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EP7 ていうか、対“飛剣”対策。

 ゾクゾクゾクッ


 突然走った悪寒に身体を震わせる。


「? どうかしましたか、サーチ?」


「…………あ、ごめん。何でもない何でもない」


 急に院長先生の殺気を感じたような錯覚が。


「院長先生に殺されるなんて、マジで願い下げだからね」


「え? 院長先生って、A級冒険者の〝飛剣〟のヒルダですよね?」


「そうよ」


「ひ、〝飛剣〟のヒルダに命を狙われているんですか!?」


 違う違う。ちょっと悪寒が走っただけだから。


「大変ですぅぅぅ! サーチが〝飛剣〟に命を狙われているらしいですぅぅぅ!!」


「何だって!?」

『何ですって!?』

『あらあら、それは大変ですね。フフフ』


 ニーナさん以外は完全にエイミアの誤解に乗せられてるし!


「ひひひひ飛剣だよね。と、とりあえず核兵器作っとこうかな」

「ちょっと待て。あんた作れるの?」

「はははははい。私百人分の血液がいるけど」


 どこでその血液補充するつもりだよ!


「サササササーチ、血液供給お願いします」


 やだよ! ていうか、死ぬわ!


『ナタちゃん、私の血液で良ければ市販されてますわ』

「そそそそうか、よし!」


「ちょっと待て。ライラちゃんの血液って、要はオイルだよ?」


「オイルかよっ! それじゃ核兵器作れないよ!」


『そうなんですの!? ならばサーチ様を培養して千人ほど増やして』


 私は細菌か!


「ていうか! 私は院長先生から命狙われるようなことはしてませんから!」


「え、そうなの?」

『え、そうなんですの?』


『二人共、エイミアが言っている事ですよ? 先ずは一歩下がって確認してみないと、とんでもない誤解の可能性があります』


 何気にエイミアに対する信頼感0だな、ニーナさん。


「う、確かに」

『そうでしたわね』


 こいつらも。


「そんな! 私の言ってる事を信じてもらえなぐふぅふぉ!?」


 ややこしくなるから、あんたは黙ってな。


「ただ悪寒が走っただけ。ずいぶん昔に院長先生に向けられた殺気をフラッシュバックしただけよ」


『ヒ、ヒルダが貴女に殺気を!? どのような状態で!?』


「院長先生が楽しみに残していたイチゴを、私がコッソリ食べたのがバレたとき」


『それは………………殺気だけで済んで幸運でしたね』


 うん。私もそう思う。


「いや、ボクなら完殺するね」

『私も粉砕致します』


 容赦ないな!


『『「食べ物の恨みは恐ろしいですよ」』』


 ……はい。



『ぐるぐるぐーる! ぐるぐるぐーる!』


 結局今の状態では、このミニマーシャンに頼るしかない。


「次の覇王装備がある場所は?」


『ぐるぐるぐーる! あっちあっちあっちっちー!』


 ……月寄りか。


『ぐるぐるぐーる! 一週間くらいで着くよ!』


 一週間かぁ。また暇になっちゃうなぁ。


「サーチ、ちょっといいですか?」


 ん? エイミア?


「どうしたのよ……っていうか、フル装備でどちらへ?」


「ちょっと付き合ってもらえませんか?」


「いいけど……フル装備でどちらへ?」


「訓練です!」


 訓練? エイミアが?


「何故か……嫌な予感が離れないんです」


 …………。


「……わかった。なら付き合うわ」


 エイミアを連れて訓練場へと向かう。


「……ごめんなさい、サーチ。私の嫌な予感って、つまりは」


「院長先生に関わるヤツでしょ? 大丈夫よ」


 エイミアが感じた嫌な予感、私にもよーくわかるから。


「私もね…………ずっと例の悪寒が離れないのよ。で、だいたいこういった類の悪寒が続くときって、当たっちゃうのよね……」


「ではサーチはヒルダさんを?」


「あり得ないって気持ちと、もしかしたらっていう気持ちがせめぎ合ってる、て感じかな」


「……サーチ……」


「ま、こんなイヤな予感はハズれてくれればいいんだし、準備しとくに越したことはないわ」


「……はい」


 でも……こういうイヤな予感って、だいたい当たっちゃうのがパターンなのよね……。



「ええいっ!」

 ブウンッ

「ぜんっぜんダメ!」

 ガギィ!

「あう!?」


「エイミア、ホントにその大振りを直さないと、命に関わるわよ!」


「は、はい……」


「特に院長先生はそういう隙は絶対に逃さないから、とにかくコンパクトに攻めなさい」


「は、はい!」


 改めてサイ・トゲコンボーを振るが……やっぱダメか。


「……エイミア、院長先生と戦うときはこん棒は無しで」


「…………はぁい」


 そんなに不満そうな返事するなら、さっさと大振り直せ。


「でも、どうやって戦えばいいんですか?」


「エイミアにはもう一つ武器があるでしょうが」


「へ? 私のもう一つの武器?」


 何で思い浮かばないんだよ!


「……っ……っ……っ……あ! わかりました!」


 わかるのも遅いし!


「……って、これって武器になるんでしょうかふぁごぅふぉ!?」

「何で胸なのよ! その巨大なバストで相手の横っ面を張るのか!」


「ご、ごべんばばい……」


「違うでしょ。エイミアには≪蓄電池≫(バッテリーチャージ)があるでしょうが!」


「………………ああ!」


 忘れてたな、おい!


≪蓄電池≫(バッテリーチャージ)なら四方八方から飛んでくる飛剣にも対応できるし、≪電糸網≫(スタンネット)の範囲を広げればより対応しやすい」


「た、確かにそうですね……あ、そういえば」


 ん?


「ニーナさんって、ヒルダさんの仲間だったんですよね? ならヒルダさんの動きや太刀筋をご存知なのでは……」


「…………でしょうね」


「ならニーナさんに頼んで、しゅみれーしょんしてもらえば」


『……それは「ダメよ!!」サ、サーチ?』


 私の鋭い否定にエイミアが驚く。何か言いかけたニーナさんも同様だ。


「サ、サーチ、何故ですか!?」


「あんた……ニーナさんに仲間を売らせようっての!?」


「売らせるって……そんなつもりは」


「仮の話だけど、もしあんたが私達から離れて他のパーティに加入した場合、私達と敵対したら私達の情報を教える?」


「そ、そんな! 裏切るような事、できるわけないじゃないですか!」


「あんたはそれと同じことをニーナさんにやれって言ったに等しいのよ!?」


「っ!!」


「……ねえ、エイミア。私は確かに院長先生と戦うことになるかもしれない。だけど勝つために人としてやってはいけないことをしてまで、院長先生に勝ちたいとは思わない」


「………………はい……」


「それに、ほら。戦うことになりそうなら、戦わずに済む道を探したほうがよくない?」


「戦わずに……済む?」


「そう。あんたにはそれができるのよ」


「……え?」


『成程。エイミアの電撃でしたら、ヒルダを行動不能に陥らせる事も可能ですね』


「……あ!」


 もう一回言うけど、やっと気づいたのかよ!

サーチは仲間に甘々。

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