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受け取った物と僕

投稿遅れてすみません。遅れた理由としましては、完結間近ということもあり、結の部分をどう描くのか悩んでいたのが原因です。

「こんにちは。待ってたよ。星野さん」


 学校帰り。僕は星野さんを彼女と初めて言葉を交わした公園へと呼び出していた。


 何故ファミレスではなくここにしたのかといえば、ここが僕たちにとって始まりの場所であり、思いで深い場所であり、()()()にするにはここが一番いいと思ったからだ。


「あの……話って……」

「その事だけどまず初めに僕は君に謝らなければならないことがある」

「謝る事?」

「僕は星野さんの過去した出来事についてすべて知ってしまった」

「……そうですか」


 星野さんは取り乱すこともなく、淡々とその言葉を受け入れていた。


 きっと心の奥底で僕がそうすることが予想し、覚悟していたのだろう。


「軽蔑……しましたか?」


 軽蔑。漢字で書くと軽く蔑む事。でもこの言葉の持つ意味としてはもっと重く、相手を馬鹿にし蔑むといった意味のもので、星野さんが今現在学校中の人間から向けられている感情の総称。


 もしここで僕が星野さんのした行いについて「軽蔑している」そう答えたら僕たちの関係はすぐさま崩壊し、僕と星野さんの関係は終焉を迎えるだろう。


 それもまた楽なのかもしれない。星野さんの抱えている悩みは大きく、学生程度の力では解決するのは土台無理な話であり、一番楽な選択肢であることは誰の目からも明らかだろう。


 僕が抱えていたちっぽけな失恋程度とは明らかにレベルが違う。そんな彼女に僕にちっぽけな言葉は届かないかもしれないし、その確率は圧倒的に高い。


 きっと頭のいい人間ならば当に逃げ出し、彼女と関わり合うのを止めている。それほどにまで彼女の抱えている問題は大きい。


 信じていた人間に裏切られ、いわれなき中傷にさらされ、()()()の一言も言えない状況にまで追い込まれている。そんな状況、明らかに普通ではないし、彼女もまた普通ではない。


 星野さんはとても無防備な女の子なのは、初めは彼女が天然なせいだと思っていた。でも今となってはそれは違うと断言できる。


 星野さんは自分という存在に興味がないだけなのだ。自分がどうなろうがどうでもいい。何をされようが、酷い目にあおうがどうでもいい。しまいには殺されてもいいと思っているかもしれない。そこにまで彼女は自身に、人という存在に、自分自身に()()()()()()()()


 そんな存在。誰も救う事はできはしない。人は結局の所100%理解し合う事は()()に出来ないのだから。


 境遇だって、考えだって、性格だって違う。それが人という生き物であり、この(ことわり)は不変の事実。


 だからこそ自分を100%理解できるのは自分しかおらず、自分い外の人間が救うことなんてできやしない。


 僕は確かに咲夜に救われた。でも咲夜が先輩に対して何かしてくれたから僕は救われたのではないし、それをしたとしても僕の心は救われることはなかっただろう。むしろ咲夜に対してより恨み言を吐いていたかもしれない。


 あの時の僕の気持ちはまだ先輩にあったのだからその様な状態で、思い人が傷つけられたとあったら例え僕の事思ってやったとしてもきっと許さなかったに違いない。


 咲夜もそれが分かっていた。わかっていたからこそ咲夜は先輩の事をあの時は傷つけず、僕のそばに寄り添うという選択肢を取った。


 嘘をつかず、真直ぐ僕に向き合い、自身の思いを口にしてくれた。僕はそんな咲夜から再び前を向くという()()を貰った。


 彼女の与えてくれたものの効果は絶大で、僕は先輩への思いを未練なく断ち切ることができた。過去を過去と受け入れ、自分の行いを、自分という物を肯定してあげる事ができるようになった。その時、僕は真の意味で彼女に救われた。


 僕にとって咲夜は紛れもない恩人で、いつも穏やかな笑みを浮かべながら僕の道を指し示してくれるそんな人で、僕はそんな彼女に恥じない自分でいると決めた。


 そんな自分がとるべき行動は自分が一番よく分かっているし、この場に来た時点で当に覚悟している。

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