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EP11 ていうか、エイミア登場。

 エイミアの凶暴化はともかく、決まった以上は合流しないと。


「まずはテレフォンテレフォン……」


 リルと連絡を取るのが無難か。


 …………プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル


「…………あれ?」


 いつもならすぐ出るんだけどな。


 プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルガチャ


 あ、出た。


「はろはろ〜♪」


『【聞かせられないよっ!】ああっ!』


 へっ!?


『【盛り上がってるみたいだよっ!】んんっ!』


 ………………失礼しました。

 ガチャン


 ……どうやら久しぶりにダンナさんと再会したようで。


「じゃ、じゃあエカテルに……」


 ………………プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル


「…………あれ? エカテルも出ないの?」


 プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルガチャ


 あ、出た出た。


「はろはろ〜♪」


『ギシギシギシギシ、ミシミシミシミシ』


 ん? 何かの音?


『【何か荒い息遣いだよっ!】あ』


 ……はい?


『ギシギシギシギシ、ミシミシミシミシ』

『【明らかに何かしてるよっ!】ああ!』


 失礼しました。

 ガチャン


「…………元カレとでも再会したのかな…………」


 となると……エイミアか。


「一番テレフォンに出るか不安なヤツが残ったわね……」


 ………………プルルルル、プルルルル

 ガチャ

『サーチですか!?』


 早っ!


「は、はろはろ〜♪」

『サ、サーチだぁ……! 久しぶりです!』

「どぉも、エイミア。元気してた?」

『はい、変わりありませんよ』

「……ていうか、暴走気味なとこは健在みたいね」

『………………』


 ん?


「エイミア? エイミアー?」


『それ……私じゃありませんからね?』


「へ? 〝破壊〟(クラッシャー)が?」

『違います! 私じゃありません!』


「へ? 月を破壊するとか、クレーターを百単位で増やしたとか、あんた以外にあり得な」

『ち・が・い・ま・す!』

「……ホントにぃ?」

『本当です! 大体私は火星に行った事はありませんから!』

「ホントにぃ? 寝ぼけて火星に来たりしたんじゃないの?」

『ホ・ン・ト・で・す!』

「クスクス。ホントにぃ?」


 からかうと面白いのは相変わらずだわ。


『……ぶちぃ……電話を越えて届いて! ≪蓄電池≫(バッテリーチャージ)!!』

「あのねえ、流石にそれはムリがあるわよ」


 …………チリチリ


 へ?


 バリバリバリバリバリバリ! ズドオオオン!

「んぎゃひぃぃぃぃぃぃ!?」



 ……しばらくしてから、私は真っ黒焦げになった状態で発見されるのだった。



「いやはや、久しぶりに食らったわ……」


『サーチがヒドいからです!』


 まさか遠隔攻撃をマスターしていたとは……。


「フフフ、腕を上げたようですね、エイミア」


『あ、ヴィー! 久しぶりです!』


「本当に。全然話す機会がありませんでしたからね」


 私の治療をしながらも会話が弾む二人。それにしても……エイミアのヤツ、ずいぶんと落ち着いたわね。


「ねえ、エイミア」


『はい? 何ですか?』


「何か拾い食いでもした?」


『……何がです??』


「いや、妙に落ち着いちゃってるみたいだから」


「そう言えば確かに。普段なら『サーチ、サーチィィィィ!』と暴走するのがパターンでしたよね」


『! そ、それは………………忘れてください』


「いいじゃないですか、個性ですよ、個性」

『忘れてください』

「ちょっと困りモノの個性だけどね」

『忘れてください』

「あら、あんた照れてるの? 顔が赤」

 バリバリバリバリ!

『わ・す・れ・て・く・だ・さ・い』


「「は、はい……」」


 ……迫力までレベルアップしてやがるし……。


「そ、そうだった。今リルやエカテルと連絡とったんだけどさ」


『え゛』


「その反応だと……何が起きたのか、知ってるわね?」


『それは……! し、知ってますよ! 私は二人の間の部屋なんですから!』


「あららら。それはご愁傷様」


『……おかげで寝不足なんです……』


 そりゃ寝不足にもなるわな。


『それより、何か用事ですか?』


「あ、そうだった。すっかり忘れてたわ……あんた達はどこにいるの?」


『私達ですか? 今は第四コロニーですよ』


 第四コロニーかぁ……なら一週間くらいかな。


「なるべく早く火星に来れない?」


『火星にって……やっぱりマーシャン絡みですか?』


「そう。ま、とっくに知ってるわよね」


『はい。少し前までは知りませんでしたけど』


「少し前って……かなり大々的に報道されてない?」


『クエストが終わったばかりなんです。リルとエカテルが突然消えて唖然としてた時に、街頭モニターで知りました』


「……じゃあ二人は?」


『気が付いたら部屋であの状態でしたから、私と別れてからすぐに合流したんじゃないでしょうか』


 つまり知らないってか。


「ちょっと一刻を争う状況でさ、できれば手を貸してほしいのよ」


『わかりました。なるべく早く行けるように準備しときます…………私は』


「…………リルとエカテルもお願いね」


『それは……サーチ、がんばって!』


 ガチャン


「え゛……ちょっと、エイミア! ……ち、切りやがった」


「……サーチ、気のせいかもしれませんが……」


「もしかして……エイミアのこと?」


「はい。何か……様子がおかしいような……」


 う〜ん……確かに様子がおかしいんだけど……。


「どっちかって言うと……昔のエイミアに戻ったような……」


「昔の?」


「あ、うん。絶望の獣(ディアボロス)戦前の、エイミアに」


「……?」


「……まあいいわ」


 ……ヴィーにはあまりピンとこなかったみたいなので、この話題はここで打ち切りとした。


「それよりもさぁ、問題はあの二人なんだけどさぁ」


「そ、それは……」


「エイミアのヤツ、私達に難題を押しつけやがったわ…………仕方ない、リルは私が何とかするから、エカテルはヴィーに頼めないかな?」


「っ…………はあ、わかりました。一刻を争う事態ですから、ある程度は強硬手段をとらざるを得ませんね」


「うん。多少手荒でもいいから任せるわ」


「わかりました」


 さて、なら私らリル担当なわけだけど……。


「……一番簡単な手はアレなんだけど……あまり使いたい手じゃないなあ」


 何となくヴィーのほうを見てみると……げっ、≪石化魔眼≫(ゴルゴン)使ってるし。


「ホントに形振り構わずでやるしかないか……」


 私はテレフォンをリルに繋げる。


『【まだ奮闘中だよっ!】んん!』

「……小さい。ペチャパイ。貧乳。大平原の小さな胸」

 ブツンッ


 ……さて。反応は……。


 ブルルルルルルルルルルルルルルゥ!!


 早っ! ていうか、呼び出しバイブの威力増って、どんだけ怒ってんのよ!?

エイミアが変?

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