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EP11 ていうか、昔話。

 エイミアに男の免疫がまっったくないことがわかり、驚いたと言うかやっぱりと言うか……。


「……エイミア、まさか彼氏がいたことって……」


『無いと思いますよ』


 だろうな。たぶん手を繋いだことすらないだろう。


「ま、エイミアらしいっちゃらしいけどね……。あ、これは興味半分で聞くんだけど、彼氏がいたことがあるのは?」


「ボクはある」

『私もありますわ』


 お、意外とライラちゃんには彼氏がいたのか。


「……歴代何人?」


「五人」

『一人ですわ』


 ナタは意外と多いな。


「じゃあ経験人数」


「十五人」

『一人ですわ』


 ナタ意外と多いな。


「結構仕事関係でそういうのって多かったから」


 ……わかるわ。前世でも九割はそれだったから。


『私は幼馴染みで婚約者だった彼氏が居ましたの』


 をを!? テンプレ中のテンプレがライラちゃんだった!


「あれ、いたって、過去形?」


『ええ。円満に別れましたわ』


「……何で別れたの? あ、言いたくないならいいけど」


『別に構いませんわ。私と彼がデートしていた時、当時敵対していた族と遭遇しましたの』


 族!? モンスターとか盗賊じゃなくて、族!?


『デートの最中に喧嘩をするつもりは全くありませんでしたが、相手は此方の事情に耳を傾けてくれず……』


 何となくパターンはわかった。


「武器がなかったから彼氏さんを武器化して戦った、とか?」


『……よくおわかりで。流石はサーチ様ですわ』


 わかるわよ。ていうか、それしか展開的にあり得ないでしょ。


『戦いが終わった後、武器化を解除しましたら「ぼ、ぼくちゃんには無理なんだな」とかほざいて尻尾巻いてトンズラしやがってよ』


「ライラちゃん、雷々になってきてるよ」


『え? あら、大変失礼致しました』


 別にいいけどさ、元彼の口調が何か気になる。


「初めての相手はその彼なの?」


『違いますわ。タイマンを張った際に負けた時の条件が身体でしたの』


 おおいっ!?


『今となっては良い思い出ですわ』


「「いい思い出なの!?」」


『ええ。最初は抵抗致しましたが、相手の【ぴー】が【ぴぴぴー】で、私も【いやん】が【ばかん】で【禁則事項です】になってしまい』

「ひああああああああああああっ!!」

 ぼふんっ


「へ? ……エ、エイミア!?」


 ライラちゃんの凄まじい思い出話が耳に入ったらしく、エイミアは再び大噴火を起こしてひっくり返った。



「う、うーん……うーん……」


「ちょっーとエイミアには刺激が強すぎる話だったわね」


「……ライラが意外すぎる……」


『あら、私にはナタ様の経験の多さに驚きましたわ』


「え、ボク? まあね。こう見えても元アサシンだから」


「そうね。状況によっては女であることを武器にせざるを得ないことも多々あるもんね」


「え? サーチも?」


「ていうか、言ってなかったか。私は今が人生二度目よ」


「……は?」『はい?』


「だから、私は別の世界から転生してきたの。そのときにアサシンやってたのよ」


「………………ウ、ウソじゃ……ないんだ」

『び、吃驚ですわ……』


 ま、これが普通の反応か。アッサリと受け入れたエイミア達が不思議だったのね。


「だから普通取れるはずのないスキルを身につけてるのよ。≪気配遮断≫や≪急所攻撃≫(ピンポイント)使えるし」


「…………普通はファイターじゃ覚えられないスキルだね。実際に使ってるの見ないと何とも言えないけど」


「何度もあんたの鳩尾に突き刺さってるでしょ、≪急所攻撃≫(ピンポイント)


「ああ、あれが……通りで効くはずだよ」


 ライラちゃんも大きく頷く。あれ? 私、ライラちゃんに膝見舞ったこと、あったっけ?


「だからか。年齢の割に落ち着いてると思ってたけど」


「そりゃあね。前世と会わせればもうアラフィフだし」


「は? あ、あらふぃ?」


 え、この言葉ないの?


『……随分と古い言葉を……アラウンドフィフティの略ですわ。要は五十歳前後の事です』


 ていうか、古い言葉なの!?


「え? サーチって今は……二十歳?」


「まだなってない」


「な、なら、サーチが前世で死んだのって……」


「三十後半くらいかな? 組織に反抗して刺し違えた」


「刺し違えたって……組織を!? 潰したの!?」


「潰したわよ。ここまで来たらぶっちゃけるけど、娘もいるわ」


「はああっ!?」


「転生先の世界にはいなかったんだけど、次の世界が私の前世にいた世界でさ……バッタリと娘に会っちゃった」


「え、えっと、前世で生んだ娘さんと、異世界に転生して、次の世界……?」


 あらら、ナタが混乱してる。


「ま、この世界に私の娘もいます、とだけ覚えといてくれればいいわ。名前は紅美、キュアガーディアンズの母艦で事務ってます」


「わ、わかった。よく似てるの?」


「双子並みに。一応本人には従姉妹ってことにしてある」


「わ、わかった」


 まだ混乱してるみたいだけど……まあ大丈夫でしょ。


『……プスプス……』


 ん? て、ちょっと!


「ライラちゃんの頭から煙が! ナタ、水を持ってきて!」


「え、えええ!?」


 回路が焼き切れそうになってるライラちゃんにパニクってると。


『大丈夫ですよ。私が何とかしますから』


 不意にニーナさんの声が響き、ライラちゃんはロボットアームに掴まれて天井に消えていった。


「ニーナさん、お願いします」


『少し興奮状態が長くなったのでしょうね。回路を耐熱性のモノに換えておきます』


 流石はニーナさん!


『ナタやライラは知らなかったのですね、サーチが転生者だという事を』


「……あれ? ニーナさん知ってたっけ?」


『サーシャ・マーシャから詳しい事を聞きました』


 マーシャンか。


「ニーナさんはマーシャンの動向は知ってる?」


『知己を探し回っているようです。協力を仰いでるみたいですよ』


 ふうん……今度は何を企んでいるのやら。


『それより……随分と楽しいお話をされていたのですね』


「あはは。完全に話が脱線しちゃってるけどね」


『こういう話は聞いていても楽しいですからね。私は大歓迎ですよ』


 お、意外と話せるクチね。


『私も若い頃は色々と無茶をしたものです』


 ちょっと待て。


「ニーナさんの若いころ?」


『……言っておきますが、私にも若い頃はありましたからね?』


 …………ああ、船が完成した当時のことか。


『懐かしいですね……私は完成した当時、毎日ライバルであったテラちゃんとスピードを競っていたものです』


 テラちゃん?


『どうしてるでしょうね……海の王者、テラロドン』


 ムカシホホジロザメかよ!

メガロドン<テラロドン

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