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EP3 ていうか、ガン・カタ。

「ふああ……」


 ヴィー達と別れ、インフェルノに戻ることにした。ヴィーとナイアが「も、もう?」と言って半泣きになってたのは放っておく。


「まさかワープ機関が故障するとは……」


 本来ならニーナさんがネコババして移植したワープ航法で、インフェルノまでひとっ飛びなんだけど……まだ安定していないらしく、あっさり壊れた。ネコババしたのも災いし、今は手がつけられない状態だ。


「ま、二週間ガマンするしかないわよね……暇だけど」


 ガンブレードを外しているので両手が軽い。軽量タイプだけどやっぱ重さは感じる。


「……やることないし、久々に短剣での訓練をしてみるか」


 ちょっと前に魔法の袋(アイテムバッグ)を整理していた際に出てきた短剣を二本持ち、訓練場に向かった。



「はあっ!」

 ぶんっ! びゅん!


 ……少し鈍ったかな。最近はガンブレードばっかりだったから。


「ふっ!」

 びゅびゅん!


 左手の短剣を逆手に持ち変える。うん、この方がしっくりくる。


「おっはよ〜」


 しばらく素振りで汗を流していると、ナタが訓練場に現れた。


「あら、珍しいわね」


「あふ……ちょっと寝れなくってさ」


「……ああ」


 ファーファの件か。見送る際に目が合ったみたいだけど、結局何も会話なかったもんなぁ……。


「で、あんたも訓練するの?」


「……そうだね。ちょっとやってみようかな」


 肩をグリグリ回すナタ。


「ていうか、私と組み手する?」


「え、サーチと!? 銃と剣じゃ組み手にならないよ」


「何言ってんのよ。銃でだって近距離戦闘はできるわよ」


「じゅ、銃で近距離って……銃剣か何か?」


「違うわ。ガン・カタって知ってる?」


「が、がんかた?」


「銃と型でガン・カタ。銃と格闘を組み合わせた近距離戦闘術よ」


「銃と格闘!? 何それ!?」


「覚えておくと便利よ。やってみる?」


「…………そうだね。気晴らしにはなるかな」


 なら話は早い。早速やってみよう。


「ナタ、二丁拳銃は?」


「できるよ」


「格闘術の心得は?」


「ある。ナイフでの暗殺もしてたから」


「オッケー。それだけ押さえてあれば、少し慣らすだけでかなり戦えるようになるわよ」



 まずは短剣を銃に見立てて型を見せる。


「基本的な動きは同じ。ただし」


 ぶんっ!


「ナイフや短剣なら敵の攻撃を受けることはできるけど、銃の場合は防御が難しい。銃本体で受け流せないことはないけど、衝撃で故障のリスクが発生する」


 ぶんっ! びゅっ!


「だから基本的には避けることが前提。だからフットワークが重要よ」


 びゅん! びゅびゅっ!


「相手の攻撃を避けて、隙をついて撃つ。短剣と違って攻撃範囲は広いから、中距離でも遠距離でも隙あらば撃つ」


 びゅびゅん! ざざっ


「……だから身体で覚えるしかない。繰り返し繰り返し組み手をして、ひたすら叩き込む」


 型をやって見せてから、汗を拭う。


「どう? できそう?」

「ムチャ言わないでよ!?」


 え、何で?


「速すぎて見えない! 大体あんな動きができるんなら、型なんか必要ないよ!」


「あ、そっか。なら……」


 さっきより四割くらいスピードを落として型を見せる。


「……こんな感じかな」


「……なるほど。とにかく動き回って隙を見せないようにして、相手の死角から撃つって感じ?」


「ま、そんな感じ。それじゃ一回やってみようか」


 そう言って短剣を構える。ナタもサイボーグの腕を銃に変化させ、もう片方に拳銃を持つ。


「私が攻撃を仕掛けるから、隙をついて撃ってきなさい!」


 そう言って斬り掛かった。



 ギギィン! びたっ

「はい、チェックメイト」

「うぐぐ……」


 銃を弾き飛ばされ、首筋に短剣を突きつけられる。


「惜しかったわね、今回は」


「あ、あのね、今はボク普通に殺すつもりで撃ったんだよ!? それをあんな紙一重で避けるって……普通はあり得ないよ!」


「私の言葉じゃないんだけどね、あり得ないなんてあり得ない、っていう名言があるのよ」


「いやいやいや! 銃口を見て避けられてるから、弾を当てようがない…………ん?」


 お、何かヒントを掴んだかな。


「…………サーチ、もう一回いいかな。何度も言ってるけど、当たったらごめんね」


「そのセリフは当ててから言いなさい」


 再び構え、ナタに斬りかかる。


「はあっ!」

 ダダン!


 サイボーグの腕から二発弾が放たれたけど、銃口から直線上にいなければ問題ないから、避けるのは簡単……。


 チュイン!

「がっ!?」


 ……なはずなのに、太ももを掠める。何で!?


「くっ!」


 太ももの焼けつく痛みを我慢しながら、再びスピードをあげる。


「今度は当てられないわよ!」


 ダダン!


 再びサイボーグの腕からの射撃。今度こそ紙一重で……。


 ビスッ!

「あぐぅ!」


 今度は肩か! 完全に当たった……!


「ぐ……くぅ!」


 サイボーグの腕からの射撃。放つ二発のうち、一発は瞬時に銃口を作って撃ち、すぐに塞いでいたのね!


「銃口を見て弾道を読むことができないってか!」


 ならサイボーグの腕のみ気をつければいい。反対側に回り込めば何とかなる!


 ダダダダダダダン!


「わたたたたたっ!? そ、その拳銃……!」


「そう、サーチのリボルバー式マシンガンと同じだよ!」


 マ、マシンガンが相手じゃ流石に踏み込めない!


「うりゃうりゃうりゃあああ!!」

「わっ! ちょっ! まっ!」


 こ、こんなの近距離戦闘どころの騒ぎじゃ……!?


「今だ!」

 ぶうん! ジャラッ

「え? きゃっ!」


 マシンガンに隠れてサイボーグの腕をチェーンに変化させていたナタは、私の足に巻きつける。

 そして。


「うりゃああああああああああ!」

「うっぎゃあああぁぁぁあああぁぁぁあああぁぁぁ……」


 ……降参するまで振り回されることとなった。



「ぐ、ぐるぐる〜」


「ご、ごめんサーチ。大丈夫?」


 肩の貫通銃創と太もものかすり傷はポーションですぐ治ったけど、目が回るのは……なかなか治らない。


「で、でもナタ、今の戦いは、ま、満点だったわよ。わ、私でも、な、なかなかなか苦戦したし」


「サーチ、治ってから話そうよ。それよりサーチは苦戦じゃなくて敗戦じゃない?」


 は?


「ていうか、あんた気づいてないわけ?」


「へ? 何が?」


「はあ……お尻を触ってみなさい」


 言われたナタはお尻を触って……真っ赤になった。


「い、いつの間に破けて!?」


「あんた、私にパンツを斬られたの、全く気づかなかったの?」


「……全然」


 まだまだ甘いわね。

架空の戦闘術です。

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