表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
消えてゆくもの  作者: 綾羽
1/1

夢のなかで

初投稿です。未熟者ですので、誤字・脱字・不自然な流れがあればご指摘いただけると幸いです。



一軒の家がある。お祝いでもしているのだろうか、楽しげに話す家族の笑い声が聞こえてくる。


そして、場面は変わり家の中になった。

三人家族のようで丸いテーブルを三人で囲んでいる。お祝いは娘の誕生日のもので、テーブルには豪華な食べ物が並んでいる。三人ともとても良い笑顔だ。


しばらくして両親は、娘の誕生日プレゼントを取りに部屋を出て行った。


三十分ほど経っただろうか。

両親が帰ってくる気配のないことに気づいた少女は食べる手を止め、部屋を出た。


少女は何を思ったのか迷うことなく寝室へと向かった。

寝室の扉を開いた少女は目を見開き、そして力なくその場に座り込んでしまった。


ーー そこにあったのは、先ほどまで一緒に笑いあっていた両親だったものであった。



そして、視界は暗くなって行き何も見えなくなった。







ハッ!

ベッドから飛び上がるように起きた。


「……夢か。書いとくか。 」


そう呟いた俺は、枕元に置いてあった手帳に今の夢の内容を書き留めた。書き留めたのには理由がある。

俺には〈予知夢〉という能力があるらしく、夢を見た当日から三日後までには夢と同じことが起きている。

これに気づいたのは二年ほど前、《少女が転がった果物を拾おうと追いかけて、大通りに出たとき馬車に轢かれてしまう。》という夢をみた。

その日の昼間、少女が何かを追いかけ路地から大通りに出てきたのを見て、夢のことを思い出した。馬車を探していると少女の奥から馬車がやってきているのを見つけとっさに、


「あぶない! 」


と叫んでいた。

少女を助けようと動こうとしたが、体がすくんでしまい動けなかった。 そして少女は轢かれてしまった。


この一度だけならば、正夢で済ますことができる。 だが、人が転んだり、雪が降ったり、誰々が病気になったり、と夢で見たことが現実になったことが何度もある。これらのことでわかっていることは俺にしか未来を変えられないということ。この能力は完全ではないため、普通の夢のときもある。区別がつけにくく、すぐに忘れてしまう。だからこうして手帳に書き留めるのである。


〈予知夢〉のことはこのあたりにして自己紹介をしようか。

俺の名前は (みなと)涼夜(すずや) 。三年前より前の記憶がなく、自分が何者かを知るためにこの国、ドルクミニアで探偵事務所を開き、魔物の討伐や人助けしている。どちらかと言えば人助けの方が多い気もするが、討伐の方もそれなりにできる……多分。時々だか〈予知夢〉ではなく俺の過去を見ることができ、今思い出せているのは、自分の名前と俺と楽しげに話す女性がいるということだけだ。そしてこの辺りでは俺の名前は特殊らしく、産まれはここからずっと東へと向かった島国ではないか。ということがわかっている。

それが正しいのかまだわからないため、物の修理・探し物・たまに人殺しの犯人捜しなんかをしてお金を貯めている。


今日も仕事をするため朝食を素早く済まし、俺が経営する事務所を開いた。

『そろそろマリナさん来るかな』なんて考えていると、ドアのベルの音と共に一人の老婆が入ってきた。

この老婆はマリナさん。マリナさんは七十代の女性で、ほぼ毎日うちに来てくれている。いつもは聖母のような顔のマリナさんが、今日は少し慌てているようにみえる。


「マリナさんおはようございます。今日はどうされましたか?」

「いつもすまないねぇ。指輪を無くしてしまってね。あれは亡くなった夫に貰った大事なものでね。早く見つけたいのよ。」


この言葉を聞いて急いで、マリナさんに最後にどこで指輪を見たのかなど、必要な情報を聞きメモを取り席を立つ。


「マリナさん! 探してきますね! 」


そう言って俺は指輪を探しに街へ出た。







探しに探し、指輪を見つけた頃には夕方になっていた。


「やっと見つかったー。でもこれでマリナさんも喜んでくれるだろ。」


急いでマリナさんの家を訪ねた。

指輪を見たマリナさんはとても喜んでくれ、いつもの聖母のような笑顔で笑ってくれた。いつもお世話になっているからと、マリナさんの家でご飯をいただいき報酬も受け取る。

玄関先まで出来きてくれたマリナにお礼を言って家へと向かう。


「やっぱり笑顔が最高の報酬だな。」


なんて青臭いことを言っていたが、頭の中では朝の夢のことを考えていた。


そして、そろそろ事務所を閉めようとしていたとき、一人の男性がうちを訪ねてきたのだった。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ