EP12 ていうか、お盛んで。
【いやん】な内容を含みます。
『サーチ、テメエエエエエエエエエっ!!』
「お久しぶりですわね、リルさん。何てはしたない格好をなさっているのかしら」
『なっ!?』
「それにいまだに大きくなる兆しがない胸部についた点々……何をなさってらっしゃったのかしらー?」
『んなっ!?』
必死にキスマークを隠そうとするけど、もう遅いっての。
『んん……リル、誰と話しているんだい?』
『はニャ!?、ニャんでもないですわ、はい!』
ん? リルのダンナさんか。
「はろはろ〜♪ お楽しみのところ、申し訳ない」
『誰と会話してるんだい?』
『ニャニャニャニャんでもニャいニャ!』
『そうか、なら……』
『え……あ、【R18だよっ!】』
あらら。
『【変態的な状況だよっ!】ああっ!』
うわあ……公開プレイ始めちゃったよ…………録画録画。
『ちょ、待っ、【ぴー】、【ぴぴー】、【ぴぴぴーだよっ!】』
「……あとから連絡しまーす」
プツンッ
…………いやはや、いいモノを見たというか、何と言うか……こっちまで変な気分になりかかったっての。
「………………あ、あかんあかん。ちょっとヴィーの様子を見てきますか」
そう言って立ち上がると。
「…………サーチ、どうでした?」
「え? あ、ヴィーか。そっちこそどうだったの?」
「どうだった……ですか? それはもう、エカテルは……」
ん? 何かヴィーの目が据わってるような……?
「エカテルがどうかした?」
「いえ。普段モノ静かな割には、意外と…………アレなのだな、っと」
ん? ま、まさか……。
「そ、その、ヴィー? ちょっと落ち着こうね?」
「何を言っているのですか? 私は既に異常ですよ?」
異常なのかよっ!
「そういうサーチも、少し頬が赤みがかっていて、目が充血してますよ?」
「え!? あ、こ、これは……あは、あはは、あはははは……」
「サーチ」
「は、はい!」
「辛抱たまりません」
「きゃあああああああああああああっ!?」
それから三時間弱、私はヴィーに泣かされた。
「ふう、スッキリしました」
「…………こ、腰が…………」
「大丈夫ですか、サーチ?」
「大丈夫なわけないでしょ!? 何でノンストップっで三時間も!!」
「………………それでサーチ、リルと連絡は?」
「とれてないわよ! 私の前で公開【いやん】してくれただけよ!」
ていうかヴィー、誤魔化すのヘタすぎだよっ!
「……サーチもですか……」
「へ? まさかヴィーも?」
「……意外と大胆でした、エカテルは」
そ、そうなんだ……。
「サーチ」
「何…………って、ちょっと?」
「もう今日は連絡したくありませんので…………再び辛抱たまりません」
「ぎゃあああああああああああああっ!?」
…………ヴィー、いい加減にしろっての……。
「あ、あいたたたた……や、やりすぎだっての」
翌朝。さすがに終わってるだろうから、もう一回リルに連絡をする。
『…………昨日はどうも』
あらあら、顔を真っ赤にしてますわ。
「まったくよ。変なもん見せないでよね」
『そ、そっちが急に連絡してくるから!』
「はいはい、ごめんごめん。それより寝不足のエイミアにちゃんと謝っときなさいよ?」
『あ、ああ……それより何の用だ?』
「こうやって連絡してきてる以上、今話題になることは一つだけでしょう?」
『? 何がだ?』
って、おいおい。ニュースも見てないってか?
「西マージニアでの事件よ」
『んぐっ……あ、あれは不可抗力だったのニャ』
「あんたの個人的ポカじゃないわよ。マーシャンが捕まった話よ」
『マーシャンが捕まった? 覗きか下着ドロボーか?』
「そんなんだったら完全に無視するんだけどね。ブラッディーロアと西マージニア政府の陰謀に巻き込まれたのよ」
『ブラッディーロア…………〝絶望〟が動いてるって聞いてたけど、それだったのか……』
「へ? ファーファを知ってるの?」
『ああ、こっちもいろいろあってな。確か〝飛剣〟も動いてるはずだぞ』
ぐあ、そうだった。院長先生もいるんだった。
「……ま、まあ、そういうわけでさ。マーシャンの救出を手伝ってもらいたいのよ」
『わかった。マーシャンを助けないわけにはいかねえしな』
「エイミアには話をしてあるから。エカテルにはヴィーから連絡がいってるわ」
『なら話は早い。今日明日には火星に向かうようにしとく』
「わかったわ。一旦どこかで合流しましょ…………そうね、人面山リゾートってのがあるから、そこで」
『人面山リゾートだな。よっしゃ』
「じゃね、リル。後ろで寝てるダンナさんによろしく」
『なっ!?』
プツンッ
再び顔を赤くしたところで、通信を切る。
「……さて、ヴィーはどうだったかな……」
腰を擦りながら立ち上がり、ヴィーの部屋へ行く。
ガチャッ
「あ」
「あら」
ドアを開けようとすると、そこにはヴィーが。
「おはよ。もしかしてエカテルと話できた?」
「え、ええ。その事でサーチに報告を、と」
「そりゃ奇遇ね。私もだわ」
「そうでしたか」
「ちょうどいいわ、みんなを起こして、その場で話しましょ。今後の対策も話し合いたいし」
「わかりました。でしたら私が起こしてきます」
「お願い。なら私は朝ご飯を作っておくわ」
そう言ってヴィーと別れ、会館の給湯室に向かう。
が、その手前の食堂に。
「あ、サーチ、こっちですわ」
「ようやく起きてきたと思われ」
「ずいぶんとのんびりしてたねー」
あ、あらら?
「ど、どうしたの。全員起きてるなんて」
「それよりも、はい。食べてくださいまし」
「あ、ありがと……ってナイアが?」
「ワタクシだって料理くらいしますわよ。サーチは随分とお疲れのようでしたから」
「あ、あははは……」
ヤベえ。ナイアにはバレバレだ。
「ふああ……眠たい」
「ボクも〜。完徹だよ」
ちょっと待て。お前ら、何で寝てないんだよ。
「それはサーチ、この会館の壁は非常に薄いからですわ」
…………ナイアの目の下にクマが。ご、ごめんなさい。
「それよりワタクシ達に話があるのでは?」
「あ、うん。今回はリル達に協力してもらうことにしたから」
「妥当ですわね。顔が割れている事を考えたら、リルさん達に救出をお願いしては?」
「そのつもりよ。で、私達は敵の引き付け役」
「ふふふ、腕がなる」
「おもいっきり暴れてやるかな」
「あ〜……それで何だけどさ、一つ案があるのよ」
「案?」
「うん。今回さ、リルのパーティと、メンバーのトレードをしようと思ってさ」
え?




