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第19話 ゲーム×3人

GW2日目。


「雅人ー?来たわよ」

「赤嶺くん?起きてますか?」


女子2人が男の部屋を訪ねるという素晴らしい光景なのだが、当の雅人は小型ゲーム機でモンスターをハントしていた。


「ゲームなんてやって…早く終わらせなさいよね」

「じゃあ2人が時間決めて」

「そうね…どうする?」

「5分なんてどうでしょう。大体モンスター狩るのと移動時間などで5分なんてあっという間ですよ」

「なら5分で」


2人からしてみれば、結構鬼畜な時間を選んだつもりだった。

だがその時間を選ぶには相手が悪かった。


「余裕」

「ゲーム廃人怖ー」

「変態黙って」

「誰が変態よ!」

「生徒会室で露出プレイしてたんだ。立派は変態だろ」

「そんなおしゃべりしてると時間無くなるわよー」

「はぁ、もう終わったし」

「早いですね」

「トリプルライトでGガノトだからな。早いに決まってる」

「トリプル?ライト?Gガノト?」

「これだからミーハーは…」


無言のまま迫られ鋭利な爪が喉元に突きつけられた。


「喧嘩はなしでお願いします」

「こんな奴は放っておいてゲームするぞ。てか、なにする?」

「3人で出来るものにしましょうか。スイッツなら3人で出来ますよね」

「あー。ブラスマやるか。瞬殺してやる」

「いいですね。そうしましょう」


スイッツの電源を入れ、3人分のコントローラをつなげていく。


「アタシらでソファ使うから貴方は床でやりなさい」

「偉そうに」

「1番年上ですから」

「1番下手なくせにな」

「そんなのやってみなきゃ分かんないでしょ!」


雅人は無難に赤髭の配管工、葵は電気ネズミ、梓は桃姫。


「えちょ、はぁ?あんた達…ガチ勢?」

「それはどうかな」

「どういう」


そう話している間に配管工にバーストが決まり場外へと吹き飛んでいった。

雅人が見誤ったのはここだ。

中学からゲームに熱中するようになった雅人と違って、葵は小学校から1人でゲームをしてきた。

たまに姉の茜が対戦相手になるが弱すぎでNPCの方が強いまであった。

歴で言えば、葵の方が数年先輩なのである。


「このゲームはXの頃からやり込んでましたから」

「画面の中じゃ不幸体質は出ないか…」

「アイテムあれば結果は変わるでしょうけど」

「は?アイテムとか邪道だろ。あれはパーティーグッズだから」

「そうですね。アイテムがあると実力が分からなくなりますから」

「ガチ勢怖い…」


しばらくやったが、雅人と葵の2人勝負となり梓は早々に退場し自分で持ってきた菓子を摘んでいた。


「お前が弱いせいでつまらない」

「貴方達が強すぎるの」

「…ならハンデをつけようか。俺達はタメ攻撃なしでやってやる。それでもし勝てなかったらお前の負けな」

「頑張ってください」

「それならアタシにだって勝ち目は…」


雅人の戦績、5戦中2敗。

葵の戦績、5戦中3敗。

梓の戦績、5戦中5敗。


雅人達がタメ攻撃を封印してもなお梓は一勝も出来なかった。


「…アタシはきっと泣いていい」

「弱すぎ。出直してこい」

「コンボとかメテオを覚えればすぐに上手くなりますよ」

「後輩にぼろ負けとか…他にないの?雅人が苦手、不慣れなやつ」

「俺が買ってるんだっから苦手なやつは買わないだろ」

「それもそっか…あ、このイカは?イカならアタシは得意よ?」

「イカは…出来なくもない。苦手の部類だな」

「じゃあこれやりましょう!」


イカはほかにディスプレイがないと出来ないため一戦ずつのキルデス数で勝負となった。


「手慣れてるな」

「スナイパーなら前線に出なくていいし接近される前に倒せるから安全よね」

「あ、でも...」

「言うな」


キルを稼げて調子に乗っている梓に襲いかかったのは雅人のランク帯だった。

つまり、


「あ!撃ち抜かれた」

「そんな見え見えのとこに陣取ってたら相手のスナイパーの餌に決まってるだろ」

「飛距離計算も大事ですよ?」

「これからだし」

「そうやってすぐ飛び出す」

「え?」


リスポンエリアから飛び出しイカが見えた瞬間、ポインターが映った。


「あー!なにあれ!チート!バグ!ズル!」

「チートでもバグでもズルでもない。お相手さんの超精密射撃だ。


雅人の実力はS+の実力者。そんな猛者ばかり集まる場所ならではのキルの仕方。

まあ、スナイパーが敵陣のリスポン地点まで行くのは戦犯になりうるのであまりお勧めはしない。


結果、5キル6デス。


「最初調子よかったのに...」

「次は私ですね」


葵の武器はローラー。

広範囲に濡れる分、キルには特化はしていない武器。


「あ、ひいちゃいました...」

「天然でキルするとサイコパスみたい」

「ただ気がつかずにやってるだけなのにな。不思議だよな」


結果、4キル0デス。


次の雅人の武器は二丁拳銃。


「つ、強い」

「二丁拳銃なら4発当てればキルできるからな。余裕」

「この武器は他の武器では出来ないスライドにローリングまでありますからキル特化の武器と言えますね」


結果、13キル3デス。


「化け物...不良でゲーム廃人とか救いようがないわね...」

「特技があるって言え。戦績マイナスの地雷さん」

「言わないでー!でも!不良ゲーム廃人と地雷でプラスじゃない!?」

「....古賀、解説頼む」

「わ、私も意味がちょっと...」

「だーかーら!マイナス×マイナスでプラスになるでしょ!って話!」

「それ、かけてるんじゃなくて足してるだけだから」

「結果マイナスなのには変わりないのでは?」

「どうして...生徒会長はそうだねって笑顔で言ってくれたのに...」


それは賛同してるんじゃなくて思考を放棄した結果だろ。とは言わなかった雅人だった。

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