表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
972/1883

EP9 ていうか、覇王の宝玉。

 いんふぇるの呼称問題も片づいたので、これで心置きなく覇王装備の件に集中できる。


「では集めた覇王装備を出してもらおう」


 マーシャンの指示によって覇王の宝玉の生成が開始された。今まで集めてきた覇王装備が並べられていく…………ん?


「ちょっと待って。こんな鍋が覇王装備?」

「へ? 普通の座布団じゃない、これ?」

「この箸を出したのは誰ですか!?」

『な、何という破廉恥な下着……!』


「……其方等、どのような基準で覇王装備と判断したのじゃ?」


 基準って……。


「ミニマーシャンだよね」

「ミニマーシャンだよ」

「ミニマーシャンですね」

『ミニマーシャンですわ』


「む!? ま、まさか……」


 ていうか、マーシャン。あの覇王装備探索機械(ミニマーシャン)の言うことに従っただけだからね、私達は。


「ま、まずは鍋じゃの。これは?」


 エイミアが手をあげる。


「何処にあったのじゃ?」


「何処も何も、このステーションにありました。ステーション内の粗大ゴミを集めていた時に、突然ぐるぐーる警報が鳴り始めて」


 ぐるぐーる警報って……。


「それで集めた粗大ゴミを一つずつ確かめていったら、その鍋に行き着きました」


「ではこの鍋に反応したのは間違いないと?」


「それは間違いありません」


「む……そうなのか、ミニマーシャンよ?」


 マーシャンの問いかけに返ってきたのは。


『ぐるぐるぐーる! バーカバーカ!』


「うぬぅ!?」


 完全にバカにされてるという事実だった。


「仕方ないわね……どうなのよ、ミニマーシャン?」


『ぐるぐるぐーる! バーカバーカ!』


「さーて、一番近い溶鉱炉はどこだったかな」


『ぐるぐ!?』


「素直に答えるなら、今回は勘弁してあげるけど?」


『申し訳ございませんでした』


「よし。で、間違いないのね?」


『ぐるぐるぐーる! 絶対! 絶対!』


 はい、確認できた。


「……まあ良い。ちゃんと言う事を聞くのじゃぞ?」


『バーカ! バーカ!』


「な……!?」


「ミニマーシャン、マーシャン以外にはちゃんと従いなさいね」


『勿論でございます』


「な、何故じゃああああ!?」


 日ごろの行いじゃない?



 鍋が覇王装備に確定したところで、次は座布団か。


『それは私です』


「……ライラよ、流石に金属でもない座布団が覇王装備とは、幾ら何でもおかしくないかえ?」


『そう言われましても……ミニマーシャン様がそう仰られますので』


 いやいや、流石にこれは……。


「ライラよ、もう少し冷静になると良い。覇王装備は多種多様あるが、共通しておるのは金属という事じゃ。幾らミニマーシャンがそう言ったとしても、疑う必要も『ごちゃごちゃうるせえんだよ!』……へ?」


 あ〜あ、菩薩並みに優しいライラちゃんが怒っちゃった。


『黙って聞いてりゃ言いたい放題……この雷々が下らねぇ冗談をぶっ込むとでも思ってたのか!?』


「へ? あ、いや、その」


『腐ってもこの雷々、人様を騙すような汚れた生き方はしてねえんだよ!』


「あ、はい、失礼しました」


『だから陛下よぉ、ちょっとジャンプしな』


「え? え? ひ、ひぃぃ!!」


 マーシャン相手にカツアゲを始めた雷々ちゃんは放置して、ミニマーシャンにことの真相を確かめる。


「で、間違いないのね!」


『ぐるぐるぐーる! 座布団のチャック! チャック!』


 こ、これぇ!?


「な、何でもありすぎない!? いくら金属だからって、座布団のチャックが覇王装備なの!?」


『ぐるぐーる! 元はカフス! カフス!』


 元はって……ああ、鋳潰されたクチか。


『はああ? 女王のクセにこれっぽっち? もっと飛べや夜露死苦ぅ!』


「た、助けてぇぇぇ!」


 マーシャンはお尻の毛までむしり取られてるけど、気にしない気にしない。



「次は……箸ね。これは?」


「ボクが見つけたんだ。みんなと同じで、ミニマーシャンが反応したヤツだよ」


 これはホントに……箸よね。


「金属製?」


「絶対に違うね」


 持ってみるけど……確かに普通の箸だ。


「今度は何で反応をしてるのかしら……ラメが付いてる以外は普通の箸………………ん? ラメ?」


 急いで空中端末で検索。


「……ラメだ。これが金属製だわ」


『ぐるぐーる! 元はピアス! ピアス!』


 これも鋳潰されたヤツか。ていうか、こんなちっちゃなラメがよく覇王装備化したわね!


「…………箸に付いているキラキラが、伝説の装備品になっちゃうんですか…………」


 安売りになっちゃったわね、伝説の装備。


「……となると、残りは……」

「このスケスケの下着ですか。簡単な選択肢ですね」


 全員私を見る。


「サーチですね」

「サーチだよね」

『サーチ様ですわね』

「私じゃないわよ」

「……妾じゃよ」


「「『……ん?』」」


「だから、私じゃなくて」

「妾じゃよ。先日買ったばかりの下着じゃったのじゃが……」


「…………マーシャン、この下着を着てるんですか? 普段から?」


「そうじゃよ」


「…………陛下……流石に……これは……」


「な、何じゃ!? 妾が何を着ようと妾の勝手じゃろ!?」


 いやあ…………流石に【いやん】や【先っぽ】が丸出しの下着を普段から着るのは……。


『陛下、破廉恥で御座います』


「な、何でじゃ! 妾の好みの何処がおかしいのじゃ!」


「ボク思うんだけどさ、見せる相手もいないのにそういう下着を着ける意味はないんじゃ?」

「はぅあああ!?」


 あ。今マーシャンに言葉の刃が突き刺さった。


「ぐ、ぐふっ」


「へ、陛下!? どうしたの!?」


「あんたの言葉の刃(エクスカリバー)がマーシャンの心をみじん切りにしたのよ」


 いやあ、あれを言われたらヘコむわ。


「ちゃんと相手のことを考えて発言しなさい」


「う……ご、ごめんなさい……」


 結局下着の金具が覇王装備だったらしい。また鋳潰されたヤツみたいだ。



「そ、それでは覇王の宝玉の具現化を始める……グスン」


 まだ半泣きのマーシャンが呪文を唱える。


「あ、でもいんふぇるのは大丈夫なの?」


『問題ありません。今は太陽光で十分エネルギーを賄えていますから』


 フレアがそういうのなら大丈夫なんだろう。


「うぬぬぬぬ…………くぅぅぅぅぅ…………かあああああああ!」


 シュオオオオン!


「で、出来た……のじゃ」


 マーシャンの手の平には、少しだけ欠けた状態の青い玉があった。


「この欠け具合だと……あといくつくらいなの?」


「……そうじゃな……あと四つじゃな」


 四つか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ