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■■譚  作者: 古風
2/7

二日目。

 ピピ、ピピピピ、ピピ、と甲高い音が頭に酷く響く。うるさいなあ、と眉を寄せたところで、目が覚めたことに気付く。


「…すこし……もう、少し…あと……もうすこ…」


 重い目蓋をどうにか持ち上げれば、カーテンの隙間から微かな明かりが差し込んでるのが見える。

 今日は曇りかと察し、なおも断続的にアラームを鳴らし続ける、目覚まし時計の頭を叩いて、止める。


「面倒だな…ふあぁ」


 もう少し、時間がかからない場所にでも引っ越そうかと考え、そういえば、いつも考えるだけで実行してないな、と気付いたところで布団から身体を起こす。


「ふあぁ……」


 欠伸をしつつ、コンロに水を入れて置きっぱなしにしていた薬缶に火をつける。

 棚から皿を出して、冷蔵庫から買い置きしていたパンをフライパンの上に置き、開封済のジャムを流しいれて火をつける。

 油塗れの換気扇を回して火をつける。その間に、箪笥を開けて適当な服を取り出して着替える。


「ふああぁ」


 漏れ出る欠伸を噛み殺し、フライパンの火を消す。

 冷蔵庫から買い置きしているパンを取り出し、皿を出すのを忘れたことに気付いて、迷ったがフライパンの上に置く。カップを取り出して、薬缶から湯を入れる。

 洗い物も減っていいか、と妥協し、金属製の鍋敷きをテーブルの上において、フライパンを置く。


 適当な上に適当な、けども量がいつもよりは多い朝食を食べつつ、テレビをつけて雲と太陽が半々の天気予報とニュースを流す。

 ゆっくりしたいところだが、時間がない。食器代わりのフライパンを洗って、埃塗れの引き抜かれたコンセントをなんとなく見ながら、乾燥機に置いておく。


 曇った鏡の前で歯を磨き、冷たい水で顔を洗えば、眠気が飛んでいく。

 カーテンが閉じてあることを確認して、靴を履きつつ部屋を見回す。異常なし。


 荷物を持ってやや重い扉を押し開け、外に出る。錆びた音を立てて扉が閉まり、鍵穴に鍵を差込み、二度、三度、回す。


「さてと。今日も頑張るか」


 階段を下りて、出かける。

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