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EP2 ていうか、再び武器考。

 マーシャンの隠れ家から飛び立ち、今度こそ覇王装備の本格的な捜索に入る。


『ぐるぐるぐるぐーる、ぐるぐるぐるぐーる』


「いい? 今度から今の場所にある以外の覇王装備を探しなさい」


『ぐるぐるぐーる! わかたー!』


 ……ホントに大丈夫なのかしら、これ。


『ぐるぐるぐる、とりあえず三日くらいまっすぐー!』


「……だそうです。ニーナさん、このポンコツ(ミニマーシャン)の言うことを参考に進んでください」


『わかりました』


『ぐるぐる、ぐる!』



 ポンコツセンサーを信用するなら、三日はすることがない。なので。


「ちょっと手入れをするか」


 ガンブレードもずいぶんと使い込んでいるので、細かくチェックする。


「あーあ、手甲剣の切れ味が鈍ってる気はしてたけど、刃こぼれしてるし」


 前に使ってた空想刃(エアブレード)発生装置付きのとは違い、手甲剣は実物なので刃は欠けるし斬れ味は鈍る。


「最近サボってたからな〜……」


 ていうか、以前は≪偽物≫(イミテーション)だし、少し前までは空想刃(エアブレード)だった。つまりメンテナンスフリーの装備が続いてたもんだから、刃物の手入れの習慣がすっかりなくなっていたのだ。


「いかんいかん。前世ではきちんとやっていたんだから、ちゃんとやらないと」


 とりあえずガンブレード本体から手甲剣を取り外し、ちゃんと研ぎ直すことにする。工具を使って手甲剣を固定しているネジを取り外す。


「……結構キツく締めてあるな……」


 非力な私には大変な作業だけど、一つ一つネジを外していく。やがて。


 カチンッ


「っ……取れた」


 ようやく手甲剣の取り外しが終わり、ガンブレード本体を…………ん?


「あれ、この溝って……」


 手甲剣が取り付けてあった場所に、縦に走る溝があったのだ。これは……まさか空想刃(エアブレード)の?



「間違いないね、これは空想刃(エアブレード)発生装置だよ」


 その後武器に詳しいナタに見てもらったところ、私の想像通りだった。


「やっぱり」


「……でも何でだろうね。空想刃(エアブレード)発生装置がついているのに、わざわざその上から手甲剣を取り付けて被せちゃうなんて」


「そりゃあねぇ……使いにくいったらないわよ、ブレードって」


 小手から刃が伸びているのだ、普通の武器とはあまりにも勝手が違いすぎる。


「あ、そうだね。斬りつけるにも扱いが難しいか」


「ま、慣れだけどね」


「手に直接持つ武器じゃないから、どうしても間合いが狭くなるよね」


「逆に言えば両手がフリーだから、何か持ちながらでも戦えるのよね」


「……構造上、斬ることしかできないね。刺せないのって不便じゃない?」


「ある程度なら刃の角度も調節できるから、やり方次第じゃ刺せるわね」


「…………サーチさ、手甲剣よりブレードのほうが使いこなせるんじゃない?」


 え、そうかな?


「一応聞くけどさ、手甲剣のレベルは?」


「レベル? ……あ、熟練度か。手甲剣はA+ね」


「ブレードは?」


「ブレードはS++」


 ナタは盛大にズッコケた。


「な、何でレベルが低い武器を使ってるわけ!?」


「あはは、手甲剣のレベルってブレードに含まれてるかと思ってた」


「ステータス見てみれば項目が別になってるって一目瞭然でしょ!」


 明後日の方角を向いて口笛を吹く。


「サーチ……ステータスは小まめに見るべきだよ?」


 すんません。今度からは気を付けます。



 手甲剣以外には異常はないので、試しに空想刃(エアブレード)を使ってみることにした。


「サーチ、ちゃんと覚えておいてよ。ブレードってのは小手に刃が付いた武器の総称だからね?」


「わかったって。そう何回も言わなくてもいいわよ」


「最近まで手甲剣もブレードの一種だと誤解してた人だからね」


 返す言葉もございません。


「ボクもナイフがA+だから相手できるかはわからないけど」


「いいわ。練習台になってもらえるだけでありがたいから」


 ナイフを構えたナタがサイボーグの腕を銃に変化させる。


「それじゃ……いくよ」

 ダダダダアン!


 ナタの連射が訓練のスタートとなった。


 チュインチュイン!


 弾を紙一重で避け、ナタに接近する。


 ガギィィン!


「くぅぅ!」


 私の一撃をサイボーグの腕で往なし、ナイフを突き出すナタ。


 ばきぃん!


 けど甘い。ナイフを根元から切断し、もう片方のブレードを肉薄させる。


「うらぁ!」

 ぎぃん!


 それもサイボーグの腕で防ぎ、今度は指先を爪状に変化させて。


 ぶおんっ


 再び私の首筋を紙一重で通りすぎた。


「くっ! また外れた!」


 爪状にしたまま、手のひらを私に向ける。すると穴が開き……ってまさか!?


 ズドオン!

「うひゃあ!? ていうか、手のひらが突然銃口になるって反則じゃない!」


「うるさい! そっちだってガンブレードなんだから銃口あるでしょ!」


 ……あ、そうだったわ。私はガンブレードの銃口をナタに向ける。


 ダダダダダダダダダダダダ!

「わたたたたっ!?」


 わざとナタの足元に着弾させて注意を逸らす。今だ!


「はあああっ!」


 今までみたいに手甲剣を刺すことはできないから、両手で直接ナタの身体を掴む。


「な!?」


 その流れで銃口から魔力の糸を放出し、ナタを雁字がらめに。


「って、ちょっと待って! まさかこれって!」

「そう、そのまさか!」


 ガンブレードの根元が開き、大口径の銃口に魔力が集中!


「必殺の近接バズーカ!」

「ちょっと待てええええええ!」

 ずどおおおおおおん!!

「ふぎゃああああああああああ!!」



「ヒ、ヒドいよサーチ!」


「ごめんごめん、つい勢いで」


「勢いで、じゃないよ! 死ぬかと思ったよ!?」


 いいじゃん、生きてんだし。


「たく……でも手甲剣より強くない?」


「う〜ん……ブレードなんて使いにくいだけだと思ってたけど、意外といいもんね」


「いやいや、普通に使いにくいからね? ブレードのスキルレベルS++がおかしいんだからね?」


 一旦ブレードに見切りをつけて、手甲剣に切り替えたのが逆効果になったみたいだ。


「改めてブレードの利便性を認識させられたわ」


「いや、だからそれはサーチだけだからね!?」


またまた武器改良。

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