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EP4 ていうか、絶対に取り返す!

「わ、私のビキニアーマーは? 私のビキニアーマーは? 私のビキニアーマーは?」

「サーチ落ち着いてぶぐぉ!?」


 ナタが吹っ飛んだけど気にしない。


「わ、私のビキニアーマーは? 私のビキニアーマーは? 私のビキニアーマーは?」

『サーチ様落ち着いてくださいませみゃぎゃあ!?』


 ライラちゃんが壁にめり込んだけど気にしない。


「わ、私のビキニアーマーは? 私のビキニアーマーは? 私のしびびびびびびびびぃ!?」

「サーチごめんなさい! 私は殴られたくないので!」


 わ、私のビキニアーマー………………がくっ。



『…………おい』


 ……んん。


『…………おい、起きろ』


 ……んんん。


『起きろっての、おい! コラ!』


 ……ん〜ん。


『…………はあ……がぶ』


「いてええええっ!? ……って、あれ?」


 こ、ここは? 白い世界って?


『やっと起きたか』


 やっとって…………あ。


三冠の魔狼(ルーデル)じゃないの。どうしたのよ?」


『どうしたのよ、じゃねえよ。こっちが聞きたいよ。いきなり精神的暴走を始めやがって』


 精神的暴走? 何のこと…………あ。


「ビ、ビキニアーマー! ビキニアーマーよ!」


『あ?』


「だから、私のビキニアーマーが盗まれたのよ!」


『ビキニアーマーをって……あんなの盗んでどうするんだよ? お前のサイズに合わせた一点モノなんだろ?』


「知らないわよ! あの下着ドロボーが盗んでいったんだから!」


『……成程、下着ドロボーか。なら盗まれても仕方ないな』


「私のビキニアーマーが盗まれても仕方ないって、一体どういうことよ!」


『だああかああらああ、落ち着け!』

 がぶっ

「いったあああああい! な、何すんのよ!」


『いいか、とにかく落ち着け。下着ドロボーの目的って一体何だ?』


「知らないわよ! ヘンタイの考えることなんか!」


『そうだ、変態だよ。変態ってのは、大体妙なモノに固執するだろ?』


 妙なモノに固執って…………あ、フェチか。確かにヘンタイって、度が過ぎたフェチ……とも言えるわよね。


『下着ドロボーってのは、要は下着フェチが行き着いた極致だ。そんなヤツがコレクションである下着を粗雑に扱うか? しかも希少なビキニアーマーを』


 そ、そうか。ビキニアーマーは水着と同じように素肌に直接だから……!


「つまり、大事に扱うってことか!」


『そうだ。だから下着ドロボーの身柄さえ押さえちまえば、後はアジトを吐かせるだけ』


「そこにビキニアーマーがあるってことね! よぉーし!」


 何か活力が戻った感じがする。よし、絶対に捕まえて、ビキニアーマーを取り返してやるんだから!


「……ていうか、何であんたが出てきたの?」


『……〝嘆きの竜〟(あのババア)に脅されなきゃ、俺だって……』


「はあ?」


『な、何でもねえよ! お前も下らない事でいちいち俺が呼び出されるような事態に陥らないでくれ!』


「?? え、ええ、気をつけるわ」


『なら結構。それと下着ドロボーの行方だが……』


「わかるの!? 教えて教えてくださいていうか教えろ」


『いてててて! わかった! わかったから落ち着け!』


 ……あ。ついついルーデルの耳を。


「ごめんあそばせ。オホホホホ」


『…………たく。お前の匂いを辿ると、どうもコロニーの一つに行き当たる』


 コロニーに?


「それって……廃棄されたコロニーってこと?」


『ああ。お前の匂い以上に色んな女の匂いがする』


「それってどのコロニー?」


『……それが、な。どうにも掴みきれねえ』


 は?


『何か……妨害してやがるんだ。特定できそうなところで、煙に巻かれる感じに』


「ふーん……≪立体幻影≫(ドッペルゲンガー)ってヤツかしら。いいわ、あとは自分で調べる」


『わかった。じゃあな』


 うん、ありがと。じゃね。



「…………はっ!?」


「サーチ! 大丈夫ですか!?」


 気がついた私の視線に飛び込んできたのは、心配そうなエイミアの顔だった。


「エイミア?」


「よ、良かったああ……電撃で気絶させてから、全然目を覚まさないから……びえええっ」


「ごめんごめん……ていうかエイミア!」


「にゅ!?」


「いきなり電撃浴びせるとはどういう了見よ!!」


「いひゃい! いひゃい! いひゃい!」


「オラオラ、口の広さを十倍にしてやる!」


「いひゃいいひゃみょーーーんんんっ!!」


「ほらほら、限界を超えなさいっての!」


「みょーーーんんん! みょみょみょーーーんんん!!」


 そんな状況でドアが開き、ナタとライラちゃんが入ってきて。


「……何してんの」


 え、えーっと。単なるスキンシップ?


『……よく伸びる口ですわね』


 ここだけは某海賊並みですから。


「そ、それより。もう大丈夫なのか?」


「ええ。心配かけてごめんなさいね」


「そっかそっか。なら……ふんっ!」


 ごんっ!

「痛!? い、いきなり何よ!」

『理不尽な暴力への正当な仕返しですわ。今回は私も……えい』

 べしっ

「いったあああああい! な、何で単なるしっぺがナタのゲンコツより痛いのよ!?」


『愛あればこそ、ですわ』


 ずいぶん痛い愛だな! ていうか、絶対にアザになるわ。


「それよりビキニアーマーだけど……やっぱりなかったよ。盗まれたみたいだな」


「……探してくれたのね。ありがと」


「もしかしたら、あの爆発に巻き込まれて埋もれてたり……とも思っただけ」

『隅々まで探しましたわ』


 重ね重ねすみません。


「けど安心して。ビキニアーマーだけじゃなく、私達の下着の行方もわかってきたから」


『ど、どういう事ですの?』


 三冠の魔狼(ルーデル)のことは出さずに「推理しました!」的な雰囲気で話した。


「……確かに。そのヘンタイにとって下着はお宝だもんねー」

『更に言えば希少なビキニアーマーは、神器にも近い程の価値があるのでしょうね』


「ていうわけだから、この辺りの廃棄コロニーをアジトにしている可能性が高い。だから」


 私は航路図のある宙域を指し示す。そこは下着ドロボーの被害が多発している場所……つまり私達がやられたところだ。


「この周辺にアジトがある可能性が高い。だからこの宙域に関する情報を徹底的に集めるわ。相手が下着ドロボーだろうが何だろうが、生きている以上は食料は必要なはず。その線を辿っていけば、必ず犯人に繋がっている」


『……相手がアンドロイドでしたら、食料は必要ありませんわよ?』


「と、とにかく。まずは第二十一コロニーで聞き込みよ!」

「みょーーーんんん!!」


 あ、伸ばしたまんまだった。


 ぱちんっ


「みょ!? び、びえええっ!!」


 ごめんなさい。

ビキニアーマーを追います。

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