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第9話 談笑×友人

野球を終えたら昼食、それが終われば自由時間。

他クラスの部屋にいくのもありだし男女で一線を越えなければ遊びに行ってもいいことになっている。


「赤嶺くん?どうしました?」

「別にどうもしねぇよ。ただ疲れただけだ」

「疲れたってなんにもしてないでしょうが」

「外にいるだけで十分な運動だ」

「陰キャみたいなこと言っちゃってー。野球で大活躍した奴が陰キャとかあり得ないから」


少し痛む足を引きずりながら宿舎へと戻った。


「んじゃまた部屋行くわ。パンツとか放りっぱなしなんだったらちゃんとしまっときなさいよ」

「だってよ赤嶺」

「ああ、片付けとく」

「まさか本当にあるとは…」


部屋に戻ってやることは。


「湿布とか隠さなきゃな」

「無難にバックの中でいいだろ。怪我した時用とでも言えばいい」

「それがいいか。あと、本当にパンツは片せよ」

「分かってる」


数十分して葵達が着替えた状態できた。


「わざわざ着替えたのかよ」

「汗かいたので一応」

「あんたらはそのまんまかい」

「無駄な荷物は持ってきてないからな」

「ゲーム機充電してる時点で余計な物が見えるんだけど」

「ゲーム機は必要だろ。着替えなんてプラス2枚でいいだろ」

「これだから男子は…」

「赤嶺くん。血がついてるシャツ見せて貰えませんか?」

「葵、血とか大丈夫なの?」

「はい。お姉ちゃんの服によくついてるので慣れました」


葵は最初はダメだったが慣れるほど見たらしい。

雅人が血がついたシャツを見せた。


「…これ赤嶺くんの血ですか?」

「いや、相手の血。俺のはこれ」


シャツについてる数滴のうちの一つを指さした。

胸あたりについた血はそれなりの大きさだった。


「多分殴られて鼻血出てそれが垂れたんだっけな…それか口切ってそれが垂れた」

「服にこんな大量に血が付いてること自体おかしいけどな」

「豹堂はこういうのないの?」

「オレ?オレは喧嘩とかしたことないから」

「え、でも不良だったんじゃ?」

「問題児ではあったかもしれないけど赤嶺みたいに拳での殴り合いはない。せいぜい教師に向かって口で反抗した程度だ」

「立派な不良だよ」


「赤嶺くん。赤嶺くんは今まで自分から喧嘩をしたことがありますか?」

「いや、ないな。相手が殴りかかってきたら完膚なきまでに叩きのめすが」

「そうですか…少し安心しました」

「俺を安心?それはどういう意味だ」

「私だって怖いものは怖いです。いっぱい喧嘩する人は怖いので嫌いです」


いくら姉に不良を持っていたとしても葵本人は不良なわけじゃない。

慣れているだけで怖くないわけじゃない。

ただ雅人レベルの不良でも普通の人と同じに話せるというだけである。


「ほらほら、喧嘩控えないと葵に嫌われちゃうよー」

「こりゃ大変だな。喧嘩が日常なお前に出来るかな〜」

「俺だって喧嘩売られなきゃ買わないから。できるし」

「ほんとー?」

「くどい」


「赤嶺くんは私を助けてくれたり教えてくれたりする優しい人でいてください」


それは葵の中の真なる願いだった。

誰も傷ついて欲しくない。誰もいなくなって欲しくない。

自分にどんな不幸が降りかかろうとどんな怪我をしようとほかの人には傷ついて欲しくなかった。

それは勿論守ると言ってくれた雅人にも当てはまる。


「大丈夫だ。俺は俺だから」

「うわ、横暴」

「これが赤嶺雅人か…シビアコ〜」

「これくらい横暴の方がナメられないからいいぞ」

「ナメられないのは結構ですが、喧嘩はダメですよ」

「…善処する」

「ダメですよ」


葵が顔をぐいっと近づけると雅人は気まずそうに目線をそらした。


「分かったよ…喧嘩、ダメ、絶対の精神で行こう」

「猛犬の手懐けシーン」

「猛獣の調教」

「あ?んだよおい」


雅人は迷いなく仁の胸ぐらを掴んだ。


「それもダメです!喧嘩に繋がりますから!」


ベットを踏み台にダイブした葵の体は宙に浮き胸ぐらを掴む雅人めがけてのしかかった。

ベットのスプリングが軋み2人の体が跳ねる。


「お前…ダイブした先のことも考えろ」

「ごめんなさい…」


雅人の胸にはもにゅと柔らかいナニカが押し付けられすこし動けばそれに合わせて形を変えた。


「古賀って意外と胸あるんだな」

「え…」

「赤嶺!ウチの葵になんてこというの!謝れ!」

「神崎だって風呂で見たろ。結構あるぞ」

「マジで、男子の間でも結構話題になってたよ」


仁のその一言で詩音の目線が一気に氷点下まで下がった。


「最低、屑、ゴミ、変態、犯罪者予備軍、死ね」

「考えうる暴言の数々だね」

「女子をそんな目で見てんじゃないわよ気持ち悪い、赤嶺もそういうつもりで近づいたんじゃないでしょうね」

「まさか。それならもう食ってる」

「この手慣れた感じイラつく。さっさと警察に自首してこい」

「だってよ豹堂」

「あんたら2人に行ってんの。デリカシーのなさは要勉強ってところね…」


他の生徒が同性どうしで遊んでいる中、雅人達はこれからの高校3年間を過ごす友人を見つけていた。

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