人がいるのであれば我の想いなぞに価値はない。

同じ価値のない想いならだれかに傷をつけない想いのほうがいいだろう。

いつの話だっただろうか?我が最後に想いを誰かに伝えたのは。

我が想いを伝えた相手は苦々しい表情を浮かべた。

我は想いを伝えた相手からつらい思いを受け取った。

次こそ間違えない。

だが我はまた間違えたらしい。

我の想いはどうやら誰かを傷つける思いだったようだ。

だから我は我の想いを封じ込めることにした。

それが誰かのためになるはずだから。


我は我の想いが死ぬことを良しとはしないが、我が誰かを傷つけるよりはいいと判断し我は我の想いを隠すことにした。

誰も我の想いを聞きたいというものはいない。

我もわざわざ想いを聞かせたい相手が見つからない。

たとえ我が想いを聞かせたい相手を見つけても我はその人に想いを伝えないだろうが。

我の想いは我のものであり誰に送ろうと誰に送らなくてもそれは我の自由であり、我の想いをどう扱っても誰に届かなくても我の想いは我にとって価値がある。

我の想いは想いとしての役割を果たしていないが、我の想いは我の為にあるがゆえにそこのところは割り切るしかない。

もし、我も想いを受け取るものが現れるのであれば、我はうれしくなって我の想いを隠すことだろう。


著:想いの隠者


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