表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
958/1883

EP15 ていうか、電動合体?

「……しっかり映像に撮られてるし……」


 翌日、ニュース番組とネットは大賑わいだった。


『突然現れた巨大ロボットは、火星のギャングの残党が乗る船をビーム砲一撃で薙ぎ倒し……』

『謎の巨大ロボットは突如姿を現しましたが、去るのもあっという間だったそうです……』

『近くの宇宙ステーションから戦いを見ていた方によりますと、ステーション襲撃を企んでいたと思われるギャング達の前に颯爽と現れ……』


「これボクだ! このインタビューに応えたの、ボクだからね!」


 ハイハイ。子供かっつーの。


「それにしても、いつの間に撮影されていたんでしょうね」


 エイミアが首を傾げる。確かに、あの時間に近くを航行している船はなかったはずだ。


『すみません、私が撮影したモノです』


 すると意外な方がゲロッた。


「私がって……ニーナさんが?」


『はい。ブラッディー・ロアへの牽制になるかと思いまして』


 なるかなあ。


『サーチ、見る人が見れば何がロボットに変形したのか、すぐにわかりますよ』


「そうかしら? あまり原型は留めてないわよ?」


『いえ、わかります。巨大ロボット研究者が言うのですから、間違いありません』


 巨大ロボット研究者っているのかよ!



 ……ニーナさんが言ってたことはホントだった。


『巨大ロボットの正体が判明!? 近くで営業中の宇宙ステーションか』

『キュアガーディアンズの秘密兵器の可能性』

『地球外生命体の忘れ形見?』


 ネットニュースで宇宙ステーションが変身説が報じられると、「巨大ロボット 宇宙ステーション」というワードがあっという間にネット検索数の一位になった。


「ホントだ……元は大学の教授だって人の証言だわ……」


 巨大ロボットに詳しいって、何で大学の教授が?


「詳しいってホントなの?」


『一応専門的な事は仰っていらっしゃいます。この教授は「ボールベアリングを用いた巨大関節」が研究テーマらしいので、巨大ロボットに詳しいというのも頷けます』


 巨大関節って……確かに巨大ロボット作るなら一番重要なとこよね。


「ていうか、巨大ロボットって需要あるの? そっち系のファン以外に」


『実際に建造される可能性は低いでしょうね』


 だよねー。変形中に攻撃されたら目も当てられないし、変形するよりも普通に攻撃したほうが早いし。


『何故巨大ロボットになったのかは、本人(フレア)に聞いてみるのが一番かと』


 聞いてみたわよ。そしたら……。


『趣味です』


 の一言で片づけられたよ! ていうか、その理由以外にはあり得ないだろうけどね!



 次の日から、宇宙ステーションいんふぇるのは大盛況になった。


「へえ〜、これが巨大ロボットの宇宙ステーションか……」

「お父さん、あっちが腕で、あっちが頭じゃないかな!?」

「うわー、かっけぇ」


 大半は子供連れの家族。中には興奮しまくりのオタク軍団もいるけど。


「いらっしゃいませ〜」

「ありがとうございます〜」

「えーっと、いんふぇるのまんじゅうは如何ですかー」

『巨大ロボットカレーも御座いますよ』


 で、あまりの盛況ぶりに人手ならぬ機械手も足りなくなり、私達まで引っ張り出されるハメになった。ていうか、いつの間にまんじゅうやらカレーが?


「ねえねえ、あの人達がロボット操縦してたのかな?」


 違います。ていうか、ロボット操縦者が自ら巨大ロボットカレーを売らないだろ。


『マスター・サーチ、お客様よりご要望があった「超合金インフェルノ・ノヴァ」が完成しました』


 超合金まで作られてるしー!!


「こ、こうなったら自棄だ! 巨大ロボットの超合金はいかがすかー!」


「え、超合金!?」

「オレ欲しい。マジ欲しい」

「お父さん買って買って買ってー!」

「いやいや、お父さんも欲しい」


 スゴい反響で、あっという間に長蛇の列。


「はいはい、一人一体までですよー。転売目的の大量購入はお断りですからねー」


 いやはや、スゴい売れ行き。今日何回言ったかわかんないけど、あっという間に売り切れた。


「フレア、追加よ! フル稼働で生産して!」


『タペストリー、ストラップ、キーホルダーの生産は完了しました』


 ていうか商売する気満々だな!



「つ、つっかれた〜……」


 結局一日中引っ張り回らされ、閉店時間を一時間ほどオーバーすることになった。いやはや、スゴいとしか言い様がない。


『お疲れ様です。紅茶は如何ですか?』


「ライラちゃんありがと。ていうか、ライラちゃんも疲れたんじゃない?」


『そうですね、少しボールベアリングの磨耗が激しかったです』


 ……要は疲れたのね。


「サーチ、もしかしたらボク達、これで食べていけるんじゃない?」


 かもしんない……いや、一過性かな。


「ちょっとしたブームになってるだけよ。一ヶ月もしたら忘れられてくわ」


「そんなもんかな」


「ま、ロボット変形中に移動できたのが幸いして、航路に位置を移すこともできたし、前みたいに閑古鳥が鳴くことはないわよ」


 ……なんて呑気に構えていたが、事態は急転直下で進行していった。



 それはあるアニメーターが、お遊びで作ったCGを動画サイトにアップしたのが始まりだった。


『マジかっけぇ』

『続き見たい』

『もっと作ってほしい』


 たちまちバズったこのCGをマネた動画が溢れ返り、動画サイトに専用ページが作られるまでになった。それによって更に話題沸騰していき。


『アニメ化望む』

『いや、特撮だな』

『何でもいいから映像化』


 ……という声が上がり始め。

 ついに。



『駅員戦隊いんふぇるジャー、制作決定』


「はあああああああっ!?」


 とあるポータルサイトのトップニュースに、朝から大声をあげることになってしまった。


「え、駅員戦隊って……」

「……確かにネタ切れ気味でしたけど……」


 予告動画では駅員に扮した俳優達がポーズを決め、背後が五色に爆発していた。


「エ、エキインレッド……」

「エキイングリーンって優先席ですか?」

「エキインブルーにエキインイエロー……た、確かに駅員っぽい格好だけどさ……」

『エキインピンクは女性ですか。やはり定番なのでしょうか』


 あ、でも今回はイエローは男だよ……ってどうでもいいか。


『電動合体、インフェルノ・ノヴァ……ですか』


 あ、ロボットはまんま流用してるわ。


「サーチ、宇宙ステーションが変形するのに、何故電動合体なんですか?」


 知らねえよ。


『いんふぇるジャーとインフェルノ・ノヴァが合体する事により、真の力が解放される……そうです』


 合体じゃなくて搭乗じゃね?


『キャッチコピーもそれに因んでますよ』


 まさか……。


インフェルノ・ノヴァ(あなた)と合体したい』


 止めれ。



「……もしかしてだけど、その番組の前って……美徳戦士グレートエイミア?」

「いやあああああああああああっ!!」


 あ、心的外傷になってた?

何気に抉られるエイミア。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ