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自分のために

我、自分ニ秘メラレシ力ヲ知ルガ故ニ今ノ自分ヲ否定スル者也。

思い出すはあの最高の思い出、叶うならば今一度あの時の自分になりたい。

今の自分はあの時の自分に非ず、けれども心はあの時の自分に囚われたままに。

自分にそれほどの力があると知らなければここまで渇望しなかったものを。

自分が自分に期待すればするほど苦しむのは自分だというのに、私は自分に期待することをやめることが出来ない。

それを成せない自分は自分ではなく自分の形をした出来損ないだ。

自分に自分が期待をして何が悪い。

自分が自分を攻め立てて何が悪い。

自分が自分を信じて何が悪い。

周りの人間は関係がない。

世界を見る気なんてない。

自分は自分で自分は自分のために自分が望むままに自分が夢見たことを自分で成し遂げるただそれだけだ。

苦しいのは一番自分を信じてくれる自分の期待に応えられないこと。

これほどまでに自分を信じてくれて、これほどまでに自分に期待をしてくれて、これほどまでに自分を見ていてくれる自分の期待にこたえたいのは人間の本能だろう。

もし自分が自分の期待に応えられるのであれば自分はなんだってするだろう。

もし自分が自分以外に目移りするようならば無理やりにでも自分に目を向けさせなければならない。

世界は残酷で自分には優しくなくて、世界は自分とそのほかを比べる物差し市でしかなくて、世界は自分を否定して潰そうとしてくる。

世界に憧れると世界の圧力によって潰されてしまう。

世界は同じようなものを求めていて、強い自分を持つ者を排斥する。

世界にはどんな聖人君主も傷つけられることを証明しており、自分みたいな人間を排斥するために存在するとしか思えない。

世界の憎いところは自分がどんなに目をそらそうとも視界に無理やり入ってきて否応無しに自分の邪魔ばかりしてくる。

自分の存在意義は自分で決めるはずなのに世界は自分の存在意義を勝手に強要してくる。

だからこそ自分が守るべきなのは自分であり、答える期待は自分のものでなければならない。

自分は自分を裏切ることはなく、自分は自分にできることしか強要しない。

自分にとって自分の想いが、言葉が、考え方が、そのすべてが正しくてそれ以外のすべては間違っているのだ。

世界の基準では間違っていようとも自分の基準ではそれこそ正義。

そんな正しい人の言うことが間違っているはずはないんだ。

だから今その人の言葉に、期待に応えられない自分は自分ではない。

自分のすべてをもってして自分の期待に応えられる自分にならなければならない。

これだけは間違っていないはずだ。


著:自分に期待されている自分


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