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EP14 ていうか、防衛戦。

 宇宙ステーション「いんふぇるの」が駅として開放されてから一週間、来客は……0だった。


「ま、本格的にこれで儲けようと思ってたわけじゃないから、別にいいんだけどさ」


「でもある程度は来てくれないと、カムフラージュにはならないよ」


 ナタの言う通り。今のままならブラッディー・ロアに襲われても、誰にも気づかれないだろう。


「やっぱり宣伝じゃないですか? 『新駅いんふぇるの、爆誕』とか銘打って」


 爆誕って……。


『私からも意見させて頂きますが、元々大きく航路から外れています。それが第一の原因では?』


 それが一番の問題よね。


「ねえ、フレア。インフェルノって推進装置付いてるの?」


『このような大質量、移動できるわけがありません』


 ですよねー。


「……他の船で引っ張る、とか?」


「あのね、私達の船だけじゃムリでしょうが」


 ………………ん? 待てよ? 無重力下なら、それは可能なのかも?


「……キュアガーディアンズに私達が依頼を出すカタチで、インフェルノを引っ張ってもらう宇宙船を募集する……とか?」


 何せ宇宙空間だ。少しでも推進力があれば、あとは勝手に前に進む。


「……そうだね。それなら現実的かも」

「名案じゃないですか!」

『検討すべき案だと思います』


 よし、なら紅美に連絡をいれて、早速手配を……。



 ヴィーッ ヴィーッ



『エマージェンシー! エマージェンシー! 敵性勢力の大量ワープアウトを検知しました!』


 な……!?


「サ、サーチ、敵だよ!」


「ワ、ワ、ワ」


「……ワ?」


「ワープできるのかよ! この世界、ワープ技術があるかああああ!!」


「ちょっと、サ、サーチ!?」


「ワープができるんならああああああ! 火星だって地球だってひとっ飛びだろうがああああああ!」


『落ち着いて下さいませ、サーチ様。ワープに関しては軍の独占ですわよ』


「うがああああああ! …………って、軍の独占?」


『はい。まだ開発されたばかりの技術で、まだ一般に公開するのは危険なのだそうです』


 ふーん……危険な技術、ね。


「そんな危険なワープを使ってきたってことは……相手は軍ってことか」


「軍が何でこの宇宙ステーションを?」


「さあ……どっちにしても交渉次第ね」


 ……頭の中で交渉をシミュレーションしてみるか。



『艦隊がワープアウトしてきました! 数は二千!』


 二千かぁ……戦っても100%勝ち目はないわね。


「となると話をするしかないよね」


 とは言え、何の通知もなく艦隊を差し向けてきてるんだから、平和的にはいかないわよね……どうしよ。


「あれ……ちょっと待って。変だよ、あの船」


 すると艦隊の船を見ていたナタが声を上げる。


「船が全部無印だ」


 無印?


「あ、無印ってのはね、軍や所属国のシンボルが何も刻まれていない新造船のこと」


「新造船?」


「うん。あの艦隊の船、全部新造船だ」


「……たまたま新しい船ばっかなんじゃないの?」


「いや、シンボルを刻むのは共通のルールなんだ。無印の船が航行してたら海賊船に見なされて撃沈されても文句は言えないくらいに」


 ……確かに。今まで戦ってきた海賊船も、何らかのシンボルはあったわね。


「なら……どういうこと?」


「わかんない。だけど……真っ当に表を航行できる船じゃないね」


 ……ふむ……。


「……となると、あの艦隊……まさかのブラッディー・ロア?」



 こちらから通信を送るものの、何の音沙汰もない。これは交渉する意志はないか。


「どうする? 逃げちゃう?」


「……だけどインフェルノをこのままにしておくわけには……」


 エイミアが言うことはもっともだ。思い入れもあるし、フレアとマンマルモもいる。


「思い切ってさ、この宇宙ステーションはマンマルモの自生地だぞー、環境破壊はんたーい……とか?」


「ブラッディー・ロアが環境保護団体に見える?」


 あれこれと対策を協議していると。


『艦隊からの強制通信です! そのまま流します!』


 フレアさんの言葉のあと、女性の声が流れてきた。


『聞こえてるかい? あんた達には火星で散々な目に会わされたからね、生きて帰しゃしないよ。ブラッド・マーズ・ファミリーを潰してくれた恨み、晴らさせてもらうから覚悟おし』


 ブラッド・マーズ・ファミリーの残党かよ!


『この声は……確かブラッド・マーズ・ファミリーの初代……』


 ライラちゃんのデータにヒットしたみたいだ。


「初代かあ……なら叩き上げで戦闘にも慣れてるよね?」


『元軍のエリートだったようで、艦隊戦の経験もあるようですわ』


 ますます厄介。どうしよ、マジで。


『……マスター・サーチ、戦闘モードに移行しますか?』


「ええ、お願い………………へ?」


『了解。インフェルノ・ノヴァモード発動』


 ……はい?



「ボス、戦闘準備完了ですぜ!」


「……ブラッド・マーズ・ファミリーの全戦力を集めたんだ。今回は負けないよ……主砲用意!」


「ボ、ボス! 宇宙ステーションの様子がおかしいですぜ!」


「何だい、何があったんだい?」


「ス、ステーションが……変形してます(・・・・・・)!」



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


『上半身変形完了。次は下半身に移ります』


「なななななな何なのよこれ!?」


『覇王のエネルギーを取り込んだ事により、戦闘モードへの移行が可能になりました』


「せ、戦闘モードって!?」


『ぶっちゃけロボットに変身できます』


 宇宙ステーションがロボットになるのかよ!?



「な、何だい、ありゃあ……」


「ちょ、超巨大ロボットに……なりやした……」



『変形完了。ステーションロボット、インフェルノ・ノヴァ見参!』


 インフェルノ・ノヴァっすか……。


『インフェルノ・キャノン、発射用意!』


 インフェルノ・キャノンっすか……。


『三、二、一、発射(ファイア)!!』



「こ、高エネルギー反応が! 駄目だあ、避けられな……ぐああああ!」


「クソがあああ! こんな馬鹿な事があってたまるか……うああああ!」



 言語道断な音を立てて放たれたインフェルノ・キャノンは、一撃で艦隊を殲滅した。



「…………」

「…………」

「…………」

『…………』


『敵の全滅を確認。インフェルノ・ノヴァ、通常モードに移行します』


「…………」

「…………」

「…………」

『…………』


「な、何じゃ!? モノ凄いエネルギー反応じゃったぞ!?」


 焦ったマーシャンが艦橋に駆け込んできた。


「…………」


「ど、どうしたのじゃ?」


「……あ、あまりにも非現実だったから……」


「はあ?」

インフェルノ・ノヴァ見参!

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― 新着の感想 ―
[一言] マクロス・クォーターとかユニクロンみたいな巨大ロボも僕は、大好きです(๑•̀ㅂ•́)و✧
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