2話
-1ヶ月後-
「ぅわ…最悪やー!」
「うん確かに最悪やな」
進路が定まらないまま
人生最後の高校生活が始まろうとしていた。
と、同時に失望していた。
「高校最後のクラスがこんなクソ真面目に囲まれたクラスとかありえんの…?
あたしの人生ほんましょーもない!」
「お前が遅刻と居眠りばっかするからちゃう?」
リアルすぎる悪夢やと思いこみたいくらい
クラス大半が真面目くんと真面目ちゃんの名前が並んでた。
「こっちゃんのクラスめっちゃメンツいいやん!なんなんほんま!」
「日頃の行いってやつやな」
こっちゃんは余裕そうに口角を上げた。
あたしの仲の良い友達は嫌がらせかと思うくらいみんな散らばっていた。
のちにクラス表を見にきて発狂するみんなの表情が目に浮かぶ。
モヤモヤを抱えたまま、渋々現実を受け入れに新しいクラスへ向かう。
「あたし…やってけるかな…」
「大丈夫やろ、たった1年耐えるだけやん。てか1年もないし。」
ため息混じりのあたしの言葉に
こっちゃんは慰め混じりの皮肉で即答した。
「おーーい、こよみ~こっちゃん~」
「あ、ちよちゃん…おはよぉ…」
「うわ、テンション低っ」
あたしの親友、中川千世ちゃん。
あたしとこっちゃんの間のクラスになったらしい。
友達が多くて明るい彼女は、新しいクラスはそこまで嫌じゃないらしく
先生嫌がらせやねぇと慰めているのかいじっているのか、のんきに話している。
「こよみ、いつでもうちのクラス来てな!」
「うん、俺んとこも」
二人して親指を立ててあたしに向けてくる。
「あ…ありがと…今んとこ恐怖でしかないよ…」
「大げさやわ~!こよみ明るいし、すぐ馴染むよ!」
ちよちゃんがあたしの肩を組みながら、満面の笑み。
大げさやけど、この笑顔に何回救われたやろうか。
「うん、がんばる!」
「んじゃ、またあとでな」
そう言うと、こっちゃんは新しいクラスの男子に囲まれて
あっという間に教室の奥に消えていった。
「こっちゃんすごいね、やっぱ人気者やね」
「うん。ほんまこっちゃんはどこ行っても囲まれるよな。」
「こよみは、こっちゃんの事何とも思わん?」
「え?思わん思わん!それよー聞かれるわ」
「えー、めっちゃ仲良いのにもったいない!」
あたしは男女の友情は成立すると思ってるから、
こっちゃんの事は何でも話せる親友としか思わん。
仲良くなりたての頃は今より付き合ってるか疑われてたな。
「後にも先にも何も起こらんよ、こっちゃんとは」
「そっかぁ……あ!もう先生来るよ!こよみまたねっ!」
「あ、うん!」
名残惜しそうな顔をするあたしとは反対に、ちよちゃんは笑顔で自分のクラスに消えていく。
2人が離れたら一気に孤独感に襲われた。
心の準備出来てないのに。
でも、行くしかないとドアに手をかけた。