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EP5 ていうか、リファリスの知り合い?

「……ねえ、おかしくない?」


 軍から逃げて三日。突然違和感に襲われる。


「どうしたんですか?」


「いや、何か変だと思って。私達さ、軍の船を一隻撃沈したのよね?」


「ええ、そうですね」


「その割には、軍から何の追及も受けないんだけど」


「それはキュアガーディアンズ本部が上手くやってくれたのでは?」


「そうだけどさ、庇いきれるような事件じゃないよね、冷静になってみれば」


「で、でもあれは正当防衛じゃないですか。私達が殺される可能性があった以上、相手を殺すのはやむを得ない」


「そう、そこ! 私はそれに違和感を感じてるのよ。私達は正当防衛の割にはかなりの大量殺戮をしたのよね」


「は、はい。そうなりますね」


「こんなこと聞くと変に思われるかもしれないけど、エイミアは何であんなに兵士を殺したの?」


「え、何でって……正当防衛……ではないですね、異様に殺意を覚えたというか……?」


「そうよ。普段のエイミアなら、突然相手を殺すようなマネはしないんじゃない?」


「…………」


「これが戦場だったり、突然盗賊に奇襲されたとしたら話は別だろうけど。あの兵士達は命の危険を感じるほど強かった?」


「…………いえ、全く。ただ、何故か『この人達を殺さなくてはならない』としか考えませんでした」


 やっぱり。まさかとは思ってたけど。


「……艦橋へ行くわ」


「サ、サーチ?」



「……みんなに集まってもらったのは以前の軍とのいざこざのことなんだけど」


「……あ」

『……もしや』

『やはりそうでしたか』


 ニーナさんも、か。ていうことは。


「みんなもそうなんだろうけど、違和感を感じない?」


「……うん。さっき急に疑問に思った」

『私もです。何故あそこまで好戦的になったのか、よくよく考えれば不思議ですわ』

『私もです。今まで警告も無く船を撃沈した事はありませんでした』


 やっぱり。


「たぶんだけどさ、これって≪化かし騙し≫(トリック)なんじゃ……」


≪化かし騙し≫(トリック)!? それじゃボク達は!?」


「ええ。ありもしない船を撃沈(・・・・・・・・・・)したんじゃないか(・・・・・・・・)って」


「そ、それじゃボク達が殺した相手は!? あれは確かな感触があったよ!」


「それにも心当たりがない? 少し前まで私達が関わってたヤツ」


≪立体幻影≫(ドッペルゲンガー)ですの!?』


「そう。複合できたのだとしたら」


「……〝絶望〟と〝刃先〟(エッジ)ですか」


 そして、私達の殺意を掻き立てる何かがあった。スキルなのかアイテムなのかわからないけど。


『サーチ、戻りましょう。実際に全てが幻影だったとしたら、検証してみる必要があります』


 ニーナさんの進言に私は頷いた。



 再び戦闘が起きた宙域に戻ったら、あの難破船は破壊されていた。


「やっぱり……証拠隠滅か」


「あの難破船、やっぱり何かあったんだね」


 そしてニーナさんからの報告が、すべてを決定づけた。


『サーチ、船を一隻沈めたにしては、それに関連するような残骸は確認できませんね』


「……つまり、船が沈められたということは?」


『100%有り得ません』


 ……つまりだ。


「私達はまんまとブラッディーロアに踊らされたってことか」


「踊らされたって?」


「……一つは難破船にあった何かを確実に入手するため。もう一つは……新たな力の実験、てとこかしら」


「新たな力の実験って……ウィリーが奪われた≪立体幻影≫(ドッペルゲンガー)ですか?」


「ええ。覇王の指輪によって奪ったスキルを誰かさんが自分のモノにし、今回の作戦の際に使ったのよ。実験を兼ねて」


「…………クソ、こんな実験やらかすのは、あの裏切り者しかいないよ」


「ていうことは、やっぱり?」


「うん。十中八九、ファーファだろうね」


 ファーファと聞いて驚きの声が意外なとこからあがる。


『ファーファ様ですの!?』


「様って……ライラちゃん、知ってるの?」


『はい。アサシン業を営んでいらっしゃったファーファ様で御座いますね?』


「え、ええ」


 アサシン業を営んでいたって、なかなか斬新な表現だわ。


『何度かリファリス様が作戦の一環として暗殺をしていました。その際に重用していたのがファーファ様です』


 ……あらら、意外なとこで繋がったわ。



『ファーファかぁ……懐かしい名前が出てきたわね』


 ライラちゃんの情報を元にリファリスに問い合わせてみると、懐かしそうな表情で迎えられた。


「よく知った仲なの?」


『よく知ったっていうか、気があったというか』


 あの女と!?


「私達、散々な目に会わされたんだけど」


『ファーファに? 相変わらず性格悪いみたいね〜、あはは』


 類は友を呼ぶ。


『……何かろくでもない事を考えなかった?』


「いーえー」


 鋭い。


『で? ファーファがどうしたの?』


「実はファーファはブラッディーロアの幹部らしくて」


『ファーファが!? 血の四姉妹(フォーシスターズ)だっての!?』


「うん、間違いなく」


『むむ……そっかー、ま、あり得なくはないかな。終末思考の強いヤツだったから』


 何でそんなのと気があったのよ!?


『どちらにしてもあいつを敵に回したら厄介よ。腕はからっきしだったけど、悪知恵だけはピカイチだったから』


 悪知恵だけねえ……ていうか、聞きたいことはそれじゃない。


「ファーファとは前の世界での知り合いよね?」


『そうよ。あの娘と組んで戦ったブラディロアー包囲戦、血が溢れて最高だったわぁ……うふ、うふふ』


 止めなよ。後ろにいるエイミア達がドン引きしてるわよ。


「その戦いとかでファーファってどういうスキル使ってた?」


『どういうスキルって……普通に攻撃魔術だったけど?』


「……はい?」


『どういうスキルも何も、攻撃魔術士が攻撃魔術以外の何を使うってのよ?』


「ちょっと待って。ファーファって、前の世界じゃ攻撃魔術士だったの?」


『……今は何なのよ』


「タヌキ」


『は?』


「獣人よ、タヌキ獣人」


『タ、タヌキ獣人? あのファーファが!?』


「そう。元タヌキ獣人のナタが一緒に育ったらしいから間違いないわ」


 ナタが背後で頷く。


『え、えええ? 前の世界の種族や職業がそのまんま反映されてると思ってたのに、ええ?』


「ライラちゃんみたいな例もあるじゃない」


『ライラみたいなゾンビ系は大体アンドロイドになってるみたい。ライラをゾンビ化してくれた死霊魔術士(ネクロマンサー)はアンドロイド技士になってたし』


 あの人もこっちの世界にいたのか。


『……ファーファが攻撃魔術を使えないとなると……』


「魔術は強力だったの?」


『いえ、からっきし。本当に悪知恵しか取り柄が無かったから』


 何でそんなのと気があったのよ、マジで!?


『それ以上に、ファーファがどうやってタヌキ獣人に生まれ変わったのか、それが気になるわ』


「生まれ変わったって……前の世界じゃ故人なの?」


『ええ。裏切ったから、あたしが殺した』


 あらら。

リファリスと関わりが。

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