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第21話 ヤバい奴×急遽変更

短いGWが終わり普通の登校となった。


「眠そうですね」

「ああ、徹夜明けだ。寝ぼけて事故ったらすまん」

「すまんじゃすみませんよ!起きてください!」


同じ自転車に乗っているのだから雅人の手が狂えば自転車は倒れる。

雅人は受け身を取ればかすり傷程度で済むだろうが葵はそうはいかない。

そのため必死に雅人を起こした。


なんとか事故もなく学校に着けばいつもの2人の姿が見えた。


「葵ー。おはよう」

「おはようございます。....詩音さん?どうしましたか?」

「葵成分を補充中だから待って」

「教室でやれよ」

「学校の連中が行きかう中やることじゃないな」

「うるさい。赤嶺はいつでも補充できるからいいけどウチはそうはいかないの。葵が家に住めば解決するのに」

「お姉ちゃんのご飯を作らないといけないので無理ですよ」

「ウチならあんな危ない自転車に乗らなくても歩きでこれる距離なのに」

「夏休み、お泊りに行ってもいいですか?」

「めっちゃウェルカム!」


朝から百合百合しい光景を見た雅人達は呆れた顔をして早々に教室へと向かった。

教室では慧輝がいつものように女子に囲まれていた。

葵が入って来たことに気がついた慧輝は葵の元へと向かった。


「古賀さん」

「なんですか?」

「クラス委員の件だけど、もしおれとやるのが嫌だったら代わって貰っても大丈夫だから。おれに辞めろというならそうするよ」

「そんなことないですよ。私は大丈夫です」

「そう言って貰えるとこちらとしても助かるよ」


あの件を経て慧輝なりに反省したようだ。

だが勿論、慧輝に不信感を抱くものも少なくない。


「安田くん、机が...」


葵達がいるすぐそばに慧輝の机があるのだがそれが消すのが大変という程度には汚れていた。


「誰がこんなこと...」

「仕方ないことだ。おれがやってしまったことだから」

「それはそうですが...」


葵の中ではアレはもう過ぎたこと。

やってしまったことは取り消せないしやり直しも出来ない。これからやり直せばいいそう考えたがため葵は真琴に録音を消すように頼んだ。

机への落書きは誰も望まない仕返しなのだ。


「もっと芸術的センスがあればいいんだけどな。文字だけじゃ足りないよな」

「油性じゃないことに優しさを感じますね」

「皆聞いた?次落書きした奴には赤嶺のパンチをプレゼントだって!」

「待って俺んな事言ってない」


雅人が不良として恐れられてることをいい事に詩音は防護策を弄した。


「男なら少しは役に立ちなさい」

「ふざけんな。俺にヘイトが集まるだろうが」

「それでイジメが防げるなら安いもんでしょ。さあ的役頑張れー」

「頑張ってください」


1人の生徒を犠牲に!トラップカード発動!『イジメ防止』!このカードは犠牲になった生徒により効果が変わる!今回赤嶺雅人を犠牲にしたため、場にいる生徒すべては永遠に攻撃を受けない!

といった具合か。


昼休みはいつも通り友達ゼロ人の先輩と昼食をともにしていた。


「だからボッチじゃないって!ちゃんと友達はいるの!」

「頭の中にだろ。分かってるからあまり大声を出すな」

「監視対象が偉そうに!」

「生徒会個人でやってるくせに威張るなよ。なんならその友達と一緒に食えばいいだろ」

「後輩との触れ合いがないって生徒会として致命的なの。特に悪名高い不良がいるクラスはね」

「あんたのせいで目つけられたってわけね」

「流石赤嶺、期待を裏切らない」

「そこは裏切ってもいいんですよ?」


寄ってたかって袋叩き。

雅人が一体なにをしただろうか。


「暴行、傷害、器物破損、名誉棄損、危険物所持...過去を探せば色々と出てきそうね」

「聞いただけでやばい奴」

「これを中学生がやってるって日本はいるからこんなに治安が悪くなった」

「大丈夫ですよ。治安が悪いのは学校の周りだけですか。都心に行けば平和です」


確かに、少なくとも夜であるかなければ安全だろう。

多摩川高校の周辺は不良が多いため昼でも危険な地区だ。


「そういえば、最近買い物行ってないけど食材は大丈夫なの?」

「昨日行ったばっかだ」

「なら呼んでよ!アタシも呼びなさいよ!」

「呼ぶ必要はないだろ。2人いれば十分だ」

「仕事しないとなにか言われそうで怖いの」

「生徒会って大変だな」


社畜になりつつある梓を後輩一同は哀れんだ。


「なにこの会話、完全に同棲してるカップルの会話なんですけど」

「部屋が隣同士なんだから普通の会話だろ」

「いやいや、騒音云々の話はするかもだけど、食材の話はしないだろ。なに、赤嶺お前作って貰ってるのか?」

「ああ、古賀にな。この弁当だって古賀が作ったものだ」

「あ、お口に合いますか?」

「いつも古賀が作った飯食ってんだから合うに決まってるだろ。めっちゃ美味い」

「それは良かったです」


ホッとしたように微笑む葵を見ているだけで周りは癒された。


放課後になり珍しく5人で帰った。


「大所帯だな」

「葵いいなー。うちも自転車の後ろ乗りたいー」

「神崎は無理、重すぎる」

「はぁ!ウチの体重知らないくせに!」

「古賀より重いってことは知ってるから無理」

「カッチーン。ウチが葵の体重になったら不健康すぎるでしょ!骨しか残らないわ!」

「臓器抜けば肉付きはそのままだぞ?」

「なに『え?そんな常識も知らない?』みたいな顔してんのよムカつくわね」


「2人とも、ここ住宅街なんだから騒がないでね」

「すいません」

「このお猿さんになに言っても無駄よ。理解する脳がないのだから」

「だってよ豹堂」

「オレドMじゃないから罵倒されても喜べないぞ」

「馬鹿ばっか…」


帰るのが3人増えただけでかなり賑やかになった。

雅人と葵だけの時は自転車に乗っているってこともありほぼ無言での帰宅だが今日だけは違った。


「あ、あの…今日皆さんでご飯にしませんか?」

「どこで?」


葵の部屋は雅人の部屋より物が置かれているため5人入るには少しスペースが足りない。


「…道具を持っていけば赤嶺くんのお部屋で出来ますけど…」

「大変じゃないか?」

「葵が急にそんなこと言うなんて珍しいね」

「…ごめんなさい」

「別に責めてるわけじゃないわ。場所をどうするかの話よ」

「神崎の家は?広いだろ?」

「別にいいと思うけど…食材ないと思う」

「食材は今からでも買いに行けばいいだろ」


急遽葵の提案で詩音の家で夕飯を食べることになった。

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