第一話・蒼き夜
小説を書くのは初めてです。文章を書くことが苦手で、誤字や文章がおかしい所が多々あると思いますが、精一杯頑張りますので許して下さい!
限られた時の中で、もがき、苦しみ、喜び、そして絶望し、そうして人は生きていく。一瞬でも構わない。お前の幸せの為なら、俺はこの命を捧げよう。
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今、18年間生きてきた故郷が「蒼き闇」に呑まれ、消えてゆく様を一人の青年は見つめていた。産まれた場所は違えど、今まで住んできた街、それが「貧民街」であろうとだ。その最期を見届けずにはいられなかった。
「貧民街」それは、普通ならば貧しい者達の住む場所である。実際に、それもそうなのだが、ここは今や常識となった魔法の使えない者達が追いやられる場所である。
魔法を使えない=職が無い状態なので、必然的に人々は貧しくなり、魔法が使えない下等種族とされ迫害を受ける為、人々はお互いを大切に思い暮らしてきた。
常に差別から暴力を振られ、傷が絶えず、時には命を落とした者もいた。そんな様子を幼いころから見てきた青年は、人の大切さに人一倍敏感だったのかもしれない。
「蒼き夜」と後に呼ばれることとなったこの貧民街襲撃事件、強烈な魔力に貧民街は押し潰された。
「おい!あんた医者だろ?!コイツは命の恩人なんだよ!なんとかならねぇのか?」
「黙れ!ゲスの下等種族が!折角私がこうしてこんな卑しいところに来てまで助けてやってるのになんだと思ってる!コイツは助からん!何度言えば分かる!」
「じゃあ助からない訳を教えてくれよ!」
「これは『天術』、そこいらの魔法とは訳が違う。こんなに闇に呑まれちゃもうコイツは助からねぇ!ワシの技術じゃどうにもならん!これで気は済んだか?もうすぐそこまで「闇」は来てる。コイツをおいていかないとワシらも助からんぞ!」
「クソ……すまねぇ、命はって俺を助けてくれたってのに……
俺には来世は幸せになれるよう祈ることしか出来ない……
ゴメンよ」
そして、青年は一人その場においていかれた。
…………………
「見ず知らずの野郎を庇った結果、医者に見捨てられ助からないってか、あんまりじゃねぇか…………」
『絶望』まさにその言葉が当てはまる、そんな気がした。
体は、今街を押し潰す「蒼き闇」と同じ色に所々侵され、意識は朦朧としている。
「全うな人間目指して生きてたが、その結果がこれか……全く皮肉なもんだな…………」
青年の意識はそこで暗い闇の底へ落ちた。
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「起きたか、体は大丈夫か?」
少し離れた場所、焚き火の側にその声の主、赤い髪に黄色の眼を持つ老男がいた。
「俺は……確か…………」
「長時間寝てたから記憶が曖昧か?怪我なら治しておいてやったぞ」
自分の体を見ると、体が蝕まれた痕跡は消えて無くなっていた。意識もしっかりとして、痛みもない。
「あ、ありがとう!医者が治せないって言っていた気がするんだが、これは一体?あんたは何者だ?」
「まあまあ、質問は焦るな。私は……そうだな、クロノスとでも名乗っておこうか。医者は薮医者だっただけだろう。」
「そう、か、」
「起きたならこっちからも質問したいことがあるんだが、よろしいか?」
「ああ、いいけど……」
「お前の髪の毛の色なんだが、元からその色だったか?」
クロノスと名乗る男は鏡を差し出した。そこに移った俺の顔、いや、髪の毛の色は「蒼き闇」と同じ色に染まっていた。
「こ、これは?確か俺は元は白色だったはず……」
一瞬、クロノスは動揺の表情を見せた後に考え始めた。
暫く沈黙が流れ、再びクロノスは口を開いた。
「どうも、見たことない事例でな。今後の様子もみたい、どうだ?行くあてが無いなら私についてこないか?」
何者かわからない、だが未来を一時諦めた俺に、今をくれた命の恩人である。確かに俺には行くあても無い。ならば、答えは一択だろう。
「あんたは何者か分からないが、とりあえず命の恩人だ。俺はあんたについていく、それをあんたが望むなら。」
「そう答えてくれると信じてた。ところで君の名前は?」
「無い、な……生憎貧民街出身、名前なんて大層なもんは無いですよ」
「なら、私がつけようか?」
「いや、大丈夫だ」
確かどこかで俺は名前を呼ばれた記憶がある、記憶には無いが、最近だったような気がする。
「確かどこかで『蒼夜』と呼ばれたことがあったんで、そう呼んで下さい」
「分かった、蒼夜。これからよろしくな」
「こちらこそ、命を救ってくれてありがとう、クロノス」
二人は硬い握手をした。
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あの後、とりあえずクロノスの屋敷へ向かうこととなった。
本来飛行術式で移動するが、俺は魔法すら使えない無能な為に、歩きで行くことになった。
「『………………』」
「ん?」
聞き取れないが、すぐ側で何か囁くような声が聞こえた。近くにいるのはクロノスだけの筈だが、彼の声では無いのは確かだった。
「どうした?蒼夜、何かあったか?」
「いや、何か聞こえた気がする」
「???、何も聞こえないぞ?」
「気のせいか……」
再び無言の静寂が訪れる。そもそもこんな獣道を通ることを見込んで襲撃する奴なんぞいない筈、しかも存在を知らせるような囁きはもっての他だ。
「………………」
「『蒼夜…………』」
「誰だ!」
今度は確実に聞き取れた。声は自分の背後からだ。咄嗟に振り向き警戒するが、視界には誰一人映らない。
「クロノス、聞こえたか?今、誰かが俺の名を呼んだ」
先を何事も無いように歩いていたクロノスに状況を説明する。
「突然どうした、何も聞こえなかったぞ?この近辺には人どころか動物もいない、何か聞こえたのならそれは幻聴だ。」
確かに幻聴なら納得いく。そもそも蒼夜という名はクロノスの他に名乗った覚えはない。
「………………」
「疲れてるようだから今日はここらで切り上げよう。」
「はい…………」
幻聴、かなりショックだった。治癒したとはいえ、予想以上にダメージが残っている証拠だろう。
簡易テントを立てて一晩を明かした。その間にクロノスは魔法の話を持ちかけてきた。
「蒼夜、お前は魔法の知識が全く無いだろう?これから基礎的な知識は必要になるはずだから、屋敷に着くまでの一週間でお前に教える」
「まず、魔法は大きく分けて五種類ある。基礎、補助、術式、天術、禁忌の五つだ。今夜はまず五種類の魔法の特徴を教えよう。」
「一つ目は基礎魔法。いわゆる普通の魔法だな、火や水、風、雷、光に闇といろいろある。仕組みとしては、自分の中の魔力を使ってそれを解き放つ。そんな感じだ。
ちなみに自分の中の魔力が少なかったり、解き放つことが出来ない奴が貧民街に飛ばされる。お前の場合は後者の方だな。」
「魔力を解き放てないってのはどうにか出来ないのか?」
「イメージとしては水道の蛇口だな、あれが外れてるだけなら治せるが、お前は完全に潰れている」
「…………」
「こんなこと言うのはあまり良くないかもしれないが、基礎や補助魔法は一生使えないだろう。」
「まあ、昔から諦めてはいたからな……」
「すまない……また話を続けるが、二つ目は補助魔法と言って回復や強化の魔法だ。これも基礎魔法と仕組みは同じでお前は使えない。
だがここからが本題だ。三つ目は術式、基礎や補助と根本的に仕組みが違う。要するにお前にも使える」
「え?」
「術式の仕組みは周囲の魔力を集め魔法陣を描くということだ。だから自分の魔力に影響されないから、魔力の蛇口が絞まってようが使える。
問題は魔法陣の複雑さと、周囲の魔力に影響されることと、発動の遅さだ。今じゃ使う者は少ないかな」
「だか、それなら俺でも使えるのか。」
一生魔法は使えないと思っていた。ずっとだ。幼いころから夢見ていた。それが叶うのか…………!
つづく
とりあえず一話目書いた感想は、文章を考えるのが大変でした。
ストーリーについては、まだ大きな登場人物がクロノスと蒼夜の二人だけだったり、ストーリーの鍵となる能力や天術、禁忌について書いてなのでまだなんとも言えない状態です。
二話目も出来れば今週中に書けるよう頑張ります!