表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
笑殺~女芸人ってのは~  作者: 新口華
3/6

3話


「んで、どやったん?」

「明日からインキャの仲間入り決定や…しにたい…」


見るからに真面目で固いクラスの雰囲気を変えようと

持ち前のギャグを披露したら大いにスベった。

今まで感じたことない苦痛を味わったあたしは、隠れるように素早く着席した。

そして1秒でもあの空間から消えたくて、ホームルームが終わった瞬間

逃げるように教室から出た。


「くははっ!あかん、我慢してたのにわろてもた!」


こっちゃんは普段、大笑いせんけど

あたしがスベったら嬉しくて笑いが止まらんらしい。


「全く笑えへんねんけど!もう記憶喪失なったろか!」

「お前のギャグ笑わんとかそいつら相当ツボ深いな~」

「なんなんあいつら。

ロボット?サイボーグ?あたしのギャグ笑えへんようにプログラムされたんか?!」


辛い~と連呼するあたしを横目に

こっちゃんはずっと嬉しそうに笑ってた。


「でもまあ、人生なにがあるか分からんから。これをきっかけにお友達が増えるかもよ。」

「いや…今頃、みんなの中で変質者扱いされてるはずや…」

「大丈夫やって!こよみは学校では目立ってる方やし中川も言うてたけど、すぐ馴染むやろ!」

「ん~、ぼちぼち頑張るわ」

「おぅ、がんばれ、じゃまた明日」


お互い小さく手を振って別れたあと、

1人になるとすぐにスベった事がフラッシュバックして

晩ご飯の時間まで、胸の中がモヤモヤして気持ち悪くなった。


「新しいクラスはどやった?」

「う~ん、お世辞でも良いとは言われへんかも」

「ふーん、そうなん、がんばりよ」


ウチはいつもこんな感じ。


あたしは今でこそめっちゃ明るいけど、

小学校の頃ただみんなを笑わせたくて

授業中とか無駄に発言してた。


嫉妬なんかしらんけど、そんな私が気にくわんかった子達に無視されたり、いじめられて、泣きながら家帰った事があった。

最初はいじめられてると思いたくなくて、耐えてたけど

その時はさすがに辛すぎて、いじめられてる事を告白した時、お母さんは頭を撫でながら


「そんな子はほっといたええ」


この一言で片付けられた。

学校に電話を掛けるとか、いじめてる子の親に真実を突き止めるとか

そんな事は望んでなかった。ただ、辛かったねって、話を聞いて欲しかっただけ。

その後はショックすぎて覚えてない。

この頃くらいからお母さんに不信感を抱くようになっていたのかも知れない。


「ごちそうさま」

「こよみ。高校卒業したらどうするか、そろそろ決めときや」


やっぱりこういう時しかあたしに興味もたへん。


「あ、うん。分かった」

「ほんまに分かってんの?また話してや」

「はいはーい、じゃあ先にお風呂入るわ」


部屋の豆電をぼーっと眺めながら、将来の事を考えてた。


(勉強も嫌いやし、やりたい仕事もパッと思い付かんなぁ。

お母さんから反対されるのめんどくさいし、無難な事選ばなあかんなぁ。

…あたしは人生まで親に決められるんかぁ。

…あたしって何に向いてるんやろ。あ、その前に明日学校嫌やなぁ………)


そんな迷路の中を辿っていたら、あっという間に夢の中やった。




「へ、帰った?」

「おー、今日バイトらしいからソッコー帰ってたで」

「あ、そーやん…今日、水曜日か…ありがとっ!」


こっちゃんは水土日に、ガソリンスタンドのバイトしてる。

今日が水曜日なのをすっかり忘れてた。


(ちよちゃんも部活やしな〜…しょうがない、今日は1人で帰ろ。

愚痴聞いて欲しかったけど、たまにはこーゆー日があってええか。)


そう思いながら校門を抜けた。


「なあ、佐藤さん」

「え?」


完全に上の空な時に

聞き覚えのない声にビックリして足が止まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ